東工大3年生、理科大二部4年生講評会それぞれの味がある
東工大3年生の前期後半課題の最終講評会を奥山先生の設計した緑が丘6号館で行った。午前中から行って45人全員の採点をしてから発表者15名を一緒に指導していただいた金箱さんとともに決めた。決めた後に発表できない人を短時間ではあるが一人ずつ講評して2時から選ばれた発表者が一人10分の持ち時間で発表クリティークを行った。クリティークには私、金箱さん、ゲストで竹中の萩原剛さん、金箱事務所OBの木下さん、アルゼンチン建築家フェデリコ、常勤の奥山先生、塚本先生、スチュワート先生、安田先生、が来られた。予想はしていたが図面の質は高い。ただ構造模型50分の1を課しているので全体模型200分の1が少々雑だった。それにしても全体のできはいいのではなかろうか。A1判8枚を仕上げた学生もいて殆ど卒業設計レベルの量をこなすガンバリ屋がいたりするのはとても嬉しい。
課題はテクトニックな側面に集中できるようにプログラムは比較的簡単なもの。僕の設計したリーテムファクトリーの敷地を少々大きくしてそこに現在の工場機能+ミュージアムとカフェを挿入せよと言うものである。課題の主旨は現在閉塞的なビルディングタイプも今後ますます公共性を帯びて機能ミックスが起こり閉塞性が除かれ周辺と相互浸透するような建築が生まれると言う期待と予見に基づいている。
坂牛賞に選んだ作品はテクトニックには無理が沢山あったが、ファクトリー機能とミュージアム機能とが数枚のHPシェルによって表裏に分けられているというものである。機能を構成で分けるのではなく表裏の空間で分けるアイデアを買った。
自分たちが3年生のころからするとプレゼンははるかにデジタル化して上手になった。ただ建築を奥の方から考える思考の次元はどうなのか?今回のテクトニックな課題ではちょっと分からなかったがその部分にも彼らの思いが行くことを先輩として深く願うものである。
夕方神楽坂でマストミーティングがあり東工大を早々に出た。ミーティングの後、今度は理科大4年生のプレディプロマの講評会である。今年はコンテクスト、プログラム、エンジニアリングのどれか二つに注目しながら自由課題をこなすというものだった。プレディプロマなので形を作らずリサーチだけでも良いと言う要求にしたのだが、どうもできが悪い。リサーチだけならリサーチにそれだけの密度や思考が必要なのだがそれを満たしているリサーチは殆ど見られなかった。結局こういいうやり方をすると手を抜くだけだと言うことが分かり少々残念だった。ただ、いくつかの形にこぎつけた案には面白いものも見受けられた。また実験的な案として、カーンの光と闇をテーマに実験的空間を作りその断面模型を本のようにして見せるという提案があった。空間のコノテーションとしてチャレンジングで嬉しい案だった。
今日は腹いっぱいの日であった。お腹が空いたが頭は一杯である。ワインを飲んで眠ろう。