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September 30, 2016

今やるべきことは?

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コペンハーゲンコンセンサスとは2004年に第1回が開催された政策提案のアンケートである。今後4年間に500億ドル投じるとして何に投じるべきかというぎろんである。答えているのは世界の一流研究者。それによると環境問題はかなり下のようである。世界にはやるべきことがいろいろあるということである。

ビッグシティ

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ブエノスアイレスの建築家で大学教授のロベルトとフロレンシア夫婦がニューヨークに来ており、それをFBで知った留学中の文が会って食事をしたそうである。双方からその連絡をもらった。とても大都市的な楽しい話である。

September 29, 2016

クロストランジット

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北村明子クロストランジットを見に行った。4月に仙川で見たダンスの進化形だということが、公演後のトークで語られていた。そしてとても納得が入った。何しろ完成度が高いのである。映像、写真、舞台装置、音楽。そして何よりも、ダンスそれ自体が涙が出るほど上手だった。満足な夜である。

September 28, 2016

美学と政治

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ジャック・ランシエール市田良彦他訳『平等の方法』航思社2014、待望の入門書というわけで読んでみたがなかなかどっこい難解である。ランシエールはニコラ・ブリオーの『関係性の美学』を批判した『解放された観客』の著者である。その批判の全貌は星野太君が「ブリオー×ランシエール論争を読む」において説明してくれておりそれはそれでなかなか晦渋だが面白い。ランシエールの批判は少なくともブリオーを利用した「芸術の再政治化」批判だと読める。ランシエールによれば芸術と政治は感性の分有によって成立する本質的には相同的なものであるにもかかわらず、関係性の美学に基づくアートはそれらを無理やり繋げることで芸術の本来持つ力を削ぎ落としてしまっているというのがその主張のようだ。つまり芸術を無理やり政治が発露する社会の中に強引に挿入すること(再政治化)で逆にその力を失っていると言いたげである。その点についてランシエールの思考の裏付けをとりたく読んでみたのがそう簡単に裏は取れない。インタビューにもかかわらず、、、

September 27, 2016

マインドフルネス

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スティーブン・マーフィー重松『スタンフォード大学マインドフルネス教室』講談社2016は昨今のストレス排除法として注目を集めている自己への集中法が記されている。スタンフォードでは実際講義前瞑想で授業理解向上へ効果があることが実証されているそうだ。
そうした自己集中の一つにAuthenticityとう項目がある。これは自分は何かを見極める瞑想である。本当の自分、そして自らが望むものをじっと考えることである。そういう集中を自らちょっと試してみると、今科研の申請書に書いていることが果たして「自分」なのかとやや疑問に思ったりする。自分はやりたくないけれど助成金が降りそうな方向へ考えを曲げているのではないかと疑念を抱く。もちろん自分のやりたいことだけでお金がもらえたらこんな幸せなことはないわけでそれは無理なことだが、ギリギリの線を狙うのがAuthenticityなのだろう。  もう少し考えてみないと。

September 26, 2016

フルシチョフスラム

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松戸清裕『ソ連史』ちくま新書2011を読む。コンクリートカルチャーを訳した時、ソ連でフルシチョフがプレコンを使った集住を大量に作った話が書かれていた。一体どういう理由かを知りたく読んでみた。答えは、ドイツとの戦争で住宅不足となりマレンコフとの権力闘争に勝利し、実績をあげたく、大量住宅供給を実現したかったようである。そこで、エレベーターなし5階建てプレコン集住を年間200万戸規模で10年以上供給した。しかしその質が極めて低く、フルシチョフスラムと呼ばれるに至ったそうである。

September 25, 2016

予算配分

公表されている資料を見ると、私立大学(理科大、早稲田など)の学生一人当たりの予算規模は年間約200万円である、これに対して旧国立大学のそれは約400万(信州大学)、約500万(東工大)、約800万(東大)くらいである。つまり旧国立大学は私立大学の2〜4倍の予算規模を持っている(この時点で国の姿勢に少々疑問をもつが先ずはそれをおいておこう)。
この予算がどのように配分されるかによってその大学の経営方針あるいは重点方針が明確になるのだがそういう指標は公表されている資料からでは正確にはつかめない。しかしたとえば次の事実は理科大の重点方針の遅れを如実に示す。東工大の国際部の事務員の数が72人で理科大のおそらく5倍くらいはいるという事実である。理科大は東工大の倍の学生数がいるから学生一人当たりで考えれば東工大の国際部の事務員は学生一人当たりに換算して理科大の10倍いるのである。予算規模は2.5倍なのに事務員の数は10倍ということは予算配分において理科大は国際推進が過小評価されていることとなる。少々悲しい。
しかしもちろん理科大が国立大学に比して圧倒的に優位な側面もある、潤沢な研究費と図書費などである。つまり理科大の予算配分はおそらく伝統的に研究重視なのである。それはそれで喜ばしいことである。しかし少し見直してみる時期なのかもしれない。特に国際推進については喫緊の課題である。この事務員の数で言えば東工大がクイーンエリザベスなら理科大はゴムボートである。ゴムボートで世界に旅たつのはさすがにしんどい。せめてヨットくらいにはして欲しいものである。

ミノムシ

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広間でいつの間にか眠りに落ちた私に配偶者が和紙のブランケットをかけてくれていました。数十枚の厚みでとても暖かい。まるでミノムシ。寝ている間に激写されました。

September 24, 2016

your name.

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山道君に勧められて人気映画「君の名は。」を見に行った(「は」の後の句点に注意)。「舞台が四谷なんですよ」という山道君の言葉に惹かれて行ってみた。確かにこれは地元の人でかつ私のようにこの辺りをジョッギングで走り回っていなければわかるまいという場所がいろいろ登場する。レストランミクニの脇を左に曲がり学習院のプールへ行く渡り廊下の上を抜けて中央線を横断する橋のあたりとか、、、、ラストシーンの須賀神社に上る階段の横の白いお家とか、、、、、まあディテールはいいとして東京と飛騨の二つの土地と二人の人と二つの時間を二つの人格が移動する速さが小気味良い。でも一方で話が壮大過ぎるのは僕好みではない。彗星は絵としてはいいが話としては陳腐である。もっと日常の詩学の方が、リアリズムの方がどちらかといえば好みである。予告編でやっていたが、7日間の恋とか30日で消える恋人とか、どうも期間限定で人がワープしてしまう話が多いのは今時の若者好みなのだろう。娘なら普通に読み解く話なのかもしれない。
土曜朝一(8時20分)を見終わって出てきたらこの混み具合!!!

September 23, 2016

ネパールの街づくり

ネパール地震の瓦礫処理の援助に加え一般ゴミ処理の支援が環境省の公募事業になり手伝って欲しいと頼まれた。頼んだ企業はそれらに加えてネパール市が考えているグリーンカトマンズプログラムを加味しエコシティの建設に乗り出そうと検討中である。グリーンの計画も、廃棄物処理も僕の専門ではない。にもかかわらず僕に声がかかるのは市民参加と市民の意識向上の実績があるからだそうだ。廃棄物処理、エコシティ作りで最も重要なことの一つは市民の参加意識なのである。しかしネパールの人相手に何語でワークショップやるのだろうか?それにいつ行けるかが問題である。空きは年末のワークショップが終わった次の日から正月にかけてしかない。

September 22, 2016

篠原一男の図面

東工大の奥山さんのところで篠原先生の図面を見せていただき、写真に記録した。大村君の修士論文の資料である。かれは構造の自律性について研究しており、特に構造の軸組と伏図を記録した。その昔の木村事務所の図面は特記仕様が手書き。不思議なプレース状の配筋が謎だった。こうやって見ると構造の自律は第三の様式に集中しているようである。皆で青図を一枚ずつ鑑賞したが、やはり5分の1の平面詳細図は圧巻である。

オタバロでパビリオンを

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エクアドルのキトから車で2時間くらい北上したところにオタバロという人口9万人の都市がある。ここにはオタバロ族という織物の技術が南米でも極めて高い部族が住んでいる。ここでこの織物を建築の一部に使って緊急時の仮設空間作りを親友のフェデリコ・レネールが研究してきた。この緊急施設を緊急状態が過ぎた後には商業施設などに容易に転用できる改良形の設計をWSやセミナーで展開してほしいということでフェデリコと一緒にやることにした。正式な依頼が市長と都市計画部長から届いた。

September 21, 2016

ビデオコレクション

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September 20, 2016

ちょっとすっきり

先月メールをもらい入学に向けて手配をしていたヨルダンの国費留学生は結局お断りすることとなった。その理由は理科大の留学生修士入試の受験資格に日本語の授業を理解できる日本語能力を持つことという一文があり彼はそれを満たせないだろうからというのが理由だった。こんな文章がまだ入試要項に入っているのに愕然としたが、ルールはルールで仕方ないと思い僕も諦めた。しかし今後のことを考えこういう旧態依然としたルールは削除すべきと思い国際化推進会議で副学長にそのことを話したら副学長もそんなルールはあまりに時代錯誤、即削除と同意していただき安心した。その会議にいらっしゃった国際推進のセンター長戦後すぐみたいな状況ですねと呆れていた。すると他の先生が帰り際に私のところに来て、あんな文言無視して私は外国人留学生を入学させましたよとおっしゃっていた。まあ実態はそうなんですよ。しかし返す返すも呆れるのはそういうどうしようもない腐ってしまったルールを盾にとって入学を認めようとしないリテラシーの無い事務方の神経である。

September 19, 2016

新しい授業の方法

後期の授業が始まり講義が月曜日に二つある。今年はあることを決めた。18分以上連続して話さないことにした。なぜなら毎年深い眠りに陥る学生いるからである。これは学生も悪いが先生も悪い。90分も学生を飽きさせず話し続けるにはよほどの準備と話術がいるのだが、それほどの準備をするのはなかなか難しくそれを先生はしないからである。ならやればという気にもなるがそれよりか学生に話させたほうがいい。そこで考えたのは授業の終わり18分に次回の講義のテーマAの要約を話し、学生は復習でその部分の教科書を1時間読み、授業ブログの先生の質問に1時間で答える、それを読んだ先生はその次の授業最初の18分でそのことについて質問、問題提起をする。そしてその後50分その問題提起に対して学生はディスカッションをしてこのテーマAは終わる。先生は残り18分で次のテーマBの説明をする。ということを繰り返し行うわけである。さてうまくいくだろうか?

September 18, 2016

チェルシーで爆発

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朝コンピューターを開けるとNYCにいる娘からメール。爆発事件はあったけれど今の所無事との内容。それから1時間くらいの間に数回近況報告のメールが続く。午後には大学から寄宿舎にいる学生の家族へ向けてのメールが来る。一応安全であるということは分かる。大抵のことでは驚かないのだが、爆発事件現場と寄宿舎がおそらくワンブロックくらいしか離れていないのと、大学が寄宿舎にいる学生に窓際にはいないようにというメールをしているのを聞くと切迫感が伝わる。オーマイゴッド!!!

September 17, 2016

手嶋さんの建築

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手嶋さんの住宅を見せていただいた。数年前に住宅特集に掲載されいた住宅写真を見てからああこれはいい建築家だなと思ってからずっと本物を見たいと思っていた。何がいいのかというのは一言では言えないし、今日見ても解明できたわけではないのだけれど、一つは光の操り方である。それもワンシーンがドラマチックというわけではない。シークエンスの中に光の濃淡がある。これは写真ではなかなか分からなかったことである。今日の収穫である。東工大系にはこういう建築を作る人は少ないのでとても勉強になった。

最初の一文

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クリス・アンダーソン『TED TALKS—スーパープレゼンを学ぶTED 公式ガイド』日経BP社2016を読むとプレゼンで一番大事なのは話術でも声質でもボディーランゲージでもなく、それは話したいことを持っているということだという。若い頃初めての原稿を依頼された時に編集者に言われたのは「君に頼むのは君が書きたいことを持っているからだ」と言われたのを思い出す。
そしてTEDではそれをプレゼンの最初に15字で述べ、それを肉付けして最後まで主張し続けよという。それをスルーラインと呼ぶ。僕がアメリカの作文で教えられたことと同じである。それはパラグラフの最初のセンテンスにそのパラグラフの主張を一言でかくことである。そのセンテンスはトピックセンテンスと呼ばれる。書きことばでも話し言葉でも重要なのは最初の一文ということである。

September 15, 2016

Tea

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インド生まれ、バークレーで学んだジャズボーカリストTeaの歌声を聴いた。なんと張りのある透き通った声。ドラムはジャクソン。今回も良いコンサートに呼んでもらった。ありがとう。

September 14, 2016

quick steel

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「クイックスティール」という名の粘土のような物質がある。大福が白い皮とあんこでできているようにこの物質もグレーの表面と黒い中身物質からできている。この二つの物質を練って一色にすると熱を放出しながら鉄のように硬くなる。穴のあいたバケツを補修したりできるという。25年ほどまえに買ったイタリア製の椅子のジョイントが割れたのでこの物質で直してみた。ジョイントはもとどおりになりさあ使えるかなと思ったがやはりかなりの力が集中する部分なのでまた割れてしまった。しかし宣伝通り、強い力がかからないところで金属の穴を塞いだりするには使えそうである。

September 12, 2016

貴重な財産

今回のラテンアメリカでは各国の貴重なインテリジェンスと触れ合えた。皆僕より若いけれど多くのことを教えてくれた。ペルーリマカトリか大学のルイスからは建築が生み出す暗黙の差別性を、チリサンチアゴカトリカ大学のディエゴからは新しい建築家像と生き方を国立アスンシオン大学のファビエールからは建築の技術性と優しさを教えていただいた。どの一人をとってもすごい量の知の蓄積と豊かな人間性が溢れ出ていた。そんな彼らとの交流は何事にも代え難い僕の財産である。

有限の殻に閉じこもらないこと

ワークショップのための海外トリップはワークショップでほとんどの時間を費やさざるを得なくて何も見る事ができない。一方レクチャー、ミーティングメインの海外は多くの新しいものに触れる時間があり貴重である。アルゼンチン、ブラジル、チリしか知らなかった自分だが、今回ペルー、パラグアイが加わわった。都市で言えば、ブエノスアイレス、バリローチェ、サンチアゴ、リオデジャネイロ、サンパウロ、ブラジリア、ベロオリゾンテにリマ、アスンシオンが加わった。ラテンアメリカの感じ方もだいぶ変わった。一口にラテンアメリカといってもとても広くて、気候も人間も食べ物も社会も文化もそして建築も多様であることを少しずつ知ることとなる。もちろんこのトリップは延々と続く知の拡張の途中経過でしかない。そしてその拡張は死ぬまで終わらない。世界は無限で人間は有限である。たかだか80年くらいで人間の知が及ぶ範囲など人間社会のほんのひとかけらでしかない。しかし人間は有限であることをことさら意識すると有限の殻に閉じこもってしまう恐れがある。有限であることは事実であるが、心の持ちようとしてはそのことから解放された方がリラックして、多くの人やものを受けいれる柔軟性を保持できるのだと思う。無限の人間社会といっても所詮有限の人間が作り上げているのである。でも、だからこそ有限の僕らは想像力で無限を構想する必要があるのだろう。確証なんていらない、想像力で自分の殻から抜け出て無限を構想し続けること、間違っていてもいい、考えることを止めないことがとても重要である。今回のトリップで思ったことはそんなことである。

September 11, 2016

巨匠ファビエールと会う

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⚫構造模型を前に熱弁を振るうファビエラ
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⚫ファビエールハウスリビング
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⚫ファビエラハウスのプール(冬でこの暑さだからプールは必需品か?)
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⚫ファビエラの弟子ミゲルの家名前はhouse in the air
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⚫ファビエラの弟子ミゲルの事務所のテーブルはRC
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⚫ファビエラデザインのゴルフ練習場
セバスチャンが朝早く僕をパラグアイ川の実験的建築の作成現場に連れて行ってくれた。そこにはパラグアイでソラーノと双璧をなす巨匠ファビエルが私を迎えてくれてた。若手の建築家を束ねてこのフローティングアーキテクチャーの実験をしている姿は清々しい。僕より少し若い二人が国の建築を引っ張っているのだからすごいものである。
パラグアイ川を後にしてファビエルの自宅とその横にある事務所を見て驚いた。事務所は巨大模型が吊るされていてあたかもガウディのごとく構造実験が行われている。ある模型を前に熱弁を振るう姿は感動的である。今年のビエンナーレはソラーノが仕切ったが2014年コールハースがディレクターの時はファビエールが巨大構造模型をベネチアに展示していた。彼の建築は入念な構造への配慮と素人が作れるものという理念でデザインされている、アクロバットに見えるがブリコラージュ的である。事務所のそばに義父の家があり見せてもらったが一つとして新しい材料は使っておらず全てはこれまでの工事現場の余り物で作ったとのことである。
昼食後ファビエールの弟子の家、そして有名なゴルフ練習場の建物を見せてもらう。どれもが荒々しく、アクセシブル(誰でも作れる)な風情である。それにしてもキャンチレバーが好きである。

September 10, 2016

ヒスパニックの逆襲

今年のヴェニスビエンナーレはチリのアラベナがディレクターを務め、最高賞である金獅子賞はスペインの二人の建築家、パラグアイのソラーノの事務所、ブラジルのパウロ・メンデス・ダ・ロチャの長年の業績に与えられた。特別賞はペルーへ。そして唯一ヒスパニック以外で賞をもらったがのが日本だった。
ラテンアメリカで多くの人と話してみると明らかに彼らは今回のディレクター、賞について喜んでいるとともに、ヒスパニックのある種のつながりの中で賞を総なめにしたことを認めていた。
ヒスパニックの建築に豊かさや可能性を感じて彼らから学ぼうと走りまわっている僕にとっても嬉しい話だが、冷静に考えると3つのことに思いが至る。
1) ヒスパニックの逆襲とでもいうこのムーブメントがどれだけ続くかは謎である。ビエンナーレのような伝統ある美の殿堂がアラベナを選びreport from the frontのようなテーマが結果的にヒスパニックを称揚するのは最初から見えていたと思う。それを承知で開かれた今回のビエンナーレは幕間的様相を呈しているようにも見えなくはない。きらびやかな建築の形合戦に飽きた世界にダーティーリアルを見せつけるのは展覧会の存続作戦としては極めてまっとうな選択だからである。となると次回はまたあっさりとクリーンリアルに戻る可能性はいくらでもあるだろう。
2) 日本の位置はこうやってみると実に面白い。ユーロセントリシズムをヒスパニックによって相対化するのが今回の企みだとするとここには様々な政治的枠組みが見えてくるのだが、日本は言語的に孤立した文化を保持している。アングロサクソンでもヒスパニックでもアラブでもチャイニーズでもない。孤立しているからこそこうして賞の仲間にするっと入り込む余地を常に持っている(提案がよかったことは当然として)。こうなると日本がイージーにグローバライズしないで鎖国的状況を戦略的に保つことも意味あることかもしれない(もちろん今の状況を肯定するという意味ではないのだが)
3) アラベナを見てもソラーノを見ても現場からの報告という意味では極めて社会的メッセージを放っている。しかし僕はレクチャーで建築は単に社会的産物(フレーム)ではダメなのだと主張した。そしてそこに建築固有の強さが含まれていなければならないつまりどこかをリフレームする必要があることを強調した。ディエゴはそのことに強く理解を示してくれたし、そのメッセージはチリの建築家に届いていると言ってくれた。そして思うが、アラベナにしてもソラーノにしても当たり前だが、単なる社会的産物としての建築なんて作っていない。彼らは恐ろしいほど建築の建築たる所以を追い求めている。ここに来てこのことがよくわかった。

パラグアイでレンガを見る

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⚫mikiたちの作品
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⚫彼らが実験的に作ったアーチ
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⚫彼らの先輩であり先生であるソラーノの設計した障害者施設
昨晩深夜アスンシオンにつき流石に旅の疲れがたまり午前中はずっと寝ていた。昼にMiguel(ミキ)が迎えに来てくれて私をパラグアイ料理の店に連れて行きご馳走してくれた。その後彼らの工事中の仕事を二つ。彼らの友人が作り彼らがワークショップなどに使うレンガのアーチを見せてくれた。アーチを3スパンずつ作るシステムには感心する。そして最後に彼らの大学(国立アスンシオン大学)の先輩であり先生であるソラーノの障害者施設を見せてもらった。。ソラーノはウルグアイのディエステ亡き後ラテンアメリカでレンガ使用にこだわる唯一の建築家となっている。彼らが徹底してレンガを使うのは安いからだけではなく、レンガは日干しでもできるわけでコンクリートに比べるとはるかにco2排出量が少ないし地産地消なのである。例えば彼らの作っているアーチのレンガは敷地にある土に10%のセメントを混ぜて日干しで作っているとのこと。

September 9, 2016

薬局

リマで喉が痛くて薬局に行った。のみ薬とトローチを買った。サンチアゴで胃が痛くてルイスに薬局に行ってもらった。胃薬は一箱持ってきたのだが飲み終わったのであった。今日くちびるがかさかさになって薬局に行った。チャップスティックを買った。海外で薬を買うなんて滅多にない。3回はあり得ない。

作品集をいただく

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今日はホテルに荷物を預けてディエゴの車でヴァルパライソの刑務所の改修を見に行った。帰りはダウンタウンで降ろしてもらいそこからホテルまで10キロくらいをのんびりと歩いてみた。旧市街から新市街までの街の変化がつかめた気がする。ホテルに着くと昨日のレクチャーに来られていた彫刻家のイグナシオ・バルデス(Ignacio Valdes)氏からお会いできて嬉しい旨の手紙と作品集が届けられていた。バルデスさんはサンチアゴ生まれカトリカ大学出身でイタリア、パリで学び、ニューヨークで作品作りをしていたアーティスト。素敵な作品集をありがたくいただく。これから夜の飛行機でアスンシオンへ向かう。

September 8, 2016

ワインを飲みながら

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カトリカ大学のレクチャーはコロニアルスタイルの木造の古い建物で行われた。長テーブルを囲んで行われワインを飲みながらというのがチリらしい。私の正面には建築学部キャンパス全体の長である。エミリオ・デラ・セルダが座り細かくメモを取るのには驚いた。横には司会のディエゴグラス、その隣に教授が二人。他にも彫刻家や卒業生の建築家など学生より社会人の方が多いのには驚く。終わってからの質問も多種多様、チャールズムーアの影響、日常性、そしてイクスクルーシブネス、インクルーシブネスへと展開して本質的な議論となった。

カトリカでレクチャー

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プリッツカー賞を受賞したアラベナやスミルハンを送り出したチリ、カトリカ大学でArchitecture as Frame and Reframeについて話をする機会をいただいた。学部長から老齢の教授から若い学生まで聞きに来てくれる方の幅が広いのには本当に頭が下がる。質問も多く話が深く広がりとても楽しいレクチャーだった。

カトリカ大学のキャンパス

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⚫カトリカ大学建築学部のメインの建物は200年前のスパニッシュコロニアル
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⚫スパニッシュコロニアルを抜けるとコートヤードがあり逆側にアラベナの増築が建つ。
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⚫レンガを模型材料として使用しエスキス中
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⚫2層の図書館
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⚫️建築専用の図書館
アラベナやスミルハンが卒業したカトリカ大学を案内してもらいディレクター始め多くの先生とお話しができた。
キャンパスは200年前のスパニッシュコロニアルの邸宅を買い取ってそれに増築をしながら今日となっている。落ち着いたコートヤードに続いてアラベナが設計したモダンな建物が続きコンペでできた木構造のミドルライズなど実に多様な建物群でできている。このキャンパスは僕がいままで見た世界の建築大学の中でも1、2を争う環境である。羨ましい。
建築学部は独立した学部でデザイン(グラフィック、テキスタイル、ファッション)、アーバンデザイン、建築の3つの軸で構成されている(正確な学部名はla Facultad de Arquitectura, Diseno y Estudios Urbanosである)学生は1000人強、教員は常勤、非常勤合わせて60人程度だそうだ。
学生の作業を見せてもらった、レンガを使って空間エスキスをしている。たまさかそれをやっていたのはポルトガルのリスボン工科大学の学生で1年間の交換留学で来ているとのこと。アラベナ効果もありカトリカの名声は世界に広がっているようだ。

September 7, 2016

ついにウニ

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カトリカ大学で教えるディエゴ・グラスに今日は1日サンディアゴを案内してもらう。彼が彼の事務所と大学と学生とで再生、修復、改善を計画している墓地を見せてもらう。ラテンアメリカ1の巨大な墓地で入口から奥に向かって埋葬される人々の社会階層が上から下へと変化する。もちろん敷地の大きさもそこに置かれるオブジェクトも巨大な霊廟からただの十字架まで変化する。社会の縮図が展開する。昼にエッフェルの設計した魚市場で食事をしてついにかの有名なウニにありついた。日本で買ったら(食べたら)5分の1で2000円くらいするような代物が1500円弱だった。シーフードのスープはイカタコ満載で大満足である。午後ディエゴの事務所でパートナーの建築家と会う。ふたりともフランス人である。ディエゴのお家も拝見したがまたまた世界の建築家の豊かさに参る。32歳で150平米の家は実に広い。

September 6, 2016

チリに来るとワインの量に驚く

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リマとサンチアゴはただ南下している様に見えて時差が2時間もある。だいぶ西に移動していることになら。これで完全に東京の軽度としては裏にきた。今東京は朝の7時半。
去年ブエノスアイレスからサンチアゴにきた時は密度の薄いスカスカの街に来たと感じたけれどリマからやってくると都会的で洗練された街に見えてくる。今日は移動日で時差があるせいかホテルに着いたらもう夕方。朝ジョギングができなかったので走るついでに買いものをする。さすがチリ。スーパーにおいてあるワインの数が半端ない。ホテルは去年と同じオルリー。予約がいっぱいとかでとてもスーペリアルダブルを提供してくれた。ありがたい。

September 5, 2016

リマのスラム

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ラテンアメリカの国でスラムのない国はない。リマも例外ではない。リマのダウンタウンは3種類の場所で構成されている。所謂ダウンタウンと、インディオが多く住むリマックという場所と、黒人の多く住む場所である。そしてその外側には巨大なスラムがありそのスラムを抜けたあたりにPreviがある。スラムはルイスと一緒だからかもしれないが、アルゼンチンやブラジルのそれほど荒廃している感じはないし、それほど密度が上がっていない。その理由はある時期からリマへの人口流入を規制しているからなのだそうだ。ブラジル同様、スラムは都市周辺の丘に張り付く様に形成されている。そしてその丘を登るスラム内専用三輪タクシーがあるがこういう急階段もある。
スラムの建物はアルゼンチンでもんブラジルでもコンクリートとレンガで統一されているので山岳都市のような民家集落の様にも見える。こうなる理由は単に経済性と限られた材料によるのではなく、スラム住民の働いている場所が中流階級の工事現場でありそこでの建築ヴォキャブラリーが滴り落ちてくるからだとルイスは説明していた。

リマの世界的ソーシャルハウジング

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⚫ジェームズ・スターリン(平面はL字が成長するように計画)
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⚫クリストファー・アレクサンダー(リニアなウォールシステム)
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⚫アルド・ファン・アイク(六花形のコーナーが特徴)
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⚫菊竹、黒川、槇(かなり増築されているがエンドのここは少し原型が残る)
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⚫チャールズ・コレア(原型が見えないほど増築されている)
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⚫アトリエファイブ(スケールが他より小さく人間的。なぜか増築が少ない)
1966年にペルー大統領フェルナンド・ベラウンデ・テリーの要請でイギリスの建築家ピーター・ランドが考案した実験的ローコストソーシャルハウジングのプロジェクトがリマにある。それはPREVI(Proyecto Experimental de Vivienda)と呼ばれ日本からもメタボリストアーキテクツ(菊竹、黒川、槇)のチームが参加したことで知られている。
プロジェクトは1500ユニットを作る国際コンペとなり、13の海外建築家、13のペルーの建築家が選ばれた。選ばれた海外建築家には上記日本の建築家に加え、アルド・ヴァン・アイク、クリストファー・アレクザンダー、アトリエファイブ、チャールズ・コレア、ジェームズ・スターリング、などが含まれていた。敷地にはローコストを狙い、建設材料の生産、加工場が作られている。それぞれのユニットは住人による増築が可能なように考えられ、当初はほとんど1〜2階だった建物は現在は少なくとも3〜4階建てとなっている。まるでスラムのようである。ほとんどの建物がすでに完全に住民の生きられた家に成長している。アラベナが提案していたことはすでにここで行われていた。上の写真を見てもそれぞれの差を見極めるのが難しいほどヴァナキュライズされている。

September 4, 2016

リマの科学技術大学

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今朝も朝の天気は小雨。この時期はずっとこんならしい。工学技術大学までちょうど1.5キロくらいを走る。この建物はアルゼンチンの巨匠クロリンドテスタのロンドン銀行を彷彿とさせる骨のような壁柱。しかし設計はコンペに勝ったイギリスのグラフトンアーキテクツである。打ち放しが最近のラテンアメリカのコンクリートは綺麗。

そろそろ勘違いを改めないと

大学の競争資金というものがある。一生懸命やっている大学には金を出そうという国の施策である。しかしこれは政治的である。国が伸ばそうと思う産業、国交、思想に力を入れる研究教育にはお金がでるのである。去年アルゼンチンで駐アルゼンチン日本大使とお話ししたら首相がラテンアメリカに来てもブエノスアイレスには来なかったそうだ。そうなるといくらアルゼンチンとの共同研究なって言ってもそもそもそういう助成の枠組が生まれ無い。今日ルイスにその話しをしたらペルーも同じだと。彼はアフリカの研究をしているがペルー政府はそんなことには見向きもし無い。政府はみなアメリカを向いている。だからルイスがアフリカの研究と言っても「はあ??」という話しになるそうだ。しかしそんなことをずっとしていると世界はいつまでもアーキペラーゴであるる。日本はアメリカと西欧だけが世界だと勘違いし続けるのである。

Lima

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メールでもらったLuisの電話番号の数字が一つ足りなくて繋がらない。あせってチリのディエゴにメールしたらもの3分で答えをくれた。無事つながり彼とあって昼をとってからダウンタウンのコロニアルスタイルを案内してもらう。Luisはカトリカ大学の先生であり、アーバニストであり、現在フランス語で都市のセグレゲーションのPh.D論文を書いている。話を聞くとほとんどそれは社会学である。
リマはその昔はラテンアメリカ全体の首都だったからだろうか、コロニアルスタイルの意味が他のラテンアメリカ諸国とはだいぶ違う。さらにスパニッシュはほぼ混血化しておりコロニアルへの愛着が強い。なんといっても驚きは多くのラテンアメリカ諸国ではコロニアルスタイルが20世紀初頭毛嫌いされたにも関わらず。40年代に行われたリマでもっとも大きなプラザ周りの国の建物のコンペで勝利した建築スタイルがモダニズムではなく、コロニアルスタイルだったということである。もちろんこのプラザ以外にもプレコロニアルスタイルが見受けられる。コロニアルスタイルの特徴は2階に付けられた木造のバルコニーである。このバルコニーが付けられた理由は以下のとおり。
ペルーでは建築の1階は多くアドビーで作られるのだが、地震の多いこの国では2階は軽くするために木軸となるケースが多く、そうすると日の強いこの国では夏の暑さ、冬の寒さにアドビーでは弱くなるのでダブルスキンにするのだという。もちろん他にも町とのコミュニケーションをとるなどの用途は様々あったという。
リマは人口1000マン都市であり、旧市街の人の量はラッシュアワーの新宿よりすごい。ルイスにカメラはしまっておいたほうがいいよといわれそうだなと納得するような喧騒である。

September 3, 2016

ミラ・フローレス

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ロサンゼルス経由でリマペルーに着いたのは深夜12時半。ロサンゼルスから8時間の旅だった。空港からタクシーで40分は走っただろうか宿についたらすでに2時。ここはリマ近郊の新しい街ミラ・フローレスで太平洋岸の崖の上にできた街。ルイスが勧めてくれたホテルである。暖房が無くてちょっと寒かったが熱いシャワーを浴びてロサンゼルスで買ったナパのメルローを飲んで安眠。4時間ほど寝たら目が覚めた。朝のリマ(ミラ・フローレス)を走る。なんと土曜日だからかたくさんの人が走っているので嬉しくなった。その崖っぷちにペルーの巨匠フェルナンド・シスロー(Fernando de Szyszlo)の大きな彫刻がある。眼前に広がる巨大な太平洋に負けていない。


September 2, 2016

決着つかず出発

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海外に行くときはいつも1週間くらい前に一度レクチャーのパワポをラフに作って行く前ぎりぎりに精度をあげて修正するのだが、今回は留学生の受け入れ騒動でえらく時間をとられ、それをする時間がなかった。いろいろなことが後手に回り昨晩やっとグラフィックの英語原稿に目を通して平瀬さん、中野さんに回した。押し寄せる雑用をやっと片付けた。しかし結局国費留学生の受け入れについては最終的に不可との見解を国際支援(しない)課より通告され無念である。ここで断念するのは心苦しい。日本にいれればあの手この手を尽くすのだが、海外にいて大学上層部を相手にするのも難しいだろう。そうなると少々腰砕け気味である。仕方ないのか?少なくとも来年以降に備えて制度づくりをしなければ。
夕方の飛行機なのだが腹が減ってサラダを食べながら成田の夏の空を眺めがら腹の虫を落ち着かせる。

森永アンド神田

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アンリアレイジからの郵便だが、よく見るとkeisuke kanda(森永氏の親友)の名前やasicsの名前が見える。3者が一体となって新しい店でもできるのだろうか?場所は南青山5−2。8月26日オープン。今をときめく日本の代表的デザイナーは実は早稲田大学出身である。川久保と山本が慶応出身だったことを思い出す。

September 1, 2016

向上心の欠如

僕たち建築家は役所の建築指導課と常に戦っている。もっというと国交相と戦っている。設計という行為は設計を規定する法律と、施工をしきる施工者と戦うことを余儀なくされているのである。そもそも法律というものは法の精神がありその上に具体的な施工令というようなものがあるが、施工令ですべての状況を律することはできない。そこには判断の幅が出てくる。その幅を法の精神をもとに協議するのが法律なのである。その昔日建設計にいたとき役所のいいなりに設計を進めているとよく怒られたなぜそこで役所と議論しないのかと、この法の精神は何なのかと?

さて話を教育の現場に移すと大学というものは文科省の法的な規制下にある、建築業界が国交省の下にあるのと同様である。そのこと自体はあまり問題ではない。問題はそうした大学の運営においてわれわれは大学設置法をはじめ大学をとりまく様々な法の精神を吟味して大学をより良い方向に前進させなければならないのだが、そうなっていないことが問題である。大学の事務というものは大学をよりよく前進させるべく判断する能力に著しく欠如しているのである。その理油はことなかれ主義である。何かをチャレンジングに行うよりかは前例に則って責められないようなことを行うように慣らされているのである。法をよりネガティブに解釈してできない理由を100考えるのは大得意で。できる理屈を法の精神に則って考える創造力はまったくないのである。

これは統括官庁の望む所ではないはずである。中央省庁の役人はそんなに無能だとは思わない。しかし彼らのしたで教育現場で働く人の中にはこういうことなかれ主義の有象無象がいて何の向上心もないことをよく知るべきである。

輪読本

後期の輪読本をやっと決めた。今まではm2が4年生の時に読んだ本がダブらないように過去2年分の本を見てそれらを除外して考えていれば良かった。しかし昨今留学したり、インターンシップ行ったりで大学院3年というのがいるので過去3年分を振り返ってそれとダブらないようにしている。それを元に書斎をうろうろ、ネットをうろうろしながら、ファッション、建築、美学、社会学、哲学、音楽、をバランスよく選んだ。

坂牛研、2016年後期輪読本
1、 坂牛 卓 architecture as frame and reframe 三恵社 2016
(担当者は僕に代わって30全作品を説明する、全作品の特徴を一言で言い表す。レジメに写真図面は不要。和訳のない英文は全訳する。)
2、 岸政彦 断片的なものの社会学 朝日出版社2015
(紀伊国屋じんぶん大賞2016受賞作)
3、 武田砂鉄 紋切り型社会 朝日出版社 2015
(鹿島出版界の川尻さんご推薦本)
4、 柄谷行人 世界共和国へ 岩波新書 2006
(歴史を贈与の視点から切り分ける。とても便利)
5、 藤村龍至 批判的工学主義の建築 ntt出版 2014
(藤村さんの本の中では秀逸、藤村流歴史の理解)
6、 篠原一男 住宅論 SD選書
(巨匠の考えを理解する,関連する作品をレジメに載せる)
7、 磯崎新、日埜直彦 磯崎新インタビューズ lixil 出版2014
8、 磯崎新、日埜直彦 磯崎新インタビューズ lixil 出版2014
(巨匠の考えを理解する,関連する作品をレジメに載せる)
9、 松井みどり アート芸術が終わった後のアート 朝日出版社2002 (グリンバーグ以降のアート界をさらっとまとめた良書。なるべくネットで写真をコピってレジメを作る)
10、 藤田直哉 地域アート 堀内出版2016
(地域アート否定派による初めて出たまともな本)
11、村上真樹 美の中断 ベンヤミンによる仮象批判 晃洋書房 2014 (佐河推薦本、タイトルが魅力的)
12、成実弘至 問いかけるファッション せりか書房2001
(僕が「建築の条件」を考えるきっかけをくれた本)
13、循環するファション 文化出版局2014
(最近流行の循環系)