白石一文の小説
白石一文『ほかならぬ人へ』。久しぶりに小説を読んだ。本屋の店頭に並んでいるのを何気なく手に取ったものだがとても面白かった。短い描写の中にリアルな人間社会が切り取られていた。
裕福家庭の三男に生まれるも、肌が合わず家を出て持ち前のパワーで一流会社に勤務。たまたま接待で行ったキャバクラの女と結婚したがその女が昔の男を忘れられなく家を出ていく。たまさかその頃の会社の女上司と人間的なつきあいをした挙句に結婚。ところが数年してこの女性の昔手術した肺がんが再発し数か月でなくなる。言葉にしてしまえば小説なんてなんだってこんなものなのだろうが、淡々とした描写がよかった。
思わず昨日同じ作者の違う作品を二冊買ってしまった。