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九段会館はファシズム建築か?

理科大は靖国神社の鳥居の前にある。そばには3.11の時に天井が落ちた「九段会館」がある。この建物は1934年に竣工し、当時は軍人会館と呼ばれ退役軍人が靖国神社へまいった後に集い泊まる施設だったそうだ。この建物のデザインの特徴である瓦屋根は国立博物館などとともに20年代後半から30年代の典型的なナショナルデザインだった。しかしそれをファシズムの統制下の建築と見るかどうかでは井上章一と八束はじめで意見が割れている。井上はモダニズムの白亜の大阪軍人会館を例に出しながら瓦はファシズムの統制ではなかったとし、八束はファシズムにつながると言う。そして八束のこだわりを推測した井上はそこにドゥルーズとガタリのリゾームがファシズムの理由として挙げられていることを指摘。本当かどうかはよく分からないが、ファシズムがリゾーム的な抑圧の権力関係の中に生まれるのであろうことは想像に難くないし、一方世の中は全てリゾーム的な権力関係の中にあるわけでそれをファシズムの因果にしたらすべてがファシズムになってしまうと言う井上の言うこともその通りである。どちらに分があるのかは全くわからないしでも面白そうな論争である。(井上章一『夢と魅惑の全体主義』文春新書20

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