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November 30, 2013

テレビ人の矜持

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「題名のない音楽会」をはじめ数々の名番組を作り続けるテレビマンユニオンとはいったいどんな会社なのだろうか?
重延浩『テレビジョンは状況である―劇的テレビマンユニオン史』岩波書店2013は1979年からほぼ現在まで社長会長を続けてきた重信氏による私的社史である。
テレビ番組作りなど視聴率とスポンサーばかりを気にしたただの売り物だと思っていたがこの本を読んで少し考えが改まった。表現の世界に共通する魂のようなものを感じるし、崇高な理念、理想を掲げて、しかし現実を前にして苦闘しているテレビ人の矜持がひしひしと伝わる。何にもまして創造の哲学が感じられる。
著者の最も気になる人はスティーブ・ジョブズであり、ジョブズが「頭をオフにするときはテレビをオンにして頭をオンにする時はコンピューターをオンにする」という言葉を残していたことにショックを受けて頭をオンにする番組を目指すことが一つの目標だったようだ。そしてそのために二つのことが掲げられる。一つはこれもジョブズの言った言葉であり「顧客が望むものではなく顧客が望むようになるもの」を創るである。そしてもう一つは「デジタルテクノロジーの時代であるからこそ逆に人間が共生、共感する哲学、ソフトの創造」である。つまりは人より一歩先にある人々の共感を生み出すということになる。
創るといいうことはそういうことだと共感する。テレビ人だからこその時間性を感じる。僕らには欠けていることかもしれない。

November 29, 2013

高圧洗浄

今日はマンション各住戸の排水口高圧洗浄の日。風呂、洗面、洗濯機、台所の排水口に高圧洗浄ホースを突っ込んで洗ってくれる。このホースは駐車場に止めてある高圧ポンプにつながっている。家族は朝早く出かけてしまったので僕が立ち会った。洗浄屋さんに聞くとこの高圧水はとんでもなく高圧で直に手にあてたりすると指が切れると言っていた。ホースは横引き菅から縦菅約3メートルくらいまで挿入して洗う。水の音でだいたい縦菅の位置や内部の汚れまで分かると言う。さすがプロは違う。経験的には横引きが3メートルを超えるとゴミがたまりやすいと言う。へえそんなもんか。しかし3メートルを超えない横引きにするにはファミリータイプの住戸なら数か所PSがいるわけで設計もなかなか大変である。でも覚えておこう。横引きは3メートルまで。

November 28, 2013

中性脂肪減った!!

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秋に受けた健康診断の通知が送られてきた。血圧が下がり、そして最も恐れていた中性脂肪が88から50に下がった。この数字がどの程度の意味を持つのか全然わからないがとりあえず下がったというのはなんだかうれしい。いい気になってまたワイン飲んじゃいそうだ。

November 27, 2013

グローバル化に備えるとは?

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与那覇は社会のグローバル化とはハイコンテクストな社会(人々が多くの価値を共有している社会)がローコンテクスト化する(価値の共有が希薄化する)ことであると述べている(与那覇潤『日本人はなぜ存在するか』集英社2013)。それを踏まえ与那覇はグローバル化に対応した教育とは英語を話せるようにさせることでは無く(もちろん話せるにこしたことは無いが)日本人の村社会の文脈で自明であることを自明視せずに自分たちとは全く異なる背景や前提の人たちに自分の考えを説明できる力を養わせることだと言っている。全く同感である。昨今いろいろな国で自分の建築を説明しながら痛感することである。

篠原一男が住宅しか作らなかったけれどグローバルな建築家だったのも、村野藤吾が文化勲章までもらってドメスティックな建築家であったのも理由はこれに尽きると思う。もちろん彼らの時代にはそれらが選べたのでありどちらが良いと言うことでは無かったのだと思う。しかしこれからの時代は恐らく世界がどんどんローコンテクスト化するなかで既述の求められる。もちろん学生にとってもそうした技量を身につけることが必須のことになることは言うまでもない。

November 26, 2013

究極の人間主義建築ー待庵

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利休の茶室「待庵」は二畳である。二畳と言うことは身長180センチの人がごろんと横になって手を横に伸ばすとこの平面にぴったりとはまることになる。藤森照信と山口晃が待庵を見に行って藤森さんがそうやってこの空間を確かめたそうだ(藤森照信×山口晃『日本建築集中講義』淡交社2013)これぞダヴィンチの人体解剖図(ヴィトルヴィウス理論の説明図)と同じ発想であると藤森さんは説明したとか。
『人間主義の建築』(Architecture of Humanism)を翻訳していた時にヒューマニズム建築とはつまり人体寸法建築よねと自分の中で結論付けていた。それもあって邦訳を人間主義としたのだが、待庵こそがルネサンス建築なんて超越した究極の人間主義建築なのかもしれない。もう一度行って僕もひそかにごろりと横になってみたい。

November 25, 2013

白石一文の小説

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白石一文『ほかならぬ人へ』。久しぶりに小説を読んだ。本屋の店頭に並んでいるのを何気なく手に取ったものだがとても面白かった。短い描写の中にリアルな人間社会が切り取られていた。
裕福家庭の三男に生まれるも、肌が合わず家を出て持ち前のパワーで一流会社に勤務。たまたま接待で行ったキャバクラの女と結婚したがその女が昔の男を忘れられなく家を出ていく。たまさかその頃の会社の女上司と人間的なつきあいをした挙句に結婚。ところが数年してこの女性の昔手術した肺がんが再発し数か月でなくなる。言葉にしてしまえば小説なんてなんだってこんなものなのだろうが、淡々とした描写がよかった。
思わず昨日同じ作者の違う作品を二冊買ってしまった。

November 24, 2013

褒めて育てる

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配偶者の教え子との展覧会を見に銀座へ。大黒屋に行く前にポーラ美術館アネックスを覗く。その後ギャラリー小柳で池田亮司を見たかったが日曜日休館だった。
新しいヴィトンの外壁のディテールを見た。へこんだところは円が基本形だとわかる。金属と塗り材のコンビネーションがいい感じである。夜景を見たい。
4時ころ展覧会場(大黒屋ギャラリー)に行きご挨拶。今日は最終日で5時に全日程が終わると配偶者が教え子たちの作品を一つずつ解説し批評していた。基本的に全員褒めているのだが褒め方が多彩でお見事だった。教え子20人は皆結構な年輩の方。配偶者曰く、歳をとればとるほど褒めると育つとのこと。確かにもし自分が書道始めて怒られてばかりいたらやめちゃうだろうなあと思う。

坂本一成のスケール感

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坂本先生の散田の家を拝見させていただいた。この家は坂本一成26歳(1969)、強く意識された白の家ができてから3年後の作品である。白の家同様の正方形平面。中央の柱。平面の2分割という特徴があるように見えるが、実は正方形からはみ出る大きな出窓(のような部分)。空中梁で途切れる柱。2分割と見えるが実は入れ子。など規準とした白の家から微妙な逸脱をしたのが坂本一成による篠原一男への反逆の始まりだったわけである。それにしても篠原のスケール感を換骨奪胎させた坂本一成の空間は決して日常的なそれでもない。散田にしても水瀬にしてもぐっと低く抑えられた天井、手摺、家具がある一方すっと抜けた吹き抜けの高さが高低の強いコントラストを生み出している。そして増築によって生まれた中庭の程よいスケールは水瀬の増築によってうまれた中庭と同様秀逸である。坂本一成のスケール操作に改めて感服した。

November 22, 2013

今日は結婚記念日

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今日は結婚記念日。26回目。そろそろ半生を一緒に過ごしたことになる。毎年この日になると仲人をしてくれた恩師David Stewartの言葉を思い出す。彼に仲人をお願いした時に言われた言葉「結婚はアクシデントだけどミスティクではいけない」。未だにこの言葉を思い出すのは全くその通りだと思うからである。そしていまのところアクシデントだったけれどミスティクじゃなかったと思えるので喜ばしい。あと何年生きるか分からないけれどきっとこの気持ちは変わらないのだろうと理由のない確信がある。それも喜ばしいことである。というわけで感謝のお花を家に飾ろう。

November 21, 2013

山口長男の抽象

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配偶者に絵葉書くださいと言ったら山口長男の絵葉書をくれた。いいなあ、これ。昔どこかで見たような気がする。なんともあっさりとした抽象とドライトマトのような色が素敵。

くっきりとした朝

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自分の住むマンションに月が沈む朝。ちょうど光の加減がいい。こんな光の竣工写真を今度はとりたいのだが。そうすると狙いは5時ころになる。夏なら4時ころかな?

November 20, 2013

日本は成熟に向かっているか?

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数か月前に友人の新聞記者と食事をした時に安倍のミックスを真っ向から批判していた。彼曰く、国家の貨幣価値を下げる政策なんぞあり得ず、実に対処療法的であるというわけである。その時他の友人はそれに賛同しなかったのだが、自分は確かにそういわれてみればそうだと感じていた。
今読んでいる柏原英資『国家の成熟』新潮新書2013には彼の言ったことがそのまま書いてある。彼がこれを読んいたかどうかは知る由もないが、この本を読むと彼の言わんとしたことが納得できる。曰く「成長の時代は終わった」「円安よりも円高を」「もはや貿易立国には戻れない」などなど。円高は成熟のシンボルだとこういうのである。
そうなのである。成長の時代を終え、成熟社会にスムーズに移行すことが我々の必要とするヴィジョンなのである。ところが実態はそうなっていない。経済政策も、エネルギー政策も、我々は現政権にミスリードされているように感じる。しかしそれは現政権が横暴なのではなく世論がそれを許しているからに過ぎない。我々がもっとしっかりしないと本当に日本は間違った方向に進んでしまう。

November 19, 2013

最近思考はますますアナログ化

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屋根の勾配と睨めっこ。軒の高さを一定にすると棟はどこに来るのか?軒を一定にしないとどういう形になりうるのか?屋根の勾配と天井高さは?建物密度が高い都市的環境ではそうしたことは往々にして法律の縛りの中でほぼ自動的に決定されていく。一方でそうした縛りが少ない地方的環境では形態の自由度ははるかに増加し、設計者の主体的判断が前景化する。場所によってこんなに自由度が変化すると発想ももガラリと変わり得る。変わることがローカリティなのか変わらないことが設計者の理念なのか??設計者の主体とは何なのか?「希薄な主体」などと講義しながら、前景化した主体にあたふたする自分がここにいる。

それにしてもこういう算数を竹の物差しと鉛筆と電卓で考えているのだから呆れる。最近ますます思考がアナログ化している。

November 18, 2013

研究室の煙突

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ゼミと言ってももうこの時期だと個人面談みたいなもの。4時から8時くらいまで30分くらいずつm2と4年と話をする。研究室の真ん中にはなんだか象徴的な煙突が一本立ち煙を吐いている。これ最近やってきた加湿器だがこの煙突はなんとも不思議。青い光はちょっと不気味。ゼミを終える頃この青いランプが赤く光った。水がなくなったサインのようだ。同様にこちらもエネルギーが枯渇。腹ペコで帰宅するが家まで持たず御茶ノ水駅脇の極小レストランでハンバーグライスを食べる。

November 17, 2013

よじ登る女

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朝一で大学、推薦入試の監督、面接、判定。教員の皆様長時間ご苦労様。いい天気が恨めしい。自分が受けるわけではないのだが数日軽い緊張が続く。無事終わるとほっとする。年内はこれで終わるが年が明けると連続的にやって来る。この集計、判定がそこそこ大変。神楽坂からぶらぶら歩いて帰宅。途中スーパーに寄ろうと入り口付近でふと見上げると傍のビル看板によじ登ろうとする女性を発見!!!

量より質

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先日、信大坂牛研OBと食事をしたらいろいろなところに理科大生がいるという話で盛り上がった。という話を今日理工学部建築学科と工学部建築学科懇親会でお話しした。年間300名弱の卒業生を排出するのだから建築学生大量産出校であることは間違いない。
そうしたら隣の先生が量より質ですよとささやいた。ごもっとっも。

November 16, 2013

アルゼンチンWSの課題はスラムの社会化

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朝一で金町の教室会議。今年最初の入試を前にして準備会議。入試準備が学科長マターと言うのが理科大のシステム。信大の時は入試委員がいたのだが理科大にはない。これが学科長の仕事量を膨大にする。これから年度末にかけて頭が痛い。
午後大学の膨大な資料を自宅に運びそのあと事務所で週末の打ち合わせ資料をチェック。夕方神楽坂で二部の3年生を相手に12月、1月に行うワークショップの説明をする。今年の坂牛班の学生はやる気があってとても頼もしい。理科大に来て初めて感じるガッツのある学生たちである。その後深夜までお施主さんと重要な打ち合わせ。
帰宅後アルゼンチンから来ているワークショップのメールに目を通す。1月に行うワークショップのテーマはブエノスアイレスのスラム街の「スイッチング(変更)」という課題となりそうだ。ラテンアメリカでは有名なブラジルのファベーラだけではなくほとんどの大都市が巨大スラムをかかえる。ある時までスラムのクリアランスを考えていた政府も今ではスラムを生かしつつそれを改善し孤立した貧民街から社会化した居住地とすることを模索している。建築家にとってもそれは大きな課題。その効果がどの程度出ているのかは分からないがとにかく喫緊の課題であることは確かである。日本の学生がそれをどれほど身近に感じられるか分からないけれど、日本では想像を超えたこうした問題に想像を張り巡らすのは建築学徒の素晴らしいトレーニングである。

November 14, 2013

国税滞納の半分は消費税だそうだ

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国税徴収官の話を行きかえりの電車で流し読み(高殿円『トツカン』ハヤカワ文庫2012)。これが結構面白い。毎年新規で発生する国税滞納額の半分は消費税と源泉徴収税で占められるそうだ。つまりは弱小企業がモノを売ったときに頂いた消費税そして社員から預かっている源泉徴収税を預り金とは知りつつ、生活苦からつい使ってしまい納税時期になるともう無いというわけである。徴収官はそんなところへ出向き無駄を承知で支払いを迫る。彼らは一円もないから好きにしろと開き直る。100円とるのに人件費がいくらかかっているのだろうかという世界である。これから消費税が上がればまたしても滞納額は上昇するのだろう。
さてこの消費税やら源泉徴収やらなんだか人ごととは思えない。設計事務所も似たようなものだ。設計料をもらった時は消費税までいただくわけだが、きちんと分けておかないと知らぬ間にあれあれよと消えていく。いざ納税のときに会計士様に「これだけ払いなさい」と言われてドキッとする。「こんなに預かっておりましたっけ???」これから消費税が8%になるとこのショックは5分の8倍になりいつか10%になればさらに4分の5倍になり、これがずっと続くと思うと精神衛生上悪い。消費税を事業者が預からないというシステムはできないものか?????

November 13, 2013

祭りのつながりと地形

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先日理科大の卒論発表会で市ヶ谷柳町、薬王子町あたりのお祭りの来場者はどこから来るかという調査があった。それを聞くと来場者は東西方向にはかなり遠くからも来るのだが南北方向は比較的近隣からしか来ないという結果が出ていたのである。
この二つの町は僕の住む三栄町や荒木町から外苑東通りで北上したところにある町なのでたまにジョギングしたりしてその存在は知っていたのだが、七夕祭りをしているなどまるで知らなかった。一方私の住む四ツ谷あたりも祭りはあるがその連合は東西に緊密に繋がっている。四ツ谷駅あたりから四ツ谷4丁目あたりまで10個くらいの神輿が出るがそれらは東西軸に連なるまちまちである。
さてなんで町は東西につながれど南北には切れているのか?今日江戸の地図をしげしげと眺めながら一つ気が付いた、四ツ谷あたりと市ヶ谷柳町あたりは今でこそ外苑東通りで連続しているように思えるが、この道ができたのは明治に入ってから。そして外苑東通りの下を垂直に横切る靖国通りは四ツ谷と柳町あたりを分断する谷なわけである。つまりはこうした谷筋で祭りの連なりは切られていたということなのでは?とそんな推理に至った。果たして正しいか?

安部公房の硬い字

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○米田知子『米田知子 暗なき所で逢えれば』平凡社2013より
米田知子の写真展に行きそびれてカタログを買って眺めている。その中にvisible and invisibleというシリーズがある。著名人の自筆を彼らの眼鏡を通して見るというもの。その一つがこの安部公房の眼鏡―『箱男の原稿を見る』2013.箱男自体は1973年に出版されているから40年以上前の原稿である。著名人の字はそれ自体その人となりを表し興味深いしそれが誰でも知る小説の一部であればなおさらである。
正直言って達筆ではないし、俗に書き慣れたと言われる字でもなく、妙に硬直してまさに箱のような字である。

November 11, 2013

男手一つで娘を育てる話

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小説はあまり読まないけれど、疲れた頭のエンジンをかけるために積んである。そんな一冊藤野恵美『ハルさん』(2007)創元推理文庫2013。土日ともに大学で過ごした疲れた体には丁度いい。妻を亡くして男手一つで育てられた娘が結婚して終わると言うテレビドラマにありそうな話。一章ずつが娘の幼稚園、小学校、中学校、高校、大学時代と言う紙芝居のようなストーリー展開である。それぞれの時代におこる事件やら娘のしぐさやら考えることがわが子のそれにもちょっと似ているところが面白いやら懐かしいやら。

イベント続きの週末

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●理科大建築学科のOBOG交流会
土曜日は理科大一部生の卒論発表会。他の研究室発表を聞いている時は気が楽だけれど自分の研究室の番になると冷や冷やである。僕の研究室の一部生3人はなんとか時間内に発表が終わりほっとした。
日曜日は建築学科のOBOGと現役の交流会。一つのキャリア教育。建築関係全域から多くの先輩がいらして学生は恵まれている。
夜は信大のOBの一人立野君が結婚してミヤンマー転勤ということでお祝いの会。OBOG10人くらいが集まった。皆元気そうで何より。
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●明日ミヤンマーに旅立つ立野君夫妻行ってらっしゃい

November 9, 2013

配偶者が書展を行います

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私の配偶者が今月19日から24日まで銀座大黒屋ギャラリー(鳩居堂の二つ隣のビルの6階)でお弟子さんといっしょに書の展覧会をいたします。師匠である故上條信山、市澤静山、両巨匠の書も賛助出品していただけるようです。銀座にお越しの際は是非お立ち寄りいただければ幸いです。なにとぞよろしくお願いいたします。
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November 8, 2013

ルイザ・ランブリの写真

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「ジュゼッペ・テラーニをはじめ、ル・コルビュジエ、ルイス・バラガン、SANAAなどによる近・現代建築の名作とされる作品を、独自の視点で撮影した写真作品で知られるルイザ・ランブリ」(ここまではギャラリー小柳の紹介分引用)なる写真家がいる。イタリアコモ生まれで1969年生まれ僕より10若い。だいぶ前に彼の作品集を買って机の上に置いてたまに眺めていたのだが、今まであまり気に留めていなかった写真に今日は目が向いた。それはオスカー・ニーマイヤーの有名なPlacio do Itamaratyである。先日本物を見てきたのだがこんな場所があっただろうかと不思議に思ってよーく見ていたらどの部分であるかが分かった。ニーマイヤー得意のコンクリートの大スパンを単純な梁の連続で作った1階部分でありその大理石の壁面に落ちる光を露出を変えて撮っているようである。
彼の建築写真は建築の部分を何気なく切り取る。ドアが開いていたり、窓が透けて向こう側が見えたり、建築をとっていると言うより、そこにいたら感じるであろう気分を焼きつけている。だからそう簡単にその写真が誰のどの建築であるかは分からない。でもそこに行ったことがある人が彼と同じ気分をそこで持っていたらそれが再現されるし、仮に行ったことが無くても彼の気分を想像の上で共感できればみずみずしい気分が湧きあがるのである。

November 7, 2013

日本にサイクリング文化を根付かそう!

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年末のワークショップに向けてレネから4つのテキストが送られてきた。主にコペンハーゲンのサイクリング文化の歴史と現在に至る努力と現状である。ここには結構びっくりするような数字が並ぶ。・通勤通学の37%の人は自転車を利用する。
・350キロの自転車専用レーンが整備済み
・自転車に乗る人の80%は安全を感じている
・交差点での自動車の止まる位置は自転車より5メートル後ろ。
・自転車用信号は車用に比べ4秒早く緑が点灯する。
・信号機は自転車が時速20キロで走りスムーズに流れるように点滅する
彼らはどのようにして既存の道路に自転車専用レーンを作ったのだろうか?テキストによると彼らは4レーンある自動車道路の2レーンを自動車用に残し残りの2レーンをそれぞれ自転車用と歩行者用に2分したようである。渋滞しないのかと思うのだがそれは自動車に乗る人が減ればその分渋滞も減ると言うわけである。通勤通学者の自転車使用率が多くの国では1~2%なのに比べ37%とは驚異的である。
さて日本の大都市でどこまで自転車通勤通学が達成できるだろうか?
未だ雲をつかむような話である。先ず思いつくのは職住接近でなければ、、、、安全を考えれば自転車専用レーンが必要だろうし、、、、、我が家の傍の道には自転車マークが出ているがそれは歩道の一部。これでは歩行者とぶつかりそうでやはり危ない、、、、、
ただ最近は結構多くの自転車通勤者と思われる人が平日の朝新宿通りを疾走している。期待できるような気がする。
このエネルギーの無い時代に現状の使用量を前提とした議論ばかりではなく、使わないで楽しく豊かになることを考えるのも重要である。
￿￿

November 6, 2013

ミクロの決死圏

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TUSフォーラムなる理科大の叡智を結集した医療と工学の接点を探求するフォーラムが開かれ、理科大の理事長、学長、教授陣、来賓など計10名以上のレクチャーが12時から夕方6時まで続いた。都合ですべてを聞くことはできなかったが、トップランナーのお話は実に面白いし興味深い。医療と工学の接点は工学でも最もハイテクな分野だろうし、当然ミクロの世界でもあり、我々建築屋からすると同じ工学といえども異次元の世界に侵入したような興奮を覚える。特に驚いたのは東大片岡一則先生のお話。最初に登場したスライドが昔懐かしい「ミクロの決死圏」の映画ポスターである。この映画は医者と潜水艦をミクロサイズに小さくして病気の人体に入り込み病巣を駆除するというものである。なんでこんなポスターを見せてくれたかというと、現代医療ではミクロサイズの病気駆除マシンが作られているという。もちろんそれは機械ではなく、分子なのである。しかしその分子が体の中である目的を与えられてその通り動くというのであるから驚きである。こう考えると建築とは実に泥っぽい。

November 5, 2013

キュレターなるもの

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ハンス・ウルリッヒ・オブリスト『キュレーション―「現代アート」をつくったキュレーターたち』フィルムアート社2013は著者が20世紀のキュレーター11人にインタビューした記録である。これを読むと現代アートは彼らが作り上げてきたということがよく分かる。
その昔西村清和さんの『アートの哲学』を読んだ時にちょっとびっくりした覚えがある。現代アートはその文脈を勉強しないとその価値は分からないと書いてあったからである。つまり現代アートとは見た目の判断は困難で、誰かが作った文脈地図に価値も意味も記されているというのだ。言い換えれば誰かが「これはこういう理由でいいのだ」と宣言したからそのアートは価値を持つのであり、宣言されないものは無意味なのである。そしてその宣言をしてきた人たちがキュレーターという人種なのである。
ではキュレーターなるもの自分の勝手な好みで宣言できるのかと言えばそんなことも無い。宣言したアートを誰も相手にしてくれなければそこでキュレーター生命は終わる。だから人々の指向と時代の進行方向の交わるポイントに矢を射るのが彼らの仕事であり能力なのである。伸るか反るかのぎりぎりのところで彼らも生きているのである。

November 4, 2013

CAの観察

銀行のマガジンラックの雑誌にもとキャビンアテンダントで現在はコンサル業を営む方のエッセイが載っていた。それには「人は第二印象が重要」ということが書かれていた。第一印象が重要とはよく聞くが第二印象とはどういうことか?著者曰くキャビンアテンダントをしているとぱっと見で人は分からず、実際に話をしてみてその人がすっと分かると言うのである。そしてその時に重要なのは声と姿勢と顔だそうだ。相手の目を見て短い時間でも話をするとその三つに相手の様々な側面が現れてくるのだと言う。確かにそういわれてみるとそういう気もする。それらにはその人の自信や優しさ、誠実さや強さ、誇りや謙虚さが出るような気がする。特に見習いたいと思えるような人にはそうしたもののバランスが程よく感じられるものである。さすが人を見る職業の人の言葉だなと思った。

今年の日展を見ながら思う

今年の日展は先日の朝日の記事の影響で客足が減るかとも思ったが、まあ例年並み。あまり時間が無くて駆け足で見た。久々に伝統的な美術を見た。朝日の記事には少々びっくりもしたけれど、ああいう話は書道以外の洋画、日本画の世界にもおおかれすくなかれあるようだ。そもそも芸術の賞と言うものは審査員という特権階級を作ることにその目的があるともいえる。それによって絶対的な業界秩序ができあがり雲のようなあやふやアートの世界にある価値基準を作るのである。
トップクラスのアーテイストと、はしにも棒にもかからないアーティストは誰が見ても一目瞭然だけれど、その中間のボリュームゾーンの甲乙はつけがたい、それを派閥で人数分けするのはひどい話だが自然の成り行きだったのかもしれない。しかしそういうことでランク付けされるのもたまったものではないから特権階級による審査なんていうものはさっさとやめて、かなり多くの人数(10000人くらい)で投票するといいと思う。一回でも入選した人たちが投票権を持ちその中から10000人を無作為抽出してその年の審査員になるのである。こうなるとかなりの偶然性も入りそして民主的でもある。
夕方ヴァイオリンの恩師山口元男先生の17回忌。懐かしい方々と久々にお会いする。

November 3, 2013

川村さんからモエレ沼の本をいただいた

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河村純一さんから河村純一、斉藤浩二著、戸矢晃一構成『建設ドキュメント1998-イサム・ノグチとモエレ沼公園』学芸出版社2013を頂いた。その中にガラスのピラミッドの話が載っていた。13歳年下の友人であるペイがルーブルに作ったガラスのピラミッドを意識して、イサムはこのピラミッドを「僕のガラスのピラミッド」と呼んでいたと言う。夏に初めて訪れた時にピラミッドと聞いて行ったのだがどうにも不思議な形をしていると思ったが、彫刻家のこだわりがここにあるということが読んでみて分かった。
モエレの巨大さは行くまではそれほど魅力的ではなかったのだが、行って見ると感ずるものがある。

November 2, 2013

3年生の製図講評会

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夜3年生の製図講評会。青島裕之スタジオ‐本郷のアーバンデザイン、川辺直哉スタジオ‐パブリックカフェ、多田修二スタジオ‐青山のオフィスビル、柳澤潤スタジオ‐北の丸公園の図書館、坂牛・呉スタジオ‐三番町の外国人留学生寮。今年は全員の作品60弱をピンナップしてその中から優秀作品を10個程度プレゼンしてもらった。ゲストクリティークに東工大の奥山信一先生に来ていただいた。的確なコメントありがとうございました。

November 1, 2013

大学院の製図に求めるもの

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午後大学院の専攻会議。最近の会議は欠席者が多い。と自分が出席した時は感じるわけで自分が欠席した時は他の人がそう感じているのだろう。お互い様か。
夕方場所を神楽坂に移して大学院の製図の中間発表。5チームの発表を聞いているとまあ大学院生だから学部生よりは少しは理路整然としているようにも思うのだが、なんだか覇気がない。
学部生の課題は建築知らない分だけとんでもないものが出てくる場合があり、それが「元気」があるように見えることがしばしばある。もちろんそういうことを大学院生に期待はしていない。知的な作りこみを望んでいるのだからこちらが驚くような想定外なものが少ないのは当然である。
では覇気がないというのはどういうことだろうか?簡単に言えばスタディ量が少ないということである。あるコンセプトの上にいったいいくつ案を作ったのだろうか?みな二つ三つしか案がないように見える。中間発表だから20も30も並べろとは言わないけれど、3~4人のチームなのだから一人3つ作ったって10はできるではないか?せめてそのくらい作らないといいデザインは生まれない。