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永遠性

朝から事務所で仕事。昨日の二つの打ち合わせを踏まえ、今後の進め方を練る。来週からはスタッフのUさんもこちらのプロジェクトにジョインしてもらうことにする。ちょっと忙しくなりそうである。出版作業は大詰め。原稿はやっとのことで校正が全部終わり、最後のチェック。夕方まで第四章「永遠性と消費性」を書き進める。まだ資料が不足しているが、書き始める。ゴンブリッチの『美術のあゆみ』と図説西洋建築史全15巻を並べながら美術(建築)は原始から始まりエジプト・メソポタミアに進むことを示す。原始とエジプトの差は強力な社会集団ができ、それによって絶大な権力が生まれ、権力が神と繋がりそしてその合体した権力が「永遠性」を誇示したことにある。つまりエジプト・メソポタミア美術の主題は「永遠性」。ゴンブリッチの第二章が「永遠のための美術」というタイトルであるのはこういう理由からである。そして建築はルネサンスまで神のものであり、ルネサンスで金持ちのものとなるが以後ロココまで王のものである。神と王の建築は多かれ少なかれ永続性を希求する。もちろん神のものでも王のものでもない建築(住居)は人間がいる以上いつの時代にもあり、それはそれで社会を反映する一つの縮図である。しかし住居以外の建築の変遷もそれはそれで社会を如実に反映する鏡となっている。新古典、近代となり建築は永遠性の呪縛から解放され新たなフェイズに進むことになる。そこで消費という概念が登場する。というイメージである。書きたいのは消費なのでタイトルがイーブンな感じだとちょっとまずいかもしれない。
夕刻のアサマで長野へ。読みかけだった『印象派こうして世界を征服した』を読み終える。1950年代に印象派が爆発的に世界の富豪が好む商品となった理由の大きな理由の一つが
画商デュラン=リュエルらにより作成された作品総目録にあったという。デュラン=リュエルらは自身が扱った画家の作品を丹念に写真撮影して目録化した。これによって買う方は贋作をつかまされる不安から解放され、商品価値を信頼し、安心して大金を投入できたのだという。芸術などという得体の知れぬ世界において、記録なんていうものがこれだけの価値を持つということが新鮮な驚きである。
Mdrからメールがあり信大傍の飲み屋で収録した僕のインタビューが建築ラジオにアップされたそうだ。タイトルは「建築の規則を超えて」である。http://tenplusone.inax.co.jp/radio/講評会後のディスカッションは現在編集中だそうだ。

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