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美しいこと

朝のアサマで長野西高校に講義にでかけた。高校へ行って出前講義である。最近は中学生くらいから自分のキャリアを考えさせる指導が行われている。娘も中学三年の時、夏休みの宿題でなりたい職業の人にインタビューをしていた。高校では自分の進むべき進路を自分で考えるために大学の先生が呼ばれて学問の紹介が行われる。加えてどこの大学も学生集めに躍起なので、両者の目的が合致してこうした出前講義が行われる。長野の高校だから信州大学の先生ばかり来ているのかと思ったらさにあらず、東京の一流私立大学の先生もいらっしゃった。この高校は文系教育の方が進んでいるようで僕の部屋には10人程度しかいない。看護とか心理学の部屋は人気で30人くらいの生徒が集まっていたようである。1時間半程度、工学とは、建築とは、僕の高校時代は、などの話をして終わる。今日はこれだけのために長野にやってきた。帰りの車中、赤木明登『美しいこと』新潮社2009を読む。美しい写真と美しい文章によるものづくり職人の紹介である。著者は漆職人なのだが、文章がとても上手である。略歴を見ると大学では哲学を学び出版社を経由して、突如輪島塗の職人に弟子入りしたと書いてある。この手の本にはミーハー的な有名人巡りが多いのだが、この著者には職人の選択に一貫したポリシーが感じられる。それは言ってしまえば「その職人に信念があること」である。言葉にすると実に陳腐なのだが、それが文章の中にひしひしと感じられる。事務所に戻り明日の打ち合わせ資料の打ち合わせ。スタッフたちは横浜の類似施設を見学して帰ってきたところ。見てくると今の図面の不足しているところがよく分かるものである。それが分かるとますますこの図を明日役所に出していいものやら?ちょっと不安。

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