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像は語る

朝の会議がことのほか長い。終わって昼までの間に構造のI先生と小諸プロジェクトの打ち合わせをする予定なのに。どんどん時間がなくなる。I先生とは学会の木質バイオマス特別委員会でご一緒させていただいているので、この計画も木でいけるかと打診するのだが、話していくと、コストで挫かれる。こいつを下げる方策が無い限り建築材としての木の一般的な普及は難しい。
午後講義、終わって教員会議。会議後ゼミの様子を見に行く。今日は『生きられた家』だが皆難しそうである。難しいから読むのであり、簡単な本ならゼミで読むまでもない。最近ゼミの最後にちょっと面白い1時間設計をやっている。基本的に二つの住宅のプランを暗記させておいてそのどちらかを題材として、それを増改築する。今週は梅林の家の家族を3人にして内部を自由に改築し、かつ4階建てに増築せよというもの。妹島さんの空間を換骨奪胎してその形式を用いながら自分のものとせよという課題である。もちろん1時間で仕上げるのにはかなりの力量がいる。しかしなかなかの瞬発力が鍛えられる。
夕食後その図を採点。その後WEB上の大学院講義レポート読み、その感想と新たなレポート課題をWEBに書き込む。これが結構時間がかかる。終わって事務所から送られてくる図面をプリントアウトしてチェックする。今日から来たガレスというアイルランド人の研修生のスケッチも入っている。おーいきなり与えたテーマに対してのスケッチにしては上出来だ。CAD図を見ながら空間トレース。エネルギーがいる。自分でアクソメを描きながら前回の打ち合わせの内容が出来上がっているのか?できてないところはなぜそうなっているのかを読み込む。いくつかの指摘をメールで返す。やっと今日の仕事は終わり。読みかけの『動的平衡』読む。生命とは生命を構成する分子の流れがもたらす「効果」である。という一文が印象的だ。これはカルテジィアンによる機械論に対するアンチテーゼの一つである。もう一つのアンチテーゼは像もクジラも豚も感情があると言う仮説。これもなんとも感動的な話だ。とある国で絶滅寸前で最後の一頭となった像を追跡した学者が断崖絶壁の海辺でその像を発見。像は沖で潮を吹くクジラと低周波で語り合っていたそうだ。像はもちろんすべての哺乳類に感情があると僕も思う。

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