タイガーマスクが政治を動かす
朝一のあずさで塩山へ。施主定例の後、金箱事務所、テーテンス事務所によるコンクリートの打ちあがりと設備機器の取り付け状況の検査を行う。
この建物は児童養護施設で施設の子供たちは現在近くのマンションを借りて仮住まいをしている。そこにもタイガーマスクは訪れたそうだが、このタイガーマスク騒動で厚労省は今日付けで「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」という委員会を設置した。ここでは施設基準の見直しなどを検討するそうである。この仕事を始めてから日本の子供行政はお寒いものだということをクラインとから教えてもらい、本で読み、そして設計をしながら感じてきた。子供の個室の基準は一人当たり一坪である。だから天井を高くして机付きベッドを家具工事で作りなんとか狭い部屋に入れて生活できるようにした。この委員会で検討されればおそらく一人当たりの面積は増えるであろうし、指導員も増強されるであろうし、むろん国家予算も少しは(少なくとも今年は)増えるのであろう。
そうしたことは嬉しいことだし、歓迎すべき一歩なのだとは思う。しかし役所の検討がこの善意の寄付騒ぎによるものだとするとちょっと寂しいではないか。こんな偶然のようなきっかけが無ければ政府は動かないことをあらわにしている。どうも日本の政策にはそういう傾向が多々見られる。常に世論の批判を浴びないように火消し的に政策が打ち出されていくのである。もう少し主体的にヴィジョンを持って政策提示をし、実行して欲しいものである。