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状況にコミットできるか

アエロフロートに初めて乗った。脱出口の横の席にしてもらえたので楽だったが、隣に座ったロシア人が熊みたいにでかくてまいった。腕が僕の太ももくらいあり、顔は僕の2倍くらいあった。アエロフロートはエコノミーだとアルコールが出ないようだ。まあ機内では飲まない方なのでいいのだが。成田で買った今年の芥川賞受賞作赤染晶子『乙女の密告』新潮社2010を読む。京都の外語大が舞台。作者自身京都外大出身なので自分のことを書いているようである。会話がばりばりの京都弁。研究室の京都出身の子を思い出した。一本映画を見てから大塚英志+東浩紀『リアルのゆくえ-おたく/オタクはどう生きるか』講談社現代新書2008を読む。二人の2000年から2008年までの4つの対談が掲載されている。大塚が散々東につっかかっているのが面白い。大塚は東のことを常に状況を先回りしながらメタレベルで発言し、状況にコミットしないことにいら立ちを覚え、そうした東の姿勢をマーケッテイングだと評する。一方東は自らのポストモダン体質(小理論の林立)に対して大塚が「公民」というような比較的大きな理論をふりかざすことの無理を主張する。状況にコミットするそうした体質は趣味的と反撃する。大塚は僕と同じ世代なので彼の言うことはとてもよく分かる。こうした世代的な状況への態度差は建築界でも相同的に見える。私的な世界を徹底的に繰り広げる若い世代にとって状況はコミットする場所ではないように見える。
モスクワ空港は6時だというのに静かなものだ。インターネットプレースみたいなものがないので床のコンセントにつないでパソコンを打っている若者が結構いる。そこに仲間入りさせていただく。おっとwifiにただでつながる。すばらしい。

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