○米田知子『米田知子 暗なき所で逢えれば』平凡社2013より
米田知子の写真展に行きそびれてカタログを買って眺めている。その中にvisible and invisibleというシリーズがある。著名人の自筆を彼らの眼鏡を通して見るというもの。その一つがこの安部公房の眼鏡―『箱男の原稿を見る』2013.箱男自体は1973年に出版されているから40年以上前の原稿である。著名人の字はそれ自体その人となりを表し興味深いしそれが誰でも知る小説の一部であればなおさらである。
正直言って達筆ではないし、俗に書き慣れたと言われる字でもなく、妙に硬直してまさに箱のような字である。