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紋切り型

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この本も川尻さんのお勧め。武田砂鉄『紋切り型社会—言葉で固まる現代を解きほぐす』朝日出版社2015(ドゥマゴ文学賞2015)を日曜の午前中に読み抱腹絶倒。

紋切り型は社会の制度が要求する儀礼なのである。一体それはどこに見られるか?僕らの設計という仕事の中ではあまり発生しない。紋切り型クライアントはあまり現れないし、こちらも本音だからである。よって私の周りにある紋切り型社会は大学である。大学という場所は典型的な制度である。よってその制度が要求する儀礼がいろいろあるそれは教育の場でも起こる。

⚫よく学生の設計に「切実さが足りない」という人がいる。僕もそう思う時がある。でも学生からすれば「あるわけねえーだろう、建たねえんだからさあ」と反論されそうだ。
建築という学問を机の上で教えることの軽さと、嘘はどうしたって拭えない。でも必要なのである。だから時として紋切り型の言葉が登場して学生をまごつかせる。

大学というのは全国に800以上もあり、そのヒエラルキー(制度)があってそれぞれの大学には制度上の役割がある。

⚫杭偽装問題で新聞社の質問を受けた某有名大教授がジャーナリズムは「すぐ規則を厳しくすればいいというが、やるべきことをきちんとやるシステム作りが重要だ」と新聞を読んでいれば子供でも言いそうなことを言って誇らしげである。誰でもが思っていることを代表して言うのがその大学の教授の制度上の役目ではあるが、そういう紋切り型を演じることに人生の貴重な時間をかけていることに後悔はないのかと驚いてしまう。

これは大学じゃなくてもおよそ制度的な組織ではどこでも起こりそうな話だが、

⚫「若い人に頑張って欲しい」自分はもう隠居だといいながら常に先頭に立って不要なことを叫ぶ年寄り。本当に若い人のことを心配しているのか自分の存在価値を示したいのか不明。若い人を心配するのならやめたほうがいい。心配しなくたってあなたくらいにはなる。世の中なんてそんなもんだし、それほど捨てたものではない。

さてこういう紋切り型なんていう本を読んでおよそ人を批判することしか思いつかないこの時点で自分がそういう紋切り型にどっぷり浸かっていることに気づかないといけない。学生にうだうだ文句言う前に自分の足もとをよく見よ。お前が一番紋切り型で制度的である。

私の敬愛する二人の会社社長がいる。敬愛する理由は紋切り型ではないところ。彼らに共通するのは、その会社の社長でいるのがいやでいやでしょうがなく、社長というポジションには何の未練もない。それは結果的に素直で謙虚な人物像として現れるし、制度に絡め取られず、紋切り型から脱出できている。。一方で自分はこの会社の社長であることに自負とリーダーシップを感じてグイグイ行く人も知っている。こういう会社はしばらくいいかもしれないが、そのまま行けば最悪である。紋切り型になっていることに気づくすべもなく地獄に向かってまっしぐらである。

さあ明日からまず自分を見つめなおさないと。

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