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(2)希薄な現代性/ウエットマテリアル
テクスチャーが単一であることに加えそれが前近代的なウエットマテリアル(湿式材料)であるという点も重要である。つまり、ロスアンジェルスがほとんど20世紀にはいってから爆発的に成長した都市であるにもかかわらず、そこを覆った表皮が、20世紀的なものではなかったところにこの街の持つ不思議なギャップがある。
更にその感を強くするのは、ロスアンジェルスの場合、このウエットマテリアルを木造の仕上げ材として使うことが多いことによる。木造の仕上げ材に使うということは、ラスの上にかなりの厚みで使う。よってどうしても出隅をピン角にしにくい。例えばシンドラー達の木造モダニズムの住宅では、出隅が面をとってソフトに収まっているものが散見される。このソフトな仕上がりが今日建設される建物でも見られる。その昔のミッションスタイルの時代に多用されたアビードと呼ばれる日干し煉瓦でつくられた建物は出隅が風化して自然と丸くなっているが、モダンな造形の現代の建物であってもこのソフトな出隅によって19世紀のイメージを彷彿させる。
つまり、このウエットマテリアルで建物が覆われることで都市が前近代的なイメージの中に送り返されているかに見えてくるのである。
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