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漱石と綿矢

1時半のKLMでアムステルダムへ飛ぶ。11時間もの自由時間。まずは昨日読み始めた『文化人とは何か』を通読。どれもこれも面白いのだが全体を通じて編者の意図する「ある専門的な活動における人称性は、それ独自でというよりも、それを流通させる仕組」に依存するという状況が編者が言うほど深くは読み込めなかった。というより、そんなこと大体知っているという程度で終わってしまった。ちょっと残念。機内食食べて、空港で買った二冊の恋愛小説を読む。先ずは綿矢りさ『勝手にふるえてろ』文芸春秋2010。この人、文芸春秋賞受賞作『インストール』を書いたのが17歳。それを読んだ時ファンになった。その後おそらく3年に一冊のスローペースで本書は4作目?片思いの彼とこちらを向いてくれる彼の狭間で揺れ動く女性の内面を描く。一度こちらを向いてくれる彼を振り切るものの最後は片思いの彼を忘れ「自分の愛ではなく他人の愛を信じるのは、自分への裏切りではなく、挑戦だ」というポジティブな思考で終わる。続いて夏目漱石『こころ』。先日飲んだ高校の先輩に昔読んだ本を読むとしみじみ分かると言われ『こころ』が話題になった。夏目漱石はどれもこれも中学生ころはよく分からなかったが果たして今読むとピンと来るだろうか???同じく三角関係のストーリー。漱石の文章を読み返すとこの人の文章は実に論理明晰、一点の曇りも無い。綿矢がポジティブに終わるのに対して漱石はネガティブな結末。歳とったからジーンと来るようなところは多々あるけれど、しみじみ分かると言うところまではいかない。それにしてもあるコンテンツを表現するのに文章が多い。綿矢の2.5倍くらいの字数。この内容なら綿矢くらいの字数で書かれているほうが僕の好みだなあ(決して漱石を悪く言っているのではありません)。そうこうしているうちにアムステルダム、スキポール空港へ到着。10何年ぶりにやってきたが不思議なもので一回でも着た場所は体が空間を覚えているもの。凄―く懐かしい。ここからリスボンへ飛ぶ。

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