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SCAでの講演会

昨日のパーティーで紹介されたビエルガルドさんが午前中自宅に招待してくれた。広大な敷地に福井県から移築した民家を建て全体を吉村順三事務所が再設計したそうだ。内部は人間国宝級の陶器から工芸品にいたるまで所狭しと並んでいる。聞けば日本のとんでもない有名人が多数来られている。バーンズコレクションなどを日本で見てもたいていその蒐集家など気にも留めない。けれど実際にそういう人を目の当たりにするとちょっと圧倒される。夫婦そろって日本語、英語ぺらぺら、麻布に数10年滞在し葉山に別荘があったとか?いったい何している人なの??

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ブエノスアイレス大学建築学部のアトリウム
Minkaを後にしてそこで合流したブエノスアイレス大学の講師であるロベルト・ブスネリが僕をブエノススアイレス大学の建築・デザイン・アーバニズム学部に連れて行ってくれた。巨大なコンクリートの建物に、巨大な吹き抜け。学生のびらやポスターがいたる所に貼られている。学生の自治選挙まっ最中。

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ブエノスアイレス大学建築学部の模型保管室
ここには昨日展示されていた学生模型のすべてが保管展示されている。毎年4年生がつくる名建築の模型。20年分、500個くらいはある。コルビュジエ、ライト、カーン、ノイトラ、、、、そして今年は現代日本住宅建築がテーマ。前期に作られたものが展覧会におかれているが後期では僕の「山」も対象だそうだ。どうしてこんなこと始めたのか聞くと、留学先のコロンビアでフランプトンにこういうものは保存しておけと言われたそうだ。ランチは近くのサンドイッチ屋へ。サンドイッチと言ってもでかいステーキを炭火で焼きそれをパンにはさむ。ラプラタ河畔の公園脇、空は快晴、空気は爽やか(ちなみにブエノス・アイレスとはgood airである)。レストランのロゴplaya(ビーチ)を見ると、まるでサンタモニカあたりにいるような気分である。

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国立図書館:エスタ
ホテルに戻り、夜のレクチャーまで市内を散策。テスタ(アルゼンチンの巨匠のひとり)国立図書館の巨大キャンチレバーのブルータリズムを見てから様式風の装飾博物館でコルビュジエ展を見る。タクシーでランダムな壁、階段のxul美術館へ。やっと少し市内の地理がわかりだした。戻ってジェットバスの風呂に浸かっていたら、今晩のレクチャーの待ち合わせ時間の6時を過ぎている。アルゼンチンタイムだ。

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SCAでの講演会
建築家協会は古い建物の改修。こういう場合たいてい壁はレンガか白く塗られ、天井はrcスラブむき出しである。オーディーはエントランスホールと連続し、素敵なスペースである。三々五々人が集まっている。通訳が結局マルタだと分り、お互いあやふやな英語でどこまで通じるのか不安。全部日本語で話そうかとも思ったが(日本語通訳もいるので)聴衆の半分は英語を理解できるということなのでやはり英語で行う。7時に初めて1時間半。何度もマルタに聞き返されながら、やっと終わらせた。最初に建築のライブ性についてかたり、だから建築をつくるのではなく、フレームをつくるのだという日常建築についておぼろげに感じていることを話す。そして展示されている作品の説明。住宅。上海の工場。駆け足で終わらせた。会場には遅れてきた人の立ち見も含めて200人くらいの人で盛況でだった地球の裏側からやってきた見も知らぬ人間の講演にこれだけの人が集まるというのはちょっと驚きである。ありがたいこった。

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北千住の居酒屋のようなピザ屋、サッカーのポスターが所狭しと貼られている。最近この国でサッカーの話はタブー。テニスの話をすると皆喜ぶ

終了後ロベルトお勧めの1937年にできたピザ屋へ。日本でいえば北千住あたりの居酒屋と同じ。聴衆の反応をロベルトに聞くと、最初のコンセプトあるいは原理とそれを現実化していく過程にみな興味を持ったと言う。とは言うもののこんなメディア論的なことそれ自体に興味があるのだろうか??UBAの教授たちは僕のスケッチやドローイングを褒めていたのもそう感じる原因だが、思い出してみるとベルグラーノ大学もブエノスアイレス大学もそれぞれの建築学部の内容は日本でいえば美術学部である。絵画、グラフィック、インダストリアルデザイン、ファッションなどの学科が建築学部のなかにあるのだ(ファッションがあるっていい)。彼らにとって建築はコンセプトや原理、まして社会構築的な視点などより、やはりもっと視覚的な何かなのでは??

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