分類
『分類思考の世界』の著者三中信宏は生物、環境工学専攻の教授である。理系的に思われるこの本にはしかし、哲学的思考が散見される。面白いもので著者自身もともとは哲学など愚にもつかない瑣末なもので極力排するべきものだったと思っていたそうだ。しかしある時その必要性に邂逅したという。確かに分類と言う行為はひどく哲学的に思える。建築において類型化は日常茶飯事だが、何を根拠にどうしてこれとそれの差をあるとかないとか言えるのか?そして言わなければならないのか?この疑問に答えるのはやはり哲学だと僕も思う。
菊池成孔『服は何故音楽を必要とするのか』INFASパブリケーションズ2008を読む。読むと言うより読みながら出てくる、デザイナーやミュージシャンをYOU TUBEで聞いたり眺めたりする。ファッション関係者以外でファッションショーが好きだと言う人に始めて出会った。やはりいるものだ。かく言う僕も好きである。チャンスがあれば万難を排し見に行く。しかしこの手のショーはその性格上当然なのだが、公にチケットが売られていることは少なくて、招待者で埋め尽くされる。と言うわけで好きではあるが、数えるほどしか見に行ったことはない。著者同様、テレビで見るのが関の山である。それで、なんで好きになったかと言うとそれは洋服が好きだからではない。これはまた偶然だが、著者が好きになった理由に近い。ファッションショーは聴覚、視覚に訴える良質の混合芸術であると感じたからである。もちろんコンサートも聴覚、視覚と言いたいところだが、視覚的にはファッションショーには勝てないように思う。