伊礼智さんの住宅発想
GWの日本は嵐だった。竜巻が栃木の現場近くを襲った。もうすれすれだった。その現場で外壁の色決めをする予定だったが行ってみたらモルタルのモックアップに塗られたランデックスは殆ど発色せず染み込んでしまっている。再度もっと濃い色でモックアップを作り直してもらう。
夕方事務所に戻りコンペの打合せ。アルゼンチンに送られてきた図面だけでは分からなかった隣地との関係やエレベーションが気になる。気になるのだがいい案が浮かばない。時間切れで大学へ。2年生製図の合評会。ゲストクリティークは伊礼智さん。伊礼さんの「居場所」にこだわった住宅設計はとても素晴らしい。8畳の居間に3つくらいの「居場所」を作ると言う発想は彼の美しい展開以上に魅力的な設計作法だと思う。自身おっしゃるように派手なそぶりはないけれど様々な工夫とディテールにあふれている。
伊礼賞は彼の新刊『伊礼智の住宅設計』479ページの大部の書である。合評会後食事をしながら聞くと伊礼さんは年間12棟の住宅を設計するとのこと。いやはや10年で100棟。どうやってそれらをコントロールしているのだろうか凄いものだ。凄い番頭さんがいるのかと思いきや彼がベテランと呼ぶのは6年生くらいである。入所したてから2棟くらい任すとのこと。そのくらいした方がスタッフは育つのだろう。