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チャーミング

雲ひとつない快晴。散歩でもしたくなるような日和だが、空気はとても冷たい。午前中、外山滋比古の『大人の言葉づかい』中経出版2008を読んでいたら、署名のことが書いてある。日本以外の多くの国ではサイン一つでお金が引き出せるわけで、サインの重要性は大きい。人に真似できず、毎回同じように書けると一人前だそうだ。一方日本人はそういう必要性が無いせいか署名がどうもあまり上手くない。下手でもいいから毎回同じように書けるようになりたいものだ(自分に言っています)。篠原も坂本も署名はとても上手だった。
昼は散歩がてら近くでトマトラーメン。午後真壁智治『カワイイパラダイムデザイン研究』平凡社2009を読む。だいぶ前に真壁氏が「かわいい建築論」を新建築に連載していたのは記憶に新しいが、その後の彼の考えがまとめられている(のだろう)。世紀の変わり目くらいから建築において(いや建築に限らず)ある種の価値観の変容が起こっている。この変容を指し示す適当な言葉がないのでとりあえずカワイイという言葉が乱用されている。本書の中に五十嵐太郎氏の「かわいい建築論をめぐって考えておくべきこと」という長いタイトルの論考があった。その中に篠原一男も建築を褒めるときにカワイイと言ったというが、彼はカワイイとはあまり言わなかった。かれの褒め言葉は「チャーミング」である。これ以外にもカワイイを超える素敵な言葉が登場すればいいと思うのだが。僕らの研究室では、こんな変容を建築を語る形容詞の変容という形で分析研究している院生がいる。コトバの変化が作るものを変えているのか、作るものの変化がそれを飾るコトバを変えているのかことの順序は分からないのだが、モノとコトバは常にセットのようである。

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