異化効果(のようなもの)の効能
今日のゼミで建築の自律性とそこからの違反、あるいは「ずれ」を考えたいという学生がいた。こうしたずれを建築制作の方法論に置く人は少なからずいるだろうけれど、そのことを明示する建築家はそれほど多くもない。坂本一成もその一人である。その昔東大文学部の学生15人くらいを連れてHOUSE SAを見学させていただき、全員に5000字程度のレポートを書かせて先生に優秀作を選んでいただいた。その時優秀賞に選ばれた文章が若宮和男「HOUSE SAの詩学」というタイトルで、異化効果について触れていた。
http://www.ofda.jp/lecture/main/02visit/01/02.html
およそ異化効果(のようなもの)ほど表現として効果的なものはないだろうと僕は思っている。その昔とある建築家が建築表現の最も効果的な方法はコントラストだと言っていたがコントラストと異化効果(のようなもの)には通じるところがある。つい最近読んでいた高崎卓馬『表現の技術』dentsu2013 には広告表現の効果的手法として「ズレ」をあげていた。これもコンテクストの反転であり一つの異化効果(のようなもの)だろうと僕には思える。