芥川賞を取らなかった村上春樹がたかだか文藝春秋社の賞でしょうと相手にしていなかったが、受賞歴を見るとさすがに日本の文芸の賞の最高峰だという気もする。つまりはこの賞を取った人のその後がすごいという意味なのだが(鵜飼哲夫『芥川賞の謎をとくー全選評完全読破』文春新書2015)。
太宰治がこの賞を欲しくて、欲しくてたまらなかったが取れずに、しかも川端康成の落選評に激怒して反論を『文芸通信』に書きそこに「大悪党だと思った。刺す。とも思った」とまで書いたのだから驚きである。そうまでして賞に執着するのは天才とまで言われた太宰の能力への自信からなのか、この賞をとればその後の収入が約束されるからなのか???