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不運の平等

経済学者竹内啓の書いた『偶然とは何か―その積極的意味』岩波新書2010という本がある。著者曰く、偶然は良いほうに転べば幸運といわれ、悪いほうに転べば不運である。科学が支配する社会になっても偶然は消滅しない。未来社会まで含めてそこに偶然は内在している。僕らはそれを回避するのではなく受け取らなければならない。もちろん不運を最小限にする努力は必要だが、それでも不運は起こる。その時われわれは不運を被った人を不運だといって知らん顔するのではなくその不運を分配しなければならないと著者は言う。この考え方は昨日読んだ「自由の平等」に近いものがある。言い換えれば「不運の平等」である。天災被害に自衛隊を出動させるのは税金を被害者にあてがうのだから不運の平等になる。しかし常に自衛隊が出動するわけでもない。それは無視された不運であり、あってはならないことなのである。
数え上げれば僕もいろいろな不運を経験した。卑近な例だがコンピューターが壊れるというのも不運。病気というのも不運。ひどい施工者と仕事をするというのも不運。そしてこれからも確実に多くの不運に直面するだろう。でもそれは仕方ない。そして今後は人のことでも自分のことでも不運を分配しよう。著者の考えに多いに賛成。

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