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スパニッシュとマヤのコンバインを見る


○スパニッシュコロニアルがマヤ人の建設者によってマニエリスティックに変形され柱のプロポーションがでぶになった。

○この丸い広場に見えるところには屋根がかかっていた。そしてこの丸い部屋の周りには15個くらいの部屋と思しきものがあり、そこには下水に繋がるトイレがついている。一体ここが何に使われていたのかは未だに分かって無いらしい。

○このコーナーウインドウ組積造文化では珍しい。構造的にはこの格子の後ろに柱は立ってる。出窓にしているところがみそ。

〇この鳩小屋は一般に1階建てのアンティグアの大きな家のロフト的な場所に作られている。この小さなボールトのついた穴が鳩の入り口、とするとこの四角い穴は何なのか議論となった。

○このドーナツ空間はせまい階段を地下に降りると突然開く。狭いところから突如開かれた場所に出るのはマヤのシークエンスだとアナは言う

朝大学でワークショップの様子を覗きすぐに、ベレン、ジェフ、アナ、と一緒に車で1時間ほどの古都アンティグアに向かう。日本に来たことがある先生の一人が、グアテマラシティは東京でアンティグアは京都だと教えてくれた。学科長アナは一般にアンティグアの建築様式がコロニアルスタイル(スパニッシュバロック)と言われることに疑いを持っている。これはヴァナキュラー建築だと言うのである。
グアテマラにはスペインのマスターアキテクトは来ていなくて、インストラクションドキュメントのみがあり(それがどのようなものか会話の中では曖昧だったが)それをもとに、マヤの人間がそれを建設した。マヤの建築はアンソロモルフォロジック(人体寸法を基準に形態を作る)なので彼らはスパニッシュバロックを自らの寸法形態に変えて行ったというのである。
さてそんなものちょっと違ったって僕には分かるまいと思って行ったのだが、果たして全然違うということが一目瞭然だった。しかしこんなマニエリスムは元祖スペインにだってあるだろうと思いマドリードに住むベレン夫婦に聞くとすかさずこんなの見たこと無いという答えが返ってきた。彼らも驚いている。アナがこういうことに注目したのはキューバ―の学者が提唱しているtransculturelizationという学問領域に興味があるからだと言う。
アナが観光客では見られない、見るべきところへどんどん連れて行って説明してくれるので本一冊分くらいの特別講義を聞いた感じである。
建築様式が異なる文化の中で変形するのは多かれ少なかれおこることなのだろう。しかし正直言ってあまり真剣に比較しながら建築を見たことは無かった。
例えば日本建築はどうだったのだろうか?彼らの目から見ると中国建築は日本に入りシンプリファイされたと映る。確かにそれは事実だろう。ではそれはどうした理由に因るのだろうか?理由は無く単なる芸術意志なのだろうか???

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