ある空間とある空間を区別させるものは何か
久々に雨模様の東京。朝のあずさで塩山へ。現場は2階の鉄筋を立てこみ中。久々のRC現場で支保工のすき間をくぐりながら現場を歩く。午後甲府へ移動し住宅の現場を見る。内部塗装がもうすぐ終わりそうである。夕刻のあずさで東京へ。車中エドワード・ホール(Hall, E.T.)日高敏隆・佐藤信之訳『かくれた次元』みすず書房(1960)1970を読む。明々後日早大の三嶋先生にアフォーダンスについて講演いただくので付け焼き刃読書。未読基本図書に目を通すいいチャンスと義務的に読んだのだが、この本とても面白い。やはり定本にはそれなりの理由があるということだ。建築的に肯いたのは二つの空間を区別させる指標について。ホールは言う「その空間の中で何ができるかによって、その空間がどう感じられるかが決まるのである」例えば天井を触れるか触れないかで空間の高さは決定的な差を持つ。巾の狭い書斎などで両腕を広げた時左右の壁に触れるか触れないかでこの空間の巾は決定的に異なって感じられる。また段差や吹き抜けなどある空間で端から端まで歩いて行けるのか行けないかでこの空間の広さ感は大きな差を持つ。つまりそれは筋感覚が視覚を大きく助け人間の空間知覚を決めていくということである。「筋感覚」とは便利な言葉である。これから使わせていただこう。