偽りの保守
岸井成格、佐高信『偽りの保守・安倍晋三の正体』講談社2016を読んだのは、岸井が数年前に渡部昇一などが中心となった安倍晋三親衛隊から名指し攻撃を受けたことを覚えていたからである。岸井は安保法制反対と脱原発を明確に言う、新聞界の中では珍しい人間だ。
しかしこの本を読んでその岸井が保守本流を信条としていること、佐高とは慶応の同級生でもともと意見が対立していたこと、同級生には他に小泉、小沢がいたことなどびっくりするような話がいろいろある。岸井が今や反体制に見えるのは岸井が変わったのではなく、タカ派傍流が保守本流を食い潰したことによるのだという。保守本流はもちろん私の信ずるところではないが、今や彼らのいうことも相対的にはリーゾナブルに聞こえるほど傍流に乗っ取られた自民党は異常事態に至っているのである。