ピアノという楽器の繊細さ
朝方のアズサで甲府へ。昨日の雨があがり雲が飛んで冷え込んでいる。空気は澄み渡り甲府を囲む山々がくっきりと青空に浮かび上がる。昨晩の雨が山では雪に変わりうっすらと雪化粧。
甲府駅前は駅広整備が行われている。甲斐市にあった重文の擬洋風建築(藤村記念館)が移築されて駅広に鎮座し、その背後に丹下さんの山梨文化会館が見え、かたや駅自体が宇宙的デザインで拡張されている。いやはやなんともちぐはぐ??
現場は建具の塗装中。外構に土を入れて高さ調整。外壁の白がまぶしい。午後事務所で定例会議。
午後のアズサで新宿へ。車中高木裕『調律師、至高の音をつくる』朝日新聞出版2010を読む。スタインウェイを20台近く保有し、それをピアニストともに会場に運び込むという著者の調律師としての新しい職能の拡張に驚く。それはもはや調律師を超えピアノサウンドプロデューサーである。ピアノの調整で最も気を使うのは温湿度だと言う。それは弦楽器ときわめて近い。そう考えると確かに弦を鳴らし、それを共鳴箱で響かせる原理は弦楽器そのものである。その昔温湿度が適当ではないところで練習するときはヴァイオリンを布でくるんで弾いていた記憶がある。ピアノもそのくらいデリケートな楽器であることがよくわかった。