建築における自由とは
ホセ・オルテガ・イ・ガゼットが「技術の彼岸にある人間の神話」という講演(1951)で(伊藤哲夫、水田一征訳『哲学者の語る建築』中央公論美術出版2008、所収)「人間とはもともとその本質として選択する動物である」そして人間は選択しなければならないから知的なのであり、「選択しなければならないから自由であらねばならない」とも言う
あのNHKで有名になったコロンビア大学の盲目の教授シーナ・アイエンガーの有名な著書『選択の科学』を読んだ時、人間は選択することで自由なのだというテーゼに共感したが、半世紀前にガゼットもまったく同じことを言うわけである。
そして、では、僕らは建築の中で自由であることはどういうことか?と問うてみると、一つの答えとして建築の中での選択の自由があるということなのではないかと思えるわけである。それにはいろいろな選択がある。でも選択の無い建築はとても息苦しい。今もう一度建築の自由について考えてみてもいい。