美学会での新国立競技場をめぐるシンポジウム
美学会が年に一度行う公開シンポジウムの今年のテーマが「都市と建築の美学―新国立競技場問題を契機に」というタイトルで本日東大文学部で行われた。司会は京大の岡田先生。基調講演を槇さんがされ、登壇者として東大の初田さん、早稲田の中谷さん、そしてスカイプでコロンビアからオリンピア・ニリオさんがそれぞれスピーチされた。この問題に関する槇さんの発言は既知の内容だったが、中谷さんのそれは初めて。彼の主張はいくつかあったが重要なことの一つは建築家の権利を擁護するというものだった。すなわち既に決定されている複数の建築家(デザイン監修者であるザハと日本側の基本実施設計者)の権利を守った上で彼らに意見すべきことであると言う枠組み設定だった。建築家の権利擁護には賛成であるが、そもそも不完全な要項によって選ばれてしまった建築家の案を妥当な案として擁護するのはおかしいと僕には思われた。
しかしこうした議論が建築界の外で行われたことの意義は大きいし、それを成立させるために中谷氏が尽力したとすればそのことには敬意を表したい。