« なぜか坂本建築が登場 | メイン | 甲府の児童養護施設のオープンハウス »

実態と意識

150416%20%E5%86%99%E7%9C%9F.JPG
数土直紀編『社会意識からみた日本-階層意識の新次元』有斐閣2015を読むとへえーと思いつつさもありなんという事実にぶつかる。階層帰属意識アンケートで上、中の上、中の下、下の上、下の下、わからない、に丸を付けてもらうと中の上、中の下に丸をつける人は時代的に以下のようになる。50.7(1935)、39.4(1945)、41.9(1955)、54.7(1965),76.4(1975),71.4(1985),72.3(1995),55.2(2005),71.5(2015)。戦後、50年代に国が中流を目指して進み、60年代高度経済成長、70年代中への帰属意識は7割まで上がる。しかし80年代は不平等感が始めて意識され始め、90年代バブル崩壊するにも関わらず中帰属意識はむしろ上昇。リーマンショック前の2005年に急激に下降するが2015年にはもとに戻っている。
格差社会と一億総中流の高度経済成長時代の中帰属意識の割合が変わらいというのはなぜなのか?その理由の一つは高度経済成長時代は国が中帰属意識を煽って、国民全員がその気になっていたというものである。実態は経済その他の状況から見てもっと差があった。では今はどうしてかというと二つの仮説があり、一つは収入が異なっても皆が似た様なライフスタイルで生きているからおなじ帰属意識(中)を持つ、もう一つは収入が高くても社会的地位が低いとか、収入が低くても社会的地位が高いなどの地位の非一貫性が中を選ばせるから。総じて、高度経済成長期は帰属意識ほど、中が多かったわけではなく、格差社会の現在も帰属意識ほど中が多いわけではないということである。では実態としては昔と今は同じなの?

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://ofda.jp/lab/mt/mt-tb.cgi/7529

コメントを投稿