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音楽と建築におけるフォルマリズムの差

朝早く起きて白石美雪『ジョン・ケージ―混沌ではなくアナーキー』武蔵野美術大学出版会2009を読み始める。構造、形式、方法、素材という四つのカテゴリーがケージ作曲論の重要なタームだった。建築とそっくりで驚く。そして聴こえる音自体よりも形式の操作に力点が置かれていることがいかにもモダニズム。ヴィットゲンシュタインの建築のようである。しかし形式の操作は僕らには聞こえにくく見えにくい。人々が受け取るのはあくまで視覚と聴覚の快楽に過ぎない。そして視覚と聴覚ではそのレンジ幅が異なるように僕には思えるのである。聴覚のそれはかなり狭いというのが僕の実感。つまり音楽では下手に形式をいじるとすぐに不快な領域にはみ出ていくように思えるのである。音楽のフォルマリズムはそう簡単に人を気持ちよくさせない。一方建築のフォルマリズムは簡単に人を快楽に導く。なんて考えているのは僕が建築をやっているからに過ぎないのだろうか?耳が古典的にできているだけなのだろうか?

午後コンペを進めるために研究室へ。なんだか閑散としている。コンペやっているのに学生は1人、助手と僕がしこしこと作業している。この研究室大丈夫だろうか?四年しかいないとこんなもんだろうか?前の大学でも四年はコンペじゃお味噌だし、ゼミやってもピントはずれでイライラした。だからここで怒ってはいけない。じっと耐えねば。でもそうやって鍛えた彼らが大学院に来られるかと言うとこれがまたそうでもない。ここは簡単に院には入れないようである。八方ふさがりである。

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