やはりブラジリアの計画性は鼻につく
中岡義介+川西尋子『首都ブラジリア―モデルニズモ都市の誕生』鹿島出版会2014を読んだ。近代都市計画の失敗と言われ続けたこの都市を逆に20世紀の快適な都市の傑作として再読しようという試みである。去年ブラジリア、リオ、サンパウロなどを訪ねた感想としてはブラジリアの全体観はやはり同じ人工都市であるキャンベラやチャンディガールと近く機能的で清潔ではあるが人工的で無機質である。唯一予想に反して人間的だと思えたのはレジデンシャルエリアのスケール感と緑の量である。ここは住めるなと思った。
何故だろう?何が「人工的」なものとして感じられるのだろうか?一言で言えば人間が計画してできた「計画性」が視覚的に一目瞭然だからだろう。しかし所詮都市など多かれ少なかれ人工的なのだから、もう少し時間がたってルールを逸脱する現象が起こり、この「計画性」が鼻につかなくなるのかもしれない。