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吉祥寺の楽しさ

『吉祥寺スタイル』文藝春秋2007という本がちょっと気になって手にしたらなかなか面白い。著者は三浦展なのだが内容は吉祥寺の特徴を4つに分けてそれらの構成要素抽出と言う建築屋っぽいモノの見方。よくよく見るとこの本は三浦展の横に+渡和由研究室(筑波大学)と少々小さなロゴで書かれている。なるほど合点が行った。
渡さんは八潮で一緒に街づくりをする人。最初に会ったときから、なんだか意見の合う人だと思っていたのである。この本を読んでなぜ意見が合うかが分かった。
僕が街を評価する基準は前世紀末にアメリカで生まれてきたニューアーバニズムと呼ばれる思想に立脚している。まあ簡単に言えば「都市は歩いて楽しいこと」というような考え方である。そうしたらこの本で渡さんもニューアーバニズムが大事だと言っている。思想の根底が同じなのだから意見が合うのは当然である。
渡さんはニューアーバニズムに基づきながら吉祥寺の四つの特徴を1)歩ける、2)透ける、3)流れる、4)溜まると分類している。なるほどこの辺りも僕の研究室で今年アメ横研究をしていた分析概念と似ている。僕の学生はアメ横の通りの流れを滞留させるような要素である看板や、商品、オーニングと歩きながら店の奥が透けて見える開口の大きさを調べ上げ、アメ横周辺の6つの通りの特徴を明らかにした。
渡さんの吉祥寺の特徴で言えば、透ける要素、溜まる要素を定量化したわけである。ニューアーバニズムをもとに学生と右往左往しながらやっていたことは果たして意味のあることだろうかとふと疑問に思ったこともあるけれど、この本を読んで少しほっとしたし、未だやることがあるなと少し勇気もわいてきた。

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