建築アイデンティティ議論
○食事前に建築談議で盛り上がり、ライト、コルビュジエジエと話しがはずむ。大使は話の進め方、振り方が見事である。大使夫人も天才的。なのだが、勝手に建築論議論で盛り上がってしまう我々は常識はずれ人種かも。
○副とつくが力は副なしの大統領だと巷の噂。人への溶け込みかたの上手さはさすがである。
○建築のアイデンティティがテーマなので日本建築史を15分で駆け抜ける。
朝からコンペ審査。ジェフ、ベレン、僕で審査する。市の関係者が質問に答えてくれる。視察した現地を思い出しながらなるべく英語で話してもらうように頼みなんとか最終三案を選ぶ。ジェフがアメリカ人にしては奥ゆかしく、僕に一等を決めろと言うのでこれにしょうと言うと異議なしで決まる。
12時に大学を車で出て日本大使公邸に向かう。公邸周辺は完全なゲイテッドになっている。もちろんグアテマラで最も大きな家が集まっているところでありアメリカの高級住宅地の風情である。
こういうことは初めての僕に比べると父親が外交官だったアナはやるべきこと、着るべきものが分かっている。タイを日本から持ってこなかった僕にハズバンドのタイを持ってきてくれた。ありがたや。公邸にはイスモ大学の学長ペレス、学科長アナ、僕の面倒を見てくれているロールドレス、そして佐々木アソシエイツの(やっぱり日本人が創始者だからか?)パブロとロベルト、日本政府の奨学金を申請している学生(名前忘れた)が招待された。もちろん人選は大学がリストを送り大使館が行う。
大使館の建物は自前のモノから借りているものまである。ここは借り物。大使館の家具は赴任中の大使の好みで決まって行くので、長年の間にトータルコーディネーションが崩れると嘆いていた。日本人はインテリアがあっさりしてしまいますねとこれも嘆き。そう言われるとちょっと渡しずらくなったが、拙著2冊を差し上げた。娘さんがバートレットで建築を勉強中とのこと。では是非フォーティ―にお会いくださいと申し上げる。
さすが日本だと感心したが、ペルー料理と日本料理を交互にギャップなく味が繋がるように出してくれる。大使曰く、中南米の食事はペルーとメキシコに起源があると教えてくれた。いやーこんな料理を出されると感性の高い人はしびれるだろうなあ。
3時に公邸を辞して、大学に戻る。アナは再びドレッシーに着替える。やはりヨーロッパ文化だなとつくづく思う。中国行ってから、すぐ旅立つと持ってくる服を間違える。もうアナや副学長の服はパーティードレスさながらである。会場に車で着くと、学生も含めて皆滅茶苦茶おしゃれに着飾っている。やれやれ、、、、
ホルヘモンテスチェアという名の一連の建築イベントのピークが今日であり、会場は400人くらいの学生、建築家、各大学の建築学科ディーンが集まって来ている。6時から始まる副大統領の挨拶が6時半に遅れる。グアテマラタイムだと皆気にしない。副学長、学科長そして副大統領の挨拶。さすがに政治家の挨拶を他と比較すると迫力が違う。そして僕が紹介され建築のアイデンティティについて話を始める。他の国に行って、建築のアイデンティティについて、学生から、日本大使夫妻も前にして語るのは実に難しかった。しかし今回はある程度それを予測しながら、生まれて初めてきちんと原稿を用意してスピーチした。これは本当である。言うべきことをきちんと言えたと思うし、さすがに原稿あると余裕もあって冗談の一つも言えたのだが(最近これは必須である)一方で会場を見ながら原稿に目を戻すとロストしてしまうことが分かった。副大統領はI-PODと手書きのどでかいメモを持ってきてI-PODはどうも万が一の時のために演台の下において手書きを見て話していた。その理由がよく分かった。90分の予定が副大統領が遅れて75分くらいに切り詰められたが無事納まった。
終わってカクテルパーティがあり、学生に頼まれて数十枚一緒に写真をとったが、僕より大きな女性が3分の2くらいはいるのには参った。いや背だけでは無く横にも結構大きいよね。昨日アンティグアで彫刻を見ている時にお腹が出ているかいないかというのが議論になった。出ていることが美の要素である時代もあったようである。11時。明日ティカルに行く僕を慮り、アナに「さあ行くよ」と言われ今日が最後になるモネオの娘ベレン、パブロとハグ。ベレンは本当に可愛らしくて素敵なレディだった。ハーバード出た後、どうしてコロンビアの院に行ったのかと聞くとハーバードのディーンが父親だったからだそうだ。マドリードか東京で是非会おうと言って別れた。パブロはハーバードの院を出てハーバードで教えているとのこと。僕がアルゼンチンに最初に行った時にボカのチケットをすぐ買ったと言う話を皆に言いふらし、そんな男がこんな建築を作っているなんて信じられないと笑いを誘う。彼はワークショップの先生だったが、昨晩夜中に呼び出され最終プレンを見たが、3割くらいがとにかく素晴らしいレベルである。2日しかないのにここまで引き上げる力に感心した。彼と別れるのも淋しいものだ。2メートルくらいありそうなイカス男とハグするのは大変。こっちが背伸びして、向こうがしゃがむ。
部屋に戻り明日の準備。飛行機6時半だから、、、、