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目に見えないもの

早稲田の講義の作り替えをするために去年のパワポを全部見ていたらなんだかかなりひどいものである。これでも一昨年講義前に徹底して作り替えたつもりだったが、2年たってみると酷い。こんなこと教えていたかと思うと赤面である。繋がりが支離滅裂で分かりづらい。内容がひどく希薄。これを直すのは大変だなあ。最初から全部一人で作った方が結局は早くていいモノができたのだろう。でも今さらそんなこと嘆いても仕方ない。
講義の一つに「視覚の変容」がある。建築は写真に撮られたものを通して知ることが多いけれど、写真には写しきれない何かが重要である。それは一言で言えば体感性のようなことだが、写真家という人たちも写真に写せない何かを写したいと言う自己矛盾をかかえているはずだと勝手に思っていたらやはりそういう人がいた。笠原美智子は『写真、時代に抗するもの』青弓社2002の中で「見えるものと見えないもの」について書いていた。そこでは米田知子の「Between Visible and Invisible」という写真をとりあげている。この写真集には例えばこんな写真がある。反戦家ヘルマン・ヘッセの愛用したメガネを通して兵士の写真を見る写真。もちろんここに視覚的に見えない何かが見えるわけではない。視覚表象と記憶表象が融合しながら目に見えない何かが形作られることを意図しているわけである。このメカニズムは建築でも時折見られることである。
事務所でフランスのインターンシップの学生Janaiaに初めて会う。今までの研修生の中で最も静かで寡黙な人である。文学を学んでいたせいか?日本の血が入っているせいか?もくもくと10時まで日曜日のプレゼン用模型を作っていた。

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