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オアハカ

朝一の1時間設計は清家清の「私の家」がテーマ。この建物の輪郭を使って学生たちそれぞれの私の家を設計せよという課題を出してみた。考えてみれば「私の家」というタイトルはなかなか意味深である。家は私のものに決まっているからである。再度その私性を強調する心はなんぞや?私の問題が皆の問題へ反転するはずであるという清家清の強い自信なのだろうか?
午後は製図。次の課題であるオフィスの説明と敷地見学。自分の設計したオフィス(長野県信用組合)の前に敷地を設定している。自作の本物を見せられるのは何かと都合がいい。夕刻のアサマで東京へ。車中三中信宏『分類思考の世界』講談社現代新書2009を読み始めた。話は学会が行われたメキシコの町オアハカから始まる。この町は実は僕も行ったことがあって懐かしくなった。チャールズ・ムーアとリカルド・リゴレッタ、uclaスタジオの学生10名と一緒に行った。遺跡もあるしスペイン征服後の古い建物も多くある。実に美しい街だった。陽が強くヨーロッパからの留学生の中には白い肌を真っ赤にして日射病にかかるものもいた。遺跡を巡っては4時ころから連日町のプラザの木陰でマルガリータをジュースのように飲んだ。巨漢のチャールズとリカルドはまったく酔わない。夕日に照らされた建物の壁面が赤く色づき酔いが手伝い幻想的な世界が浮かび上がった。しかししらふでもこの町の色は僕の心に強く焼き付いている。長い年月の間に幾層にも塗り重ねられた様々な熱帯の原色が剥がれおち。様々な色の層が顔を出しているのである。この美しい町が町全体で世界遺産になっているとこの本に書いてあった。全く知らなかったが嬉しいことである。

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