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ETHの教科書の凄み

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大学仕事始め。朝一で大学へ。教室会議を終えて午後は赤を入れた4年の梗概を渡す。4年の梗概に毎年見られる悲しい事実。
① 自分の意見と人の意見がごちゃごちゃ(小学校の作文で教えることだと思うが)
② ろくすっぽ調べていないのに断定する(中学生の社会科のレポートで注意される内容)
③ 自分だけ分かった気になっている(これも中学生くらいで注意されることだな)
書かれている内容と目指す志は大学生だが文章のレベルは小学生である。まあ今年に始まったことではないし、この大学だけの問題だとも思わないけれど。
夕方事務所に戻り先日届いた本を開く。平瀬君に教えてもらったETHの教科書である。タイトルはConstructing Architecture materials processes structures a handbook
出版社はBirkhauser である。
アマゾンで注文した時はまあ新建築くらいのヴォリュームと思っていたのだが届いたら電話帳である。Hand bookなのだからまあそいうものかもしれないのだが、内容は単なる事例集ではない。タイトルが示す通り建築をいかにconstructするかが丁寧に記されている。まずは材料。組石、コンクリート、木、鉄、断熱材、ガラス。次に部位ごとの説明。基礎、ファサード、開口、床、屋根、階段。次に構造。そしてやっと建物事例が出てくる。それで終わると思いきや最後にその図面の描き方がまた部位ごとに説明される。
これは教科書としてはパーフェクトである。こんな教科書を使ってみたいものである。でもこれを日本の大学のどの時間に誰が教えるべきなのだろうか?そもそもこんな教材がないということはおいておいて、日本では学部時代はかなり総合的な教育をさせている。だからもうこれ以上カリキュラムに何か新しいことを入れ込む余地はないのである。先ずはそこを変えたいところである。やはりどこかの大学のように建築学部ができれば少しは変わるのかもしれない。しかしそれは何時のことやら。隣の芝生を羨ましがっても仕方ない。そうなると残るは院の教育をそれぞれ専門化させることが考えられる。しかるにその場合講義数だけが教員に比例せず増えていくことになり教えられる先生がいなくなる。恵まれた国立大学の余裕のある先生にしかできない芸当である。やれやれ、、、。

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