[目次]
Part 1
防水コンクリートの可能性:
タケイ工業に聞く
Part 2
コンクリートの表面仕上げについて:ニチエー吉田に聞く
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防水コンクリートの可能性 タケイ工業に聞く
コンクリートの問題
コンクリートは困った材料だ。これだけ使い慣れた材料でありながら、未だにそれを安定的な品質で使いこなすことが出来ないからである。その理由は明らかである。昨今の建築材料の中では珍しく、「現場で作る」ものだからだ。つまり工場管理ができない原始性を残している。もちろん生コンは工場のコンピューター監理で仕様書に従い厳密に品質管理されている。それがミキサー車に乗せられて現場に到着するのであるから、コンクリートも半分は工場製品である。しかし現場に着いてから残り半分を作る作業が残っている。ここでいろいろなことがおこるから手に負えない。
よく言われていることだが、ポンプ車の発達とともに柔らかいコンクリートが求められるようになり、現場で水が加えられたり、バイブレーターの使い過ぎで、分離したり、型枠の精度が悪かったり……。ぼくが言うまでも無く読者の多くが様々な煮え湯を飲まされたことであろう。
つまり図面仕様書に書いてある内容が多くの場合、現場でその通りできないというのがコンクリートの宿命であるかのような状態になっている。その通り作ろうとするならば、建築家は死に物狂いで管理体制を作り上げ、施工者をその気にさせ、あるいは多少のコストに目をつぶり、家具の大工に型枠を作らせたりもするのである。とまあ、やれば出来ないことではないが、とにかく世界中見渡しても、図面仕様書通りにコンクリートを作るということ自体が大変なことのようである。
建築家木島千嘉氏から聞いた話では、父である故木島安史氏が安藤忠雄氏にコンクリートのノウハウを質問した返事の手紙にこう書いてあったそうである。「あまりこれといったものはありませんで、原点にもどって考えられたらと思います。」更にその手紙には、パネルの精度、鉄筋と型枠の関係について言及していたそうだ。しかしいずれも図面の内容をいかにして実行するかという点に重点が置かれている。つまり世界的に評価される安藤忠雄氏のコンクリートが何か特別なことをしているのではない。彼自身言うとおり、原点に立ち戻り、図面の内容を確実に実行することに主眼が置かれている。しかしそうした普通のことをすることが大変なわけで、諸外国ではコンクリートのANDO仕様というのがあるらしく、図面にそう記すだけでコストが2倍にも膨れ上がるという話を聞いたことがある。
また林昌二氏は「コンクリートはきちんと打てば防水性能だってあるものですよ。でも、このきちんとというのが大変だ」と言っていた。さて、コンクリートをきちんと打つことの方法論は別に譲るとして、林氏が言うように、きちんと打ってコンクリートが防水材料になるのかというのがここでの本題である。
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