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人の心を傷つける

茂木健一郎の『脳と仮想』新潮文庫2007(2004)は第四回の小林秀雄賞を受賞した作品で小林秀雄に大きく影響をうけて書かれている。その影響とはよく言われる「花の美しさはなく美しい花がある」という小林の考え方のエキスからの影響のようにも感じられる、、、、なんて小林秀雄を知ったかぶるのはやめよう。高校生程度の知識しかないのだから。ところで茂木は「芸術はひとの心を傷つけることで感動させる」と書いている。そしてその「傷つける」を次のように説明する。「心無い言葉のように不快な形で傷つけるのではない。その瞬間に、何かが自分の奥深くまで入り込んで来たような気がする。ああやられたと思う。」この何かが自分の奥深くまで入り込んで来たような・・・・という感覚。これはとてもよく分かる。す――っと入られてしまうような感じである。相手が何の挨拶も無く勝手に上がりこんでくるような感じである。
こういうことはしかしそんなに起こることじゃあない。特に建築では。何故だろうかと思う。写真や音楽や絵だと比較的頻繁に起こるのだが建築ではそうしょっちゅうは起こらない。それは建築を見る時にこちらにも隙が無いからかもしれない。ちょっとやそっとでは入り込めないからである。しかしどうもそれだけが理由ではないような気もしている。見過ぎて鈍感になっているのか本物を見ていないかである。

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