何をやるかではなく、何をやらないか!
朝一で栃木のクライアントと打ち合わせ。往復の車中で楠木健『ストーリーとしての競争戦略』東洋経済新聞社2009を読む。ビジネス本に興味は無いのだが帯に12万部突破、ビジネス大賞2011受賞と書いてあるのでつい読んでみたくなった。著者は一橋大学の教授である。学者など実際のビジネス成功者の経験談に比べれば何の役にも立たないと謙遜するが、様々な企業の戦略家と会って話をしていると語ることが分析に終わり戦略になっていないと言う。戦略とは「他と違うことをすること(doing different)」だという。そのためには「何をするかではなく、何をしないか」を考えなければならないという。これは名言である。「やりたくないことをやってはいけない」というのは僕の座右の銘でもある。しかしこれは残念ながら戦略にはなっていない。戦略の場合は本能の入る隙間は無いからである。僕のそれは残念ながら本能的なものである。篠原一男は住宅以外はやらないと決めて自分のSP(strategic positioning)を明確にした。実は住宅以外の設計依頼もあったのだがそれは弟子にやらせて自分は横で見ていたのである(晩年はそのSPを崩したわけであるが)。これは戦略だったのか本能だったのかそれは定かではない。
夕方研究室で研究プロジェクトの打ち合わせ。助手のT君にいろいろと注文。設計のリズムを覚えてもらうにはいくつかやっていくしかない。夜4年の製図エスキス。始まるころに電話。オフクロ入院。おっとあせるなあ。とりあえずエスキスを全員してから病院へ駆けつける。お茶の水のS病院。僕が浪人中も彼女はここに1年間入院していた。あれから30年以上よく生きていきたものである。東京に移るなりこんなことになるとは!オフクロに呼び戻されたのかもしれない。今日は病院で寝よう。