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April 29, 2015

物への切り込み方

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とある方から勧められたグレアム・ハーマンの「代替因果」(『現代思想』2014、1月号)を読んでみた。カント的認識論から再度新たな存在論への回帰を目論み、哲学が自然科学に対して守勢に回ってしまった理由を対象に対する思弁を放棄し、人間的事象(ことば、テクスト、政治)へと目を向け過ぎたことに求めている。そして科学が求める「因果」に変わる新たな物の「因果」を求め、それはアリストテレス言うところの「形相因」に近いと述べる。そしてモノの本質に迫る方法が述べられるのだが、そこで興味深いのは「人間の知覚対象は常に人間の知覚の範囲を超えている」という認識である。それはあまりに当たり前ながらあまり口にしない内容でもある。そこで、そんなことは当たり前でそれいいじゃやないかと今までは思い過ごされていたのをハーマンは(というかハーマンと意識を同じくする人たちは)そこでその物へもう少し肉迫するためのメカニズムを考えているのである。
それは一体何のために?と思いたくもなるのだが、その転回の意義はどこにあるのか?どうもそれは一つにやはり近代への反省なのではなかろうか?そもそもカント的な美学への私の批判は形式主義批判であり、質料の再評価なのだが、それも近代批判であるし、、、

Concrete and culture 翻訳の「はじめに」を考えながらハーマンを読み、物あるいは自然への切り込み方が今大事なのだと思うに至る。

April 28, 2015

水俣病を忘れない

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四ツ谷駅に水俣病記念講演会のポスターが貼ってあった。ネットで調べてみると水俣フォーラムというNPOが90年代の終わりに発足してほぼ毎年水俣病記念講演会というのを開いている。毎年数名の有識者の講演会が開かれているのだが、去年は上野千鶴子、中島岳志、今年は平田オリザなど風化しかかった水俣病の悲惨さを後世に伝えるのはもとより、公害を生み出した近代を反省するという狙いがある。その意義に共感する。水俣病が問題となるのは50年代後半。私が生まれた頃である。小学校の社会の時間の話題に公害問題はつきものでアメリカの公害訴訟で活躍したラルフ・ネーダーは我々のヒーロ―だった。
最近授業で近代とは何だったかという時に公害と戦争の話は欠かせない。こうしたNPOがあるというのに感心した。

April 27, 2015

56

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月曜日は本当に長――いゼミとその後の授業で週の頭からハードなのだが、ゼミの終わりにサプライズがあって元気が戻った。皆ありがとうね。でも56とガッツリ年齢を突きつけられたチョコレートケーキに嬉しいやら悲しいやら、、、こんなロウソクあるのね、、、トホホ。

April 26, 2015

天気がいいので青山あたりを徘徊

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〇秋山庄太郎写真芸術館エントランスアプローチ。壁に埋め込まれた写真。
国立新美にマグリットを見に行ったら、となりのルーブル展にムリーニョの「乞食の少年」が展示されているのでそっちも見ようと配偶者に誘われ両方見たら疲れた。しかしルーブルの方ではフェルメールの「天文学者」が展示されていて想定外で得した感じ。マグリットも、フェルメールも今書いている本に例示しているので少々よく見ておく必要があると思っていたところだったので。マグリットについてはコラムにも書いたのでご一読を。http://ofda.jp/column/
新美を出て青山墓地をクロスして秋山庄太郎写真美術館というところに初めて来てみた。根津美術館のすぐそばである。秋山のアトリエ兼自宅だったところだそうだ。秋山は少なからぬ縁のある人なので写真はもとより、その人間や生活に興味津々。素敵な場所で仕事をしていたのだなあと羨ましくなった。
その後この間見られなかった、ステラマッカートニーのインテリア(細矢さん)とMIUMIUのインテリアを見に行った。天気がいいせいかとにかく人が多い。まあ賑やかでいいことだ。インテリアを見て外に出ると配偶者がプラダのビルは一番好きかもというので驚いた。

弦楽器屋さんが裏道に

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朝ジョギングがてら選挙に行った。投票所は家から1分。さて高校の後輩が二人いることがわかったが、後輩だから入れるというものでもあるまい。もう一度ポスターを全部見てみた。しかしポスターの公約はどれもにかよっており(原発反対くらいは少々違うが)そこに差異は見いだせないし、人格はまして分からない。そうなると少しでもヒントがある高校の後輩になびき、今回は若い伊藤君に入れることとした。投票してからジョギングしていると「弦楽器と弓の店――Atlier Francais」というお店が裏道のマンションの1階に入っていた。弦楽器ではなく、弦楽器と弓というセットにしているところがいいね。弓も大事なんです。

April 25, 2015

ディテールいろいろ

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〇竹中帽田チーム、ステラ・マッカートニー:つなぎ目のないアルキャストスクリーン
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〇谷口吉生、神宮前のオフィスビル:アルミ切り板5ミリシールの謎
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〇ヘルツォーグ、ミユミユ:12ミリの切り板を支える構造の消し方

さあ昼から追い込みの翻訳会。残念ながら脱稿とはいかなかったけれど来月脱稿だな。ということは「はじめに」を書かねば。ところで昨日ヘルツォーグのMIUMIUの横にあったStella Mac Cartneyのお店のファサードの手の込んだスクリーンにつなぎ目がなくすごいディテールだと思っていたら細矢さんがインテリアは細矢さんで外装は竹中緒方チームだと教えてくれた。アルキャストだと細矢さんはいうのだがつなぎ目が見えないのは嵌合しているからなのかな?高そう!!ディテールといえばヘルツォーグの12ミリのアルミ板を支える構造の消し方や、246に建つ谷口さんのオフィスビルのアルミ切り板間の目地5ミリくらいにシールされているのも驚いた。シールしなければいけないような場所を5ミリにしていることに驚いたということなのだが、、、、(普通ならもっとしっかりシールしろとるでしょう)。

April 24, 2015

青山あたり

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朝一で木場の倉庫に行きクライアントの持っているテーブルを拝見する。1200×2400という超大型のテーブル。これを現在建設中の別荘に入れられるかどうかの品定めである。このテーブルはスライド式で2900まで大きくなる優れものである。だがやや大きすぎなのとマホガニーの突き板の色がかなり濃い。という所見をクライアントに電話で報告。
その足でいっしょに見に行った青山area(家具屋さん)の専務さんとareaのショールームを見に行ってソファ、テーブルなどを見せていただく。午後のゼミまで少し時間があるので最近できたヤマギワのショールーム、とカッシーナを周り最近の家具のお勉強。それで分かったことだが、LCソファ(コルビュジエ)はクッションの中身に2種類あってフェザーの入っているものは実に柔らかくて座りやすいということ。これはareaの方も言っていたが少しフェザーをいれると体へのクッション感が全然変わる。
まだ時間があったのでプラダ前にできたMIUMIUの新店舗を見に行く。プラダ同様デザインはヘルツォーグ。厚さ12ミリのアルミ巨大庇が建物上部からキャンチレバーで垂れ下がっている。しかもアルミ同士は溶接。建物サイドに回ると高さ1メートル位の部分から上50センチくらいが鏡面に磨き上げられている。溶接の目地部分も磨かれていて目地は見えない。プラダ同様とんでもないコストだろうことは容易に想像されるがプラダのようなスペクタクルな感じがぐっと抑えられ。Mac bookを開けようとしている風情である。周囲や曇天の空に消えそうな色とどうでもいいようなただの箱。こういう建物あり方は好きである。あの辺のファッションビルの中では頭一つ抜けている感じがする?

April 23, 2015

ありそうでないこと

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今から10年くらい前にまだナディフが表参道の裏に店を構えていた時に鹿島出版会の人に紹介されて田中巧起さんとお話した記憶がある。徹底して美術史を振り返り、何が行われていないかを考えていると言っていた。その後ダンボールを並べたり、家具を並べたりする作品や、同じ動作が繰り返されるヴィデオ映像などを見ながら、確かに今までに似たようなものがあってもちょっと違うと思った。最近森美術館で流れていたヴィデオ映像は板前さんの調理風景のアップでこれはえも言われぬ魅力があった。人が料理を作るというのはたいして不思議な光景ではないのだが、プロの料理風景はテレビの料理教室くらいのものであまり見たことがない。それをアップで見るというのはありそうで無い光景である。このありそうで無いというところが重要な視点である。この本(『必然的にばらばらなものが生まれてくる』武蔵野美術大学出版局2014)はそんな彼の歴史が綴られている。作品のヴィジュアルがないのだが、言葉で考えている彼の作品はむしろ言葉の方が伝わるのかもしれない。ありそうでない着眼点にぎょっとする。なるほどものにはまだ見えていない面があるのだということを知らされる。

April 22, 2015

SRとNM

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21世紀の僕らが倫理的に暗黙に社会やそこに登場する物(建築でも都市でもなんでもいいのだが)に対して持っている(持つべき)感覚の一つは、それらを大事にしましょうという「優しさ」であり、もう一つはそういうものが自分たちの知らぬ不気味なパワーを持っている(原発はわかり易いが)かもしれないという「不安」である。この優しさと不安を哲学的に裏付けている昨今の風潮が、新唯物論(new materialism)と思弁的実在論(speculative realism)というものである(らしい)。そもそもカント以来の認識論的転回はモノ自体を否定して「人の理解したモノ」があると考えるようになったのだが、それがおかしいと言い出したのが上記哲学的状況で千葉雅也はこれを思弁的転回と呼んでいる。
つまり「人の解釈したモノ」があるのではなく「モノ」があるというカント以前の状態にひとまず戻って、さらに冷蔵庫も机も椅子も電話もそして人間も同じ水準にあり、人間をモノとは別格に置く認識論を破棄する考え方である。
さてこうした考え方は建築の創作、受容にどのような影響を及ぼすのだろうか?と考えてみるとストレートにこの考えを受容すればモノと対峙せよということになる。NM new materialismに即せば建築を大事にしなさいとうことになるし、SR speculative realismに即して考えればモノ自体の持っている計り知れない世界に向き合いそこから湧き出る未知の世界を感受せよということになる。この考え方は様々なものの価値が相対的に社会に浮遊しているというポストモダン的な思考を否定して、かなりの程度個人的な「思弁」に依存しそれをお互い極度に否定しあわないという関係性を肯定するもののようである。さらに言うならば、昨今のビッグデーターで様々な意思決定を行ったり価値判断を行う傾向をも否定していくものでもあるだろう。しかしこれは昨今の学生の卒計などにも見られる社会性」の呪縛からの解放とは、やや異なる位相にあるだろう。彼らの選択は解放へのエネルギーに基づくものであるが、上記思弁的転回はモノを再度見つめ直す強い観察眼と洞察力に裏付けられている。
とここまで書いてしかしではその観察学と洞察力とは何なのか???まだ先はよく見えない。

April 21, 2015

曙橋にはY字路が多い

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今朝はジョギング中(というのは嘘で最近足が痛くてウォーキング中)にコインパーキングに停まっている超ロングのリムジンがパーキングからはみ出ているのを見て思わず笑った。そのそばに新たなY字路を発見。曙橋界隈にY字路が多いのは何故だろうか。このあたりの都市史と関係するのだろうか。午前中お勉強。午後は東工大でエスキス。今年はエスキス受ける学生が去年の倍はいるなあ。不思議なものである。夜は理科大でプレディプロマエスキス。ああ腹ペコだけれど食べるのはやめてシャワー浴びてベッド直行して本読んで寝る。

April 20, 2015

美学芸術学研究

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前期の月曜日は長時間ゼミと授業があり結構しんどい。でもゼミも授業も面白い。ゼミの発表は卒論、修論の組立なので特に4年生は時間がないので真剣である。2部授業の学生は80人近く寝ている学生はほとんどいない。皆真剣な目でパワポを見ている。その目でこちらも頭が活性かしてくる。相乗効果。というわけで脳みそは快調なのだが、足がこのところひどく痛くてもう歩くのが辛い状態。その上台風が来たのかというような生暖かい湿度の高い空気にうんざり。帰宅すると美学芸術学研究が届いていた。ミュージックコンクレート研究と、小田部さんの判断力批判における構想力の研究は読んでおこう。

April 19, 2015

オープンハウス

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今日はなんとオープンハウスダブルヘッダー。一つ目は坂本先生の最新作のオープンハウス。数年前に町田の美術館で大きな模型が展示されていた100㎡強の住宅。建物の全体の構成はハウスSAを彷彿とさせる螺旋状の連続した空間で地下から始まり最後は屋上で終わる。その繋がり方はSAを凌ぐ軽やかさである。加えていつもながらのスケールの調整は勉強させられる。随所に設備的な工夫がされているのはSA同様である。このあたりは坂本先生の偉いところだと思う。いま関係性論を考えているとき、こうした関係性はどう捉えたらいいのか面白いテーマである。
早々に坂本先生とお別れし、甲府の自作のオープンハウスに遅れて駆けつける。遠くて人が来にくいところだけれど、信大のOBや理科大のOB、事務所の人たちが来てくれた。ご来場ありがとうございます。

April 18, 2015

ローザス・山口小夜子・ガブリエル・オロスコ

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午後池袋芸術劇場で「ローザス」のコンテンポラリーダンスを観る。音楽はスティーブライヒの「ドラミング」が全編使用され、衣装はドリス・ヴァン・ノッテン。硬いミニマルミュージックと優美でセクシーなダンスのコンビネーションは訴求力がある。コラムに詳しく書きました。http://ofda.jp/column/
池袋から大手町経由で清澄白河の東京都現代美術館へ。最近来たくてもつい遠くて来られなかったのだが今日はこのあと茅場町で食事会があるので丁度いいタイミング。山口小夜子展とガブリエル・オロスコ展の両方を見ることができた。ちょっと駆け足だったが双方面白かった。山口小夜子が舞踏をして詩の朗読をしてファションデザインもしていた晩年の姿が報告されていた。山口を最も多く撮った横須賀功光曰く「小夜子を撮るときはこれだなっていうところまで撮るんだけれど、写っているのはそれ以上なんだよね」と言っている。そういうことがどういうことなのかはカメラマンではない僕には実感としては分からないけれど、周囲にいる人を含めて世界を作れてしまう雰囲気を持っているということなのだろうと推測する。そういう人は誰かが言っていた、ある意味知的な人ということなのかもしれない。


April 17, 2015

風景の共有

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京大田路先生より『日本風景史』昭和堂2015をいただいた。400ページを超える大部の書であり、古代から現在まで13人の方による論考が掲載されている。全体を貫くと思われるコンセプトが共感できる。とは言え、そのコンセプトはまえがきを読んだ限りの自分の推測なのだが、それは風景とはそれを先導する社会的に共有されるヴィジョンに基づき人々が獲得していくものであるというものである。つまり風景とは社会的に共有されるという考え方である。田路先生が京大で風景論の知を共有していた中村良夫先生は私が学生の頃は東工大におり、中村先生の考えに私は大きく影響を受けていたのでおそらくこの推測は半分以上正しいと思う。

甲府の児童養護施設のオープンハウス

甲府の児童養護施設のオープンハウスは4月19日12時から16時までです。フライヤーは下記からDLください。
甲府の児童養護施設のオープンハウスフライヤー

April 16, 2015

実態と意識

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数土直紀編『社会意識からみた日本-階層意識の新次元』有斐閣2015を読むとへえーと思いつつさもありなんという事実にぶつかる。階層帰属意識アンケートで上、中の上、中の下、下の上、下の下、わからない、に丸を付けてもらうと中の上、中の下に丸をつける人は時代的に以下のようになる。50.7(1935)、39.4(1945)、41.9(1955)、54.7(1965),76.4(1975),71.4(1985),72.3(1995),55.2(2005),71.5(2015)。戦後、50年代に国が中流を目指して進み、60年代高度経済成長、70年代中への帰属意識は7割まで上がる。しかし80年代は不平等感が始めて意識され始め、90年代バブル崩壊するにも関わらず中帰属意識はむしろ上昇。リーマンショック前の2005年に急激に下降するが2015年にはもとに戻っている。
格差社会と一億総中流の高度経済成長時代の中帰属意識の割合が変わらいというのはなぜなのか?その理由の一つは高度経済成長時代は国が中帰属意識を煽って、国民全員がその気になっていたというものである。実態は経済その他の状況から見てもっと差があった。では今はどうしてかというと二つの仮説があり、一つは収入が異なっても皆が似た様なライフスタイルで生きているからおなじ帰属意識(中)を持つ、もう一つは収入が高くても社会的地位が低いとか、収入が低くても社会的地位が高いなどの地位の非一貫性が中を選ばせるから。総じて、高度経済成長期は帰属意識ほど、中が多かったわけではなく、格差社会の現在も帰属意識ほど中が多いわけではないということである。では実態としては昔と今は同じなの?

April 15, 2015

なぜか坂本建築が登場

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午前中とある出版会議。昨日もグラフィックス本の編集会議を行い、編集者の分析力が本の質をぐいぐい高めて行くのを感じた。今日も編集者の的確なコメントとアイデアをもとにディスカッションしていく中で、自分の頭の中が整理され、新たなアイデアが出てきた。稲葉なおとが本は編集者との合作だと言っていたがそのとおりだと痛感する。
夕方神楽で二年生製図のオリエンテーション。担当非常勤は今村水紀さん、上條美枝さん、新堀学さん、鉢屋景二さん、長谷川祥久さん、水戸淳さん。皆さん第一線で活躍されている建築家である。それぞれの先生には第一課題の「光の部屋」の趣旨に即して自らの経験から「光」に関連するスライドを紹介してもらった。新堀さんは坂本一成さんの代田の町家を紹介していた(ちょっとびっくり)。それは光というよりか開口部の説明に坂本建築を例示していた。なるほど開口ということなら坂本建築にはこだわりがある。
夜は最終で甲府へ。今晩は甲府に泊まり明日朝一でカメラマンと会い、撮影指示をする予定。

April 14, 2015

実感のできることから始めよう

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朝グラフィック本の編集会議。平瀬さんの冴えたグラフィック分析が分かりやすい。だいぶ話が見えてきた。午後一で東工大に行って三年生の製図のエスキス。今日は初回なので全員敷地を選んで発表してもらった。去年まではいつも発表者が6~7人だったので呑気にやっていたら時間配分を間違った。最後の方は超駆け足になり申し訳なかった。5時半に東工大を出て南北線で飯田橋にもどり、こちらは4年生の製図ディプロマのオリエンテーションン。去年までは、エンジニア、コンテクスト、プログラムのどこかからスタートせよとしていたのだけれど今年はキーワードを羅列して、どこに食いついてもいいとした。そして実感のできる具体的な事象から始めること、大きな概念から始めないことを念頭に置き、ラウンドテーブルで皆が意見すると言う方式に変えてみた。さてこの方式去年よりいい結果を残せますように。

April 13, 2015

スキンヘッヅ

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昨日の結婚式披露宴の席次表は新郎新婦の手作りで新郎側は新郎が描き、新婦側は新婦が描いたそうです。ついに(というかだいぶ前からですが)スキンヘッヅに描かれた。でも事実だからな。でもなかなか僕だけではなく皆さんの特徴を捉えていて上手。ありがとうさん。
それにしても、一昨日まで雨、今日もかなり強い雨。昨日一日だけ晴れというのが奇跡。彼らは強運だ。

April 12, 2015

佐河君の結婚式

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本日は元スタッフ現研究室助手の佐河君の結婚式、披露宴、二次会、と昼から夜まで楽しみました。大宮の不思議な結婚式場+保育園+レストランという場所で桜の木の下で人前結婚式。初めてお会いした新婦はなんともチャーミングな方でした。披露宴はその隣の大きな空間で。そこでは久しぶりに新君と大室君と話ができて楽しかった。その後駅前のスペイン料理屋で2次会、そしてそこにあつまった事務所の皆+研究室の3人と3次会でした。いい会でした。佐河と奥さんの絶えぬ笑みがとても素敵でした。ずーーーっと楽しくやってね。

April 11, 2015

竣工式

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今日も寒い朝だったが甲府に着くと少し天気もよくなり現場に着いたら雨もあがった。児童養護施設の竣工式をできた2棟の建物の1棟で行い。その後祝賀会をもう一棟で行った。数ヶ月前に就任したばかりの若い甲府市長も来られた。公約の最初にこども支援を掲げているそうだ。この建物は大きな計画の第一期。今後の展開にも理解をいいただきたい。
僕も一言建物解説を述べた。検査の時もそう思ったが、とにかく様々な苦労(まあどこの現場だってあることだが)を的確に解決してくれた望月所長の功績は大きい。望月さんには以前の3廊下の家という住宅の工事もしていただいており、大きな信頼関係があったからこそできたのだろう。またこのあたりで仕事があればお願いしたい人である。

April 10, 2015

3年生の製図スタート

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夕方から二部建築学科の製図のオリエンテーション。今年は非常勤の先生たちががらっと変わり、塩田先生以外は新規の先生ばかり。新しい先生は、浅見和宏、山道拓人、千葉元生、塩田能也、比嘉武彦、山本力也という顔ぶれである。坂茂、塚本由晴、谷口吉生、長谷川逸子、妹島和世の弟子たちである。それぞれみなさんのプレゼンをしていただいた。まだ独立してから自分の仕事のない人もいればもはや先生のところにいた時間より長く独立した時間を過ごしている人まで様々である。いずれにしても、それぞれの人のプレゼンには先生の香りがするものである。
(写真は比嘉武彦さんの工事中最新作、140メートルのRC屋根)

April 9, 2015

稲葉なおとの篠原・坂本レポート

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大学のクラスメート稲葉なおと氏から彼の書いた記事の載った雑誌YUCARIが届いた。マガジンハウスから出ており、定価648円。内容は日本の伝統文化を継承するのがコンセプト。第19号で特集は「美しき日本の家」。ここで稲葉氏は村野藤吾設計の旧佐伯邸、篠原一男設計の海の階段、坂本一成設計の祖師谷の家を紹介している。写真も文も稲葉氏である。彼の視線のユニークなところは単に建築の美しさを伝えるだけではなく、クライアントと建築家の関係を建築の中に見出すところにある。佐伯邸はもちろん近鉄中興の祖である佐伯氏、海の階段は日本画壇の重鎮野見山暁治、祖師谷の家はもと新建築編集長である石堂威。われわれプロの建築家にとっても名建築がクライアントとのどのようなやり取りの中で生まれたかはとても興味深い。一体施主は建築家に何を要望したのだろうか?野見山暁治が「広いアトリエを欲しい」と言って篠原は先ずは壁で区切られたアトリエおもっていきそのうちにその壁を取り除いていったという話はさもありなんである。野見山は篠原さんは最初から広いアトリエを構想していたに違いないと事後的に篠原の戦略を見破っているところもおもしろい。果たしてそれが本当ななのかどうかはもはや誰もわからないのだが。

April 8, 2015

竣工検査

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9時のあずさで甲府へ。今朝は東京もみぞれ模様。途中相模湖あたりでは雪で山は真っ白。甲府についたら雨。昼から事務所検査と施主検収を同時進行。若干打ち合わせと違う工事が行われていたりもしたが、ほぼ完全に終わっていることに僕も施主も満足。今回は予算も時間も無い中でまあよくここまで来たなという感じである。納りやら、色決めやら施主に押し切られたことも多かったのだがこの手の施設はどこ行ってもそうなる。施設を24時間使い込んでいる人たちには譲れない信念があるのだろう。

金箱さんと大空間を教える

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昼から東工大で前期の製図の課題説明とショートレクチャー。この課題は去年から行っているもので、構造の金箱先生といっしょに行っている。
去年は私が設計したリーテム東京工場の別案を考えるというのを行ったが、今年は都市に屋根をかけて公共スペースを作るという趣旨の課題とした。題してPUBLIC ROOF。都市の中に公共の場を見つけて屋根をかけよというものである。大きさは20メートル角から100メートル角まで自由。ただしその屋根の下に屋根面積の10%くらいの公共の用途をもった建築を挿入せよというものである。課題の説明には、パウロ・メンデス・ダ・ロシャ、オスカー・ニーマイヤー、アルバロ・シザ、レイディなどのピロティ、屋根のデザインをお見せした。続いいて自己紹介で自作とパブリックルーフの関係性を説明した。うちの家、松ノ木のあるギャラリー、リーテム東京工場、お祭りプロジェクト、工場コンヴァージョンコンペなど説明。その後金箱さんが大空間の説明を行った。おもしろい。

April 6, 2015

反知性的な人

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内田樹の『日本の反知性主義』晶文社2015の彼の知性的な人とそうでない人との定義に至極同感してしまう。曰く、知性とは集団的なもので集団の知的好奇心を高め集団が理性的に物事の判断をするようになるための雰囲気と流れを作れる人を彼は知性的と呼ぶ。一方でその人の知的レベルがいかい高かろうと「その人がいるせいで周囲から笑いが消え、疑心暗鬼を生じ、勤労意欲が低下し、誰も創意工夫の提案をしたくなくなる」ようなそんな人を内田は「反知性的」と呼ぶ。そして昨今頭が良いのに、知識が多いのに「反知性的」な人間が日本を跋扈していることを内田は嘆いている。私も同様な気持ちになることが多い。なぜなのだろうか?これは今時の顕著な傾向なのか、昔からよくあることなのか?

April 5, 2015

伊豆で萩原節を見る

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昼に東京駅のマルゼンで本を買って宅配を頼む。東京駅地下で駅弁を買って踊り子号に乗り食事をしながら今買ってきた本を読む。今朝ネットのニュースを見ていたら信大の入学式で山沢学長が「スマホを捨てるか信大生を捨てるか」と学生に迫ったそうでなるほどま今時的を射た言葉だと感心した。本を読んで自分の頭で考えろということである。これはまあ学生にもあてはまるけれど自分自身も注意すべきことである。自戒の念をもって受け止めたい。電車はもうすぐ伊豆高原である。ここで萩原さんの設計した住宅を見せてもらう。
伊豆高原駅から歩いて10分突如現れた別荘は思ったより小さいし、敷地に斜めの軸線で建つ建ち方で立体的である。外部のディテールはもちろん萩原流。内部のプランニングもとてもスムーズ。何時間いただろうか素敵な風呂にも入れていただきビールを飲みながらこの空間を反芻するにやはりこの建築に独自なのは3つの大質の異なるキューブが空間を文節しているそのつくりかたである。それはぱっと見よくわからないことなのだが、ずーっといるとそこかなと思うわけである。

April 4, 2015

展示会3軒はしご

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お昼にアントワープで活躍しているファッションデザイナー本郷泉さんの日本での展示会を尋ねる。今日は西谷真理子さんに誘われ教え子の竹之内芙美と3人。表参道アニエスbの隣のスペースに本郷さん自ら染色したニットが並んでいた。独特の色彩感とフォルムは建築やっていたからだろうか。彼女は早稲田古谷研で平瀬さんの同級生。加えて教育大付属高の僕の後輩でもあるということで前からお会いしたかったのがやっと会えた。本郷さんの店を出てから食事をして次は青山スタジオで森永さんとお会いする。アンリアレイジのLIGHTシリーズの展示会である。欲しいモノがいろいろあったがみな秋冬物なので直ぐ着たい私としては少々ためらう。そこを出て表参道を渡りハトラの展示会で長見さんと初対面のご挨拶。そしたら星野太君と会う。彼は今東大で助教をしているとのこと。
今日は西谷先生に物を見よと言われ3つはしごしてとても勉強になった。やっぱ見ないとなあ。

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パブロ・エルゲラ秋葉美知子他訳『ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門――アートが社会と深く関わるための10のポイント』フィルム・アート社2015(2011) を読むと『関係性の美学』に始まる新たな社会的アート活動がどこまで来たかが分かる

曰く

トレスのインスタレーション・・・・ティラヴァーニャの食事を共にする行為のような「関係性の美学」に関連するほとんどの作品、この種の参加はたいてい、あるメディアの実行・・・とか、開かれた社会的環境で作品に自由に加わる・・・といったものだ。SEA(ソーシャリーエンゲイジド・アート)は・・・参加型プラクティスの精神を受け継いでいるが、・・・むしろ他社の参加を促すためのプラットフォームやネットワーク形成に重点が置かれ、それによってプロジェクトの効果が・・・長期間続くことをめざしている。(p47)

というわけでより一層アートのアウラをかなぐり捨てて、社会貢献活動へと前進している。よってこの活動をアートを除いて、ソーシャル・プラクティスとも言われる場合もあるようである。

April 3, 2015

花粉症じゃないみたい

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声ががらがらになったり、鼻が詰まったり、今までにない症状に、花粉症と覚悟を決めて耳鼻科に行ったのだが、、、少々アレルギーっぽいけれど花粉症ではないような診断だった。近年稀にみる量の薬を処方された。
抗生物質、解熱剤(熱ないんだけどな)、痰を出しやすくする薬、胃薬、アレルギーの薬。間違いそう。なんとかこれで治りますように。

April 2, 2015

新たなラテンの友人

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アルゼンチン大使館の柏倉さんから最近アルゼンチンから建築家が来ると会ってくださいとメールが来る。一応会う前にポートフォリオみたいのあったら送ってくださいというと律儀に送ってくれる。今日会ったマーチン・フンベルマンのポートフォリオは面白いことに建築作品は一つも載ってない。あるのは素敵なインスタレーションとファッションショーの舞台装置である。今日は夕方ガールフレンドのマリアとやってきた。会って話すと彼はブエノスアイレスでギャラリーも持ってそこで実験的な展示をやっていると言う。僕が何かしたければどうぞという感じである。君は建築家か、芸術家か、キュレーターか、エディターかと問うと、全てであり今できる表現は全てやるという。なんで東京がおもしろいかとい聞くと世界で一番ファッショナブル、ニューヨークの比じゃないという。そうかなと思うが。彼自身が最初に発表した雑誌がFRAMEで最初の個展がパリで。次に教えたのがミラノだかで、あまり帰属意識なく世界を飛び回っているのが気に入った。ということで荒木町で食事をして別れ、9月にブエノスアイレスで再会することにした。

April 1, 2015

勝浦現場の帰りに筍を買う

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勝浦の現場は上棟後の最初の施主定例。緩い勾配と1.5メートルの庇は箱の上に一枚の紙が乗っているように見える。緩い丘に置かれた切妻屋根は敷地の高い方から見るととても低い。厳密に左右対称で自分で言うのもなんだが綺麗な形である。クライアントの車で帰路送っていただく途中道の駅で野菜を買う。エシャロット200円、ルッコラ100円、ベビーリーフ100円、筍1200円。店が閉まる時刻なのか筍は半額。今が一番美味しいいらしい。このあたりは筍の産地で道の両側に筍の直売店が軒を連ねている。