窓を巡って

 素材・部分・人。なんだか脈絡がないことが散乱しているような印象がある。質料と形式という広範な領域を含んだ概念が、現代的に持ち得る問題を考えていたらこんなことになった。しかしどうも「なってしまった」という悔いた気持ちでもない。なんとなく散乱したテーマが、いろいろ転がっている方がどうもしっくりくる。それは、そもそも質料などというモノを相手にした瞬間に、宿命づけられていたと言えるのかもしれない。形相への疑念は全体形への統一性を嫌うのであるから。しかしそうは言っても、何とかその表し方が散漫にならないように考え、単一の部位でこの問題を扱おうとしたあげくの窓であった。もちろん窓以外のいろいろなこと、平面や断面、あるいは内部の展開等がテーマの表し方に、さまざまに影響を及ぼしていることは言うまでもない。また逆に窓が個々の建築に対して持つ意味、あるいは窓に期待する役割は3つの建物に共通してここに記したテーマだけということではもちろん無い。ただ3つに共通し、かなり明快に言葉にできるようなことだけをここに述べてみた。

初出:『建築技術』2002年2月号


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