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November 30, 2015

セバスチャン・サルガド

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セバスチャン・サルガドという写真家がいる。ブラジル生まれで、サンパウロ大学で経済学修士をとり、政治的な理由でパリに移り住む。その後写真に目覚め、写真家に転身する。そしてアフリカを撮り続け、ラテンアメリカに戻る。
ブラジルという国がポルトガル人が連れてきたアフリカ人奴隷をオリジンとした国ということもあり、アフリカはとても親しめる国だったようである。しかしそこで見たものはとてつもない貧困だった。消費社会が地球の住民たちをものすごい規模で搾取して、貧困に追いやっている。サルガドは語る。
ポスト消費社会という言葉があるが、資本主義が回っている限り、消費社会は消滅しないし、それが世界に格差を生むことも排除できない。サルガドの写真は強烈にそれを伝えている。

November 29, 2015

紋切り型

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この本も川尻さんのお勧め。武田砂鉄『紋切り型社会—言葉で固まる現代を解きほぐす』朝日出版社2015(ドゥマゴ文学賞2015)を日曜の午前中に読み抱腹絶倒。

紋切り型は社会の制度が要求する儀礼なのである。一体それはどこに見られるか?僕らの設計という仕事の中ではあまり発生しない。紋切り型クライアントはあまり現れないし、こちらも本音だからである。よって私の周りにある紋切り型社会は大学である。大学という場所は典型的な制度である。よってその制度が要求する儀礼がいろいろあるそれは教育の場でも起こる。

⚫よく学生の設計に「切実さが足りない」という人がいる。僕もそう思う時がある。でも学生からすれば「あるわけねえーだろう、建たねえんだからさあ」と反論されそうだ。
建築という学問を机の上で教えることの軽さと、嘘はどうしたって拭えない。でも必要なのである。だから時として紋切り型の言葉が登場して学生をまごつかせる。

大学というのは全国に800以上もあり、そのヒエラルキー(制度)があってそれぞれの大学には制度上の役割がある。

⚫杭偽装問題で新聞社の質問を受けた某有名大教授がジャーナリズムは「すぐ規則を厳しくすればいいというが、やるべきことをきちんとやるシステム作りが重要だ」と新聞を読んでいれば子供でも言いそうなことを言って誇らしげである。誰でもが思っていることを代表して言うのがその大学の教授の制度上の役目ではあるが、そういう紋切り型を演じることに人生の貴重な時間をかけていることに後悔はないのかと驚いてしまう。

これは大学じゃなくてもおよそ制度的な組織ではどこでも起こりそうな話だが、

⚫「若い人に頑張って欲しい」自分はもう隠居だといいながら常に先頭に立って不要なことを叫ぶ年寄り。本当に若い人のことを心配しているのか自分の存在価値を示したいのか不明。若い人を心配するのならやめたほうがいい。心配しなくたってあなたくらいにはなる。世の中なんてそんなもんだし、それほど捨てたものではない。

さてこういう紋切り型なんていう本を読んでおよそ人を批判することしか思いつかないこの時点で自分がそういう紋切り型にどっぷり浸かっていることに気づかないといけない。学生にうだうだ文句言う前に自分の足もとをよく見よ。お前が一番紋切り型で制度的である。

私の敬愛する二人の会社社長がいる。敬愛する理由は紋切り型ではないところ。彼らに共通するのは、その会社の社長でいるのがいやでいやでしょうがなく、社長というポジションには何の未練もない。それは結果的に素直で謙虚な人物像として現れるし、制度に絡め取られず、紋切り型から脱出できている。。一方で自分はこの会社の社長であることに自負とリーダーシップを感じてグイグイ行く人も知っている。こういう会社はしばらくいいかもしれないが、そのまま行けば最悪である。紋切り型になっていることに気づくすべもなく地獄に向かってまっしぐらである。

さあ明日からまず自分を見つめなおさないと。

November 28, 2015

ジェンダー空間

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朝から事務所で引越しの箱詰め、腰が痛いので慎重に慎重に、学生の応援を頼んだが空振り。3時頃までに新建築以外の箱詰めを終えたところで箱がなくなったので帰宅。
バートレットの建築学科のディレクターである、スケボー好きで有名なイアン・ボーデンが編者の一人である、『ジェンダー空間建築−学際序説』(Gender Space Architecture An interdisciplinary introduction)Routledge 2000 が届いてぺらぺら眺める。抄録が多いのでまあ、ジェンダーについて、誰がどんなテーマを持っているかぐらいのことしかわからないが、少なくともこんな本があるということが日本の遅れを露わにする。もしかすると社会学者が少し手をつけていたりするのだろうか?

November 27, 2015

一人ブレスト

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ゼミの1時間設計をしている間に読む本を忘れた。仕方なく、原稿の素案を黒板を使って一人ブレスト。初めてやってみたが結構考えがまとまる。大きな机に大きな紙を敷いて考えるのと同じ。大局的に物が見れてこれは結構いける。これからも活用している。

November 26, 2015

yankee (naughty) architecture

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『ヤンキー文化人類学—突破者たちの「アート」と表現』フィルムアート社2014を読みながら、これはある階級(勢力分配の不平等によって形成された上下関係)意識のプライドの表れなのか?社会階層(社会資本への接近可能性や獲得機会の大小によって序列付けられた場所)が半ば必然的に産みだした表現形式なのか?あるいはその両方なのかと考えてしまう。その昔の暴走族のようなものは確かに階級意識の表れであろうし、最近のデコトラなどはむしろ後者のように思える。
建築にもそういう階級意識の表れと社会階層の表現という二つがあるのだろうと思えてくる。前者はどれほどまで階級意識の表れとなっていたかは別としてプロレタリア建築理論などというものはあったようである。後者はというとさてデコトラならぬデコ建築があるのかということだが、、、それに近い傾向として昨今のセルフビルド的趣味的建築というものがあるように思う。それはとある社会階層に見られる、、、どこにでもあるというものではないが、、、特殊解ではなく存在しているような気がしている。

November 25, 2015

シルバー天井

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OFDAは12月1日に荒木町から四谷坂町に引っ越し。宮晶子さんとシェア。もともと倉庫のように使われていたとある住宅の1階。現在内部のお化粧中。もともと倉庫なので床壁天井コンクリート。床にクリアの防塵塗装を施し、天井はシルバーペイント。あとはそのまま。家具は目下設計中。と言ってもしなのランバーコアを並べるだけなので板取中というのが正しい。棚はエレクタとしなランバーが混在。アンビエント照明はこの銀の天井にアッパーライト。手元はゼットライト。

November 24, 2015

unintended city

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理科大の恒例になってきた年末の国際ワークショップ。今年は第4回目でオートリア、ウィーン工科大学の客員教授で建築家のエルンストベネダーが来日する。エルンストとはかつて机を並べて勉強した仲である。数十年ぶりで会えるのも嬉しいし、二人で考えたワークショップ課題を理科大の学生と考えるのも興味津々である。佐河くんの作ってくれた素敵なポスターも出来た。意図されない都市空間を木造の装置で繋ぎ合わせようと言う実に深いテーマである。学生達の知性の戦いを期待したい。

November 23, 2015

ちょっと演劇を

11111735_5642fdea330ff.jpg研究室でとある劇団の練習場のリノヴェーションのお手伝いをしている。彼らの関係する芝居があるということで見せてもらった。草月ホールでの劇団番町ボーイズ☆第3回本公演 舞台『HOME ~魔女とブリキの勇者たち~』の千秋楽。演劇はあまり見たことがないので未知の世界だし、周りを見ると客層がほとんど10代の女性のようで果たして私の理解の範囲にあるのだろうかと疑心暗鬼だった。少々説明的な部分が長いのと、絶叫が多いのは若い人向けなのだろうと差し引き、そこそこ楽しませていただいた。清水翔太のHOMEという曲の歌詞を演劇に仕上げた作品で主演は清水翔太役をえんじた松本大志という方。
一番びっくりしたのはこの公演のチケットの値段SS席12000円、S席8000円、A席6000円である。10代の女性相手にこの値段が取れるというのはなんともびっくりでした。

November 22, 2015

お祝い続き

FullSizeRender-27MEGANEMEGANE.jpg午後から伊藤事務所の高塚さんの結婚パーティー。OFDAに来て2年半。今年は担当プロジェクトがSDレビューにも入選して喜ばしいことが続きます。今後とも頑張ってください。パーティー会場のそばにあった眼鏡屋のファサードがメガネで出来ていて驚き。
今日11月22日は私たちの結婚記念日でもあり27年くらいたちました。二人ともとりあえずまだ生きていて良かったです。

November 21, 2015

帰国

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バンコクからの夜行便で成田に6時頃着くのだが、3時間の時差があり、向こう時間で乗ると寝られない。成田についたら結局2時間くらいの睡眠。帰宅して、シャワー浴びて少し寝てから原稿を書いて、ジム行って新しい腰の運動して、神楽坂で理科大の文化祭へ。建築有志の展示を見て投票などする

November 20, 2015

イスラム文化圏

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この5年間くらいスペイン語を話す国との付き合いが深い。その理由は2009年にブエノスアイレスの日本建築展に呼ばれしばらくアルゼンチン建築文化や教育を見せてもらって、一つ考えることがあったからである。それは、「ここには日本では感じられないもう一つの建築文化がある」ということだった。スペイン語を話す人口は中国語について世界第二位の3億2900万人である。
日本はイギリス、アメリカを手本としてここまで来ているが英語を話す人口は3億2800万人。スペイン語よりやや少ない。アメリカ中心主義の昨今の情勢が生み出す矛盾が理由かどうかわからないが、僕にとって今英語圏の外への興味が高い。そして次は世界第4位の語圏であるアラビア語圏と思っていた。そうしたらひょんなことからバングラデシュに来た。もちろんバングラデシュはベンガル語でアラビア語ではない。しかし回教徒の多い国であり、アラビア語文化に密接に関係する。また一つ違う文化圏に足を踏み入れかけていることに喜びを感じる。

November 19, 2015

再びカーン

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今日は戦犯裁判に反対するストライキがあるらしく、街は危険状態にあるようで車もリキシャも信じられないくらい少ない。ただ都心の警戒地区は安全とのことで、国会も海軍副司令官の特別の配慮で案内していただくことができた。撮影は禁止なので写真はないが、初めてじっくりと見たカーンの建築に圧倒された。水の国(洪水の国)を象徴する建物として池の中に作られているし、電気の乏しさを配慮して電気が消えても使える自然光の配慮、メンテも頻繁にはできないだろうということで高級な仕上げはしていない(という説明はあまり科学的ではないが)とのこと。1964年にスタートして74年から使い始め完成は82年。円形の議事堂の中の天井のコンクリートのボールと天井は圧巻だった。ぜひ日本の学生に見て欲しい建築の一つである。
午後JICAを訪ねご挨拶。なんとダッカのJICAには50人以上の職員がいるとのこと。日本からの技術協力について日本と同じような発展の仕方をたどると公害や交通渋滞など様々な同じ問題を引き起こす。ぜひ新しい技術援助と発展の仕方を考えて欲しいものだと述べた。
日本大使館に渡邉大使を表敬訪問。理科大の篠塚教授(元バングラデシュ大使)の話をすると2代前の大使だったとのこと。今後ともお世話になる可能性もあるしよろしくお願いしますと挨拶し作品集をお渡しした。

November 18, 2015

カーンのコンクリートとレンガ

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午前中の大臣との面会はキャンセルとなり、午後IT省の次官と面会した。彼は大変積極的に我々の案を聞いてくれて、1月にジョイントミーティングをしようということになった。IT省を出て明日行く予定だった国会を見に行く。パリでのテロ、そして明日は大きなデモがあるということで厳重な警戒で近寄れない。本当は中にも入れるはずだったが残念である。
すべてが人力で作られ、完成までに23年かかった。完成後40年たっているがコンクリートと大理石の目地が美しい。ダッカの喧騒の中にひときわ際立った建築である。よくこの建物を40年前に監理したものだと感慨深い。
ダッカのコンクリートが綺麗な原因の一つは型枠が鉄だからかもしれない。夜は海軍の要人の公邸に招かれディナー。公邸での食事はオーガニックだしスィーツもそんなに甘くない。エリート階層の生活を垣間見た。

November 17, 2015

どこまでできるかバングラデシュ

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これから5つくらい作られるバングラデシュのハイテクパークの一つの敷地を見に行った。ダッカから40キロくらいの場所なのだが渋滞で2時間以上かかった。ダッカの車渋滞による経済損失は莫大である。まさに宇沢が指摘した「車の社会的費用」を考えなければいけない。日本が40年前に失敗したことを繰り返して欲しくない。亜熱帯の緑に覆われ、ラグーンが残り、アンデュレーションのある100ヘクタールを越す敷地。私がランドスケープアーキテクトの西田さんとお話ししているのはここに今までに世界中で作られてきたた平坦で建物がグリッド上に並ぶ工場団地を作るのではなく、自然を可能な限り残し、アンデュレーションに沿って区画割りをしたヘテロジニアスなサステイナブル ハイテクパークを作ろうというものである。
敷地を見た後バングラデシュ政府の郵政情報省(ministry of posts, Telecommunication & Information Technology)に行きHi-Tech Park Authorityの長官に「どうでした敷地はと聞かれて」素晴らしい自然が残りこれらをほとんど残しながら作れば世界で初のエコハイテックパークができますよというととても喜んでいた。実際彼らは敷地の8割の自然を残すと言っていた。我々の考えが間違っていなければそれに沿ってマスタープランを作成したいというとYesの返事であった。
アジアでこれから発展する国は日本、韓国、中国が進んできたことと同じ道を歩み公害を垂れ流し、経済効率だけで前進することを回避してほしい。そのためであれば私は協力を惜しまない。

物々しいダッカ

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僕が初めて行った外国の都市はローマだった。とずっと思っていたが、実はダッカだった。当時一番安かったチケットはパキスタン航空で首都ダッカでトランジットだったのである。さてダッカに着くと物々しい警戒でパリのテロの影響だろう入国審査は一向に動かない。我々は海軍の方が迎えに来てくれて少しは楽だったが、それでも30分は待っただろうか。市内も主要なホテルの前には長い銃を持った軍隊らしき人間が1メートルおきに並んでいる。これはもう尋常じゃない。聞くとイスラム原理主義のグループがかなりいて、これを機に何かが起こるのかと心配しているのだそうだ。
早朝もジョギングしようとすると危険なのでホテル前の道路を往復してくれと頼まれた。こんなことは尖閣諸島でもめていたときの南京以来である。ダッカ市内は建設ラッシュでいたるところに工事中のビル。驚くのは全てコンクリート打ち放し。アジア諸国、いやラテンアメリカも骨をRCで作り壁はレンガというのが普通だと思っていたがここは違う。15階建てのこの建物の打ち放し。ポンプ車などないだろうからコンクリートは最上階で練るのだろうか??さすがカーンが国会作った国である。

November 16, 2015

外部不経済

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宇沢弘文『自動車の社会的費用』岩波新書1974をトランジットのバンコクで読んだ。いまだにおそらく車が増え続けてどうにもならない状態にあるであろうダッカに行く前に読もうと思って持ってきた。74年私が15歳中学3年生のころの著作である。
その時宇沢はすでに消えゆく(消えてしまった)路面電車の復活を予言するような発言をしているのに驚く。なぜこれほどまでに自動車が増え続けているのdかといえば、ある経済活動が起こす社会的被害である「外部不経済external dis-economies」という概念が新古典派経済理論では一顧だにされないからだという。つまり車は車が引き起こす外部経済を織り込んだ価格設定が必要だというわけである。それは当然価格の上昇を起こしこれほどまでには増加し得ないことになる。
さてこの外部不経済の概念は車以外にも全ての経済活動に織り込まれなければならないものである。現代的問題でいえば原発が典型的である。原発が安い電力を作れるというのはこの外部不経済を盛り込まないから言えることである。

現在トラムが世界中で復活している。アメリカも20世紀初頭は路面電車が多くの都市を走っていたのである。そして東京もくまなく走っていた路面電車が失われたが復活の兆しがある。宇沢の予想が現実化しそうである。こうした反省を国も少しは考慮したらいかがであろうか。全ての経済活動をGNPで測るという愚行を改め外部不経済を考慮した社会を考えて欲しいものである。

November 15, 2015

入稿前

IMG_7007%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%AE.jpg夕方中野デザイン事務所に行って入稿前の原稿の最終チェック。いつも最後のつもりでも赤がなくなることがない。最近ますます自分の書いたものにいくらでも赤が入るようになっている。これってどういうこと?最初の原稿がいい加減なのか原稿を見る目が厳しくなっているのか??
9時に赤入れを終えて原稿をカワジリさん、中野さんに託して、羽田へ向かう。バンコク経由でバングラデシュ、ダッカへ向かう。僕が始めて行った外国はローマだと思っていたけれど実はダッカである。パキスタン空港でローマへ向かった飛行機はダッカ経由でダッカの街を同級生の藤田と数時間歩き回った記憶が蘇る。

谷川さんの家

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エンリック、タルディッツ、塩崎夫妻、宮前くんと二台連なり、軽井沢へ、谷川さんの家を見るのが主眼なのだが、せっかく行くのだからと僕の最新作に寄り、みかんぐみの工事中の現場を見て、そしたらたまさかあったアトリエワンの別荘を周り、僕が昔やった別荘の横を通り、千住美術館も見た。
谷川さんの家は数十年前にどういう機会か忘れたが外からだけ見た記憶がある。今回改めて見せてもらった。紅葉が落ちたこの時期に茶色い絨毯の上に矩勾配の屋根が乗っかっている。地面につきそうなほど大きな屋根が落ち葉でだいぶ朽ちて見える。妻側の木の壁はだいぶ赤くなっている。
建築はだいぶ年老いたが、中の空間は生まれたままの姿である。いったいどういうことだろうこの巨大な土間の空間は?どうしてこの空間ができたのだろうか?人の住む場所には見えない。そもそも住むための場所ではないのだろうからこれでいいとも言えるのだろうが、、、、、まさに詩人のための詩的空間といえばそれまでなのだが、、、、

November 14, 2015

ホタルイカ13周年

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武蔵美でワークショップやっているエンリックは今日が最終日。ホタルイカに行って夕食を共にする。半年ぶりに会い彼のバルセロナのコンペの話を聞く。まあいろいろなことがあるものだ。とてもブログには書けないとんでもないことばかり。とにかく彼の検討を祈る。食事を始めた瞬間にバルセロナとロンドンとスカイプ会議が始まり2時間食事をしている間の1時間半僕はマスターと話をしている始末。彼は明後日バルセロナに帰り次の日はロンドンに飛びコンペのパートナーと最終のプレゼンの打ち合わせとのこと。今日本にいるのが信じられない。
ホタルイカは13年目を迎えて健在。嬉しい限り。マスターとオーナーとエンリックとで記念撮影。http://www.ofda.jp/sakaushi/works/type/04commercial_facility/01/index.html

November 13, 2015

どれもがとてもURGENT

%EF%BC%91%EF%BC%95%EF%BC%91%EF%BC%91%EF%BC%91%EF%BC%93%E6%B4%A5%E6%B3%A2.jpg読みかけのエンリックの博士論文の最初の所見(こういうのがあるんだねUPCには)の締め切りが突如今日となってあせって要点をまとめる。こんなものそう簡単に書けるわけないのだが、、、まあ異文化だから仕方ないと自分を落ち着かせ書き上げる。
どういうわけか二つの本の校正が重なる。方や追い込みで目が皿のようになる。進捗状況表が毎朝津波のように届く。方や新たな校正は200ページドーーーント一辺にやってきた。まずは分担を決めてルールを作る。しかし後者の方は未だに、発行部数と定価を知らされていないのが気になる。
来月頭に行う引越しのための電話工事の詰めを電話屋さんと行う。こういうネゴって最近していないのはなんでも担当者がいるからか?そう担当者任せは老人病になるからこういうこともやらないと。
来週バングラデシュでいないからどれもがとてもURGENT。

November 12, 2015

スタイルが変わる時

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今日は多くのことが片付いた。近隣工事に対する要望書の作成(マンション理事長の仕事)新しい事務所の契約(社長の代理の仕事)、電話のこと(同じく)、コピーのこと(大学教員の仕事)、バングラデシュでのプレゼンパワポのこと(建築家の仕事)を走り回って電話しまくって片付けた。ほとんどが事務仕事だけれどこういう仕事が片付くと頭の中でもやもやした霧みたいのが晴れる。そこで風呂につかりゆっくり読書。山本貴光『文体の科学』新潮社2014。ここでいう文体は一般に言う文体ではない。一般のそれが文の意味内容、リズム、音韻などから生成されるスタイルを言うのに対して、ここでの文体はそれに加えて配置された文章の視覚もこみで、すなわち物質としての文体を含意している。そして物質と意味の弁証法がどのように具体的な書物において行われているかを探るのがこの書の目的である。
スタイルは言わずものがな、建築学でも大きな考察対象である。いや建築に限らず、およそ表現対象はすべてである。そして最近ずーっと考えているのはスタイルは何時何によって変わるのかということである。
村上春樹は自分の文章を英訳して和訳するという込み入ったやり方で新しい文体を作った。そういう一人の天才が時代を乗り越えるということはあるだろう。しかしそれは常にそうなのだろうか?ここでいう文体は意味も視覚も含意しているとなると実は書のようなものがかなりそれに近い気もするのだが、そう考えるとこれも天才が何かを作っている。では建築はどうだろうか?やはり天才なのだろうか?

November 11, 2015

茨城町廃校利用計画

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茨城町の廃校利用計画プレゼンテーションを町役場で行った。2時から2時間。理科大坂牛研究室の院生年生も徹夜で作った50分の1模型を前に、説明。町づくり課、政策推進課、などの方々から意見をいただく。
今年は2年目で、5つあった小学校を一つに絞り、市民の意見、内閣府の地方創生の考え方とも整合させながらここまで作り込んだ。年度末には基本構想をまとめる段階にしたいところ。

November 10, 2015

男女性問題

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ところでその昔2丁目によく飲みに行ったものである。この本はゲイである著者砂川秀樹氏が東大に提出した博士論文を加筆修正したものである。よって概念規定がとても正確で勉強になる。例えばゲイが行くゲイバーとノンケが行くゲイバーは呼び名も違えば中身も違う。それは想像に難くない。僕はゲイではないから僕が行っていたバーは後者である。それは「観光バー」と呼ばれるのだそうだ。そうだったんだ!なんていうことを今更知った。さて2丁目独特の建築というものがあるのだろうか???

November 9, 2015

片付け

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要は、片付けの二つの原則。①捨てる。②使ったものは元に戻す。③捨てる時は手にとってみてときめくかで決める。
ということが書いてあるが、おそらく僕はそのほとんどを実行しているので学ぶことはなかった。唯一この人の言うことでやっていないのは本は捨てない。それは仕事柄仕方ない。もう一度読むかもしれない本は絶対読まないと言うのはこの著者であり、我々は使うので捨てない。その他のものはもうめちゃくちゃ捨てる。困ったり、不便したりもするが構わず捨てる。
だったらこんな本読む必要はない。確かに。アマゾンはこういうリスクがある。

November 8, 2015

中野事務所に缶詰

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さてこの本の宣伝としてはじめにの文章を載せておこう。

大学を出てプロとして図面を描くようになった時に最初に言われたことは
「図面で一番重要なことはレイアウト!」だった。
それは寝耳に水。そんなことは大学で誰も教えてくれなかったからだ。残念ながら30年前に教えてくれなかったことは今でも教えられていない。加えてレイアウトが最重要であることも変わってはいない。

レイアウトを大学で教えない理由は、教える原理がきちんと定まっていないからである。何を教えたらいいのか先生もよくわかっていないからである。加えて工学部にある建築学科では教えることが多すぎてこういう大事なことを教える時間がないからである。
そこで背水の陣で学生からプロまで、レイアウトを自習できる本を作ることにした。自習できるということは原理をきちんと飲み込めてそれを実践できるということである。その意味で本書はその辺にあるグッドレイアウト集ではないしレイアウト原則集でもない。
この本は二章構成である。第一章は論理、第二章はその実践を学ぶように作られている。第一章では原理としてレイアウトの四つの方法とその効果をお示しする。第二章ではその方法を用いてプロのグラフィックデザイナーが建築家の作ったプレゼンボードを作り直すという荒技を紹介する。この二つを学ぶことであなたのプレゼンの感覚は飛躍的に向上するはずである。

学生のみならず、プロも含めて彼らのプレゼンボード(図面)を見ながら「惜しい」と思うことが多い。内容はいいのに表現がダメなのである。作っている方は内容がよければいいだろうと思っている節がある。しかしそれは大きな間違いである。表現が稚拙な人は設計者としての能力を疑われるものである。ゆえに『建築プレゼンのグラフィックデザイン』の習得は設計者として生きていくための最初のステップなのである。

November 7, 2015

山岳建築から学ぶ

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先日ゲストクリティークに来てくれた多木陽介さんが編訳した本がある。『石造りよのように柔軟な—北イタリア山村地帯の建築技術と生活の戦略』という本である。実は出版された時に編集した鹿島出版会の川尻さんに献本していただいていたのだがきちんと読んではいなかった。
先日多木さんと会ってこのお話を少し聞いて興味が湧き通読した。この本はトリノ工科大学の教授2名の調査に端を発する。グローバル建築が世界を均一に塗りこめてきたことへの批判としてイタリア山岳都市をつぶさに観察し、そこから学ぶことがあるという主張の基礎観察である。この山岳建築の一つのタイプに一階が動物の小屋、二階が人の住まい、三階が干し草置き場という家があり、冬になると寒いので人は動物の小屋で動物の発熱で暖を取って生活をするという話を多木さんがしてくれた。本を見ると確かにそういう写真まで載っていた。現代の日本人が果たしてここまで出来るかどうかは別として、我々が再度こうした建築から学ぶことが多々有ることを教えてくれる良き教科書である。

November 6, 2015

岩床

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鶴見俊輔の『文章心得帳』を読んでから鶴見のファンになった。中島岳志が鶴見俊輔を岩床と呼び、ぶれない保守だとして鶴見の対談集を編んだ(鶴見俊輔『昭和を語るー鶴見俊輔座談ー』晶文社2015)。そして中島曰く鶴見の岩床は表層の思想なんてものでは無くて態度と人柄と言う。僕はまだ思想を信じたいけれど、あるところでそうではないという気持ちになりそうな気もしている。果たして自分には岩床があるだろうかと心配になる。自分の岩床とは何か。
2重人格でもいいと思っている自分の中にそれらを統括するメタの自分がいてそれが岩床になればいいなと思うのだが。

無意識の流用

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今日の一時間設計は篠原一男のハウスインヨコハマ。久しぶりにその写真をみていてドキッとした。ファサードについている出窓がリーテム東京工場のファサードの出窓と同じだった。自分が無意識の内に先生のデザインを使っていたわけである。設計後10年してから気がついた。

November 5, 2015

さあ年内出版に

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辺見君のあとがきがついにできた。ご苦労様やっと出版が見えてきた。さてところで、問題はタイトルである。Concrete and Culture ──Material History 普通に訳せば、コンクリートと文化となる。しかしこのタイトルだと「コンクリート」と「文化」が切れ切れになってしまう。天内さんの案では
『コンクリートと文化──とある素材のモノ語り』
『コンクリートと文化──素材に関する10の物語』と章の数を入れるのも.
『コンクリートの文化史──言葉と物質』
『コンクリート──物質の文化的価値』
僕としてはカタカナで
『コンリクリート・カルチャー──近代コンクリートの生産・消費・政治』と考えているがどうだろうか?

富士山

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午後富士吉田製氷工場コンヴァージョン現場に行く。学生たちが床に出っ張るコンクリートの削り工事をやっている。今日は快晴で初めて富士山の全貌を拝めた。逆光だがこの形は世界でも類を見ない。斎藤さんと来年の話をする。製氷工場の真ん前にある朽ちたマンションを外国人バックパッカー向けに改装するリノベプロジェクトを行うことに決定。テーマは美しい廃墟。これは萌える。夜大学に戻り、2年性の合評会。課題は新しい大学建築。レベルの高い案が多くてとてもうれしい。

November 3, 2015

ジェンダーフリーな住まい

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石井恵子『ジェンダーフリーな住まいを創る』文芸社2012。日本の女性建築家(学者ではなく)が直球でジェンダーフリーと建築について語ったほとんど唯一の本ではないか?授業で女性の地位向上とともに女性の居場所が確保されてきたと教えているが、その居場所って?主婦室だったりする。主婦が女性だっていう性的役割分業から抜け出ていないと反省。
著者のジェンダーフリーな住まいというのは使い勝手の問題だけではなく、その建物の所有形態、その建物の施工そしてそれが作り上げる町、都市をふくめておりその射程は広い。しかしその通りである。
これを読んで二つのことを思いつく。一つは建築家としてはクライアントの意識と同調せねばならぬ場面もあり、ぜひこういう思想を持った人に仕事を頼まれたいということ。もう一つは著者が主張するようにジェンダーフリーの世界では女性が男性に負けず働き、その能力を十二分に発揮できるようにならないといけない。そのためには女性自身の意識が高くなければならないし、そうした女性を十分にサポートする社会も必要であるということ。

November 2, 2015

最も使いやすい劇場は廃墟

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とあるビルの3階をとある劇団の練習場にリノベしたいということで五反田にやってきた。50平米の小さな空間である。一体どんな劇をするのだろうか?先ずは公演を見せていただき考えるか?中旬に草月ホールで公演があるそうで招待してもらうことにした。
先日演出家の多木さんが言っていたけれど最も使いやすい劇場は廃墟だと言っていたけれど、すでに建物は半分廃墟。もっと徹底して廃墟にするか。

November 1, 2015

芥川賞

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芥川賞を取らなかった村上春樹がたかだか文藝春秋社の賞でしょうと相手にしていなかったが、受賞歴を見るとさすがに日本の文芸の賞の最高峰だという気もする。つまりはこの賞を取った人のその後がすごいという意味なのだが(鵜飼哲夫『芥川賞の謎をとくー全選評完全読破』文春新書2015)。
太宰治がこの賞を欲しくて、欲しくてたまらなかったが取れずに、しかも川端康成の落選評に激怒して反論を『文芸通信』に書きそこに「大悪党だと思った。刺す。とも思った」とまで書いたのだから驚きである。そうまでして賞に執着するのは天才とまで言われた太宰の能力への自信からなのか、この賞をとればその後の収入が約束されるからなのか???