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着地

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中国での仕事も大詰めである。問題は4つ。一つ目はいつまでたっても汚れが落ちない外壁タイル。二つ目はシールやはねた塗装を金属スクレーパーで剥がしたためにできたサッシュ表面の傷。三つ目は工期の著しい遅れ。最後は外壁石のひどいまだら。最初の3つはどうしようもないので金額交渉。石は取替え。午前中にこちらから損害金額の提示と石の張替えを要求。それに対して午後施工者側からの回答を得た。もちろん100%満足行く回答ではなかったのだが、クライアントの寛容さに助けられて、なんとか妥協点にたどり着いた。ほっとした。ホテルに戻り夕食までの間部屋で休憩。小田部さんの『西洋美学史』を読み終える。最後の3人、ハンスリック、ハイデガー、ダントーを読む。ハイデガーの副題は不気味なもの。不気味なものと言えばフロイトとパブロフの犬のように思っていたが、ハイデガーが『存在と時間』の中でこのテーマを語っていたとは気付かなかった、いやきちんと読んでいなかった。いずれにしても至極興味深い。簡単に言えば、人間は普段居心地の良さにかまけて頽落しており、そういう状態を打ち破るには「居心地の悪さ」=「不安」=「不気味さ」が求められる。そして芸術作品に内在する「不気味なもの」が頽落から現存材を本来的な状態に取り戻す契機となり、その結果として我々の中には「原初」が導かれるというのである。
僕が建築の窓に興味があり、窓は覗かれるという不安をかきたてるからこそ常態化した建築を新鮮にすると考えているのだが、そのストーリーは既にこうして説明されていたわけだ。この手の本を読んでいて楽しいのは自分のもやもやとした直感が哲学的に説明され得ることを知るときである。

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