後建築gokenchikuの可能性
椹木野衣は『後美術論』(美術出版社2015)の中でこう述べている。美術史というもののなかで美術はジャンル化される。ジャンル化されないものは存在しなくなってしまう。ところがジャンルを破壊して命名できない状態になった状態にこそ新しい美術があるのではないか。それを彼は「後美術gobijutsu」と命名した。そしてそういうジャンル破壊の末に現れるものは往々にして音楽と美術の結婚だという。その最も分かりやすい例が小野ヨーコとジョンレノン。正直言うとそれ以外に登場したアーティストに馴染みのある人は少なく、YOU TUBEで確認しながらページをめくった。こうしたアーティストのほとんどはヨーロッパ特にイギリスが多いように感じた。そう考えると確かに僕の狭い現代美術史の知識においてイギリスは少ない。
ところでジャンル化されないというのは面白い概念だと思う。建築においてもありうる話である。建築は建築として大きな概念としては存在し続けるだろうけれど、低成長時代の21世紀においては建築にも新たなが概念が出てきているのは言うまでもない。そこにアートと融合したようなジャンル崩壊した「建築のようなもの」がもっと出てくる可能性は高い。「後建築gokenchiku」の可能性である。