創作の原点は自由
三宅一生の自伝的ビデオがある(『三宅一生未来のデザイン』岩波書店2013)。このビデオの中にフランス5月革命(1968)の話がでてくる。彼がギラロッシュの店で働いていた時である。革命の熱に促され店を飛び出し自由の空気に酔ったという。その後ジバンシーの店に入り飛躍的に成長する彼にとって、クチュリエのスタート地点が五月革命の「自由」だったと言う。
80年代にはいり彼はデザイナーを辞めたいと思った時期があり、パリコレのあと何も持たずに一人でギリシアに旅をした。そこで再度感じた「自由」の空気に触発され何か新しい世界あるのではと感じプリーツへ行きついたのだという。
彼の服はプリーツを含め一枚の布というコンセプトから生まれており、体と布の間に多くの空気がはいっていている。とても建築的であり触発されるところが多い。加えてその創作の原点にあるのは自由であることを知り、創作の精神的原点はやはり自由なのだと再確認させられた。