磯崎のイタリア
朝の電車で長野へ。助教のHさんの結婚披露宴。善光寺そばの藤屋というホテルで行われた。江戸時代の御本陣、今の建物は大正14年にできた和洋折衷建築。その後もリニューアルされインテリアはスケールが小さくインティメットな空間になっている。始めて中に入ったが気持ちよかった。終わって研究室に戻る。雑用をしばらく片付けてから、カサベラの日本語版を全部引っ張り出してきて磯崎さんの対談記事を通して読んでみる(全10回)。送られて来た時は目次と表題程度しか目を通していなかった。昨日小巻さんにお会いして、ああきちんと読まねばと反省した。テーマはイタリア。ルネサンスからバロックへの建築美術の流れである。対談で歴史が語られると、ゴシップ的な話題がちょくちょく入ってくる。あっち行ったりこっち行ったりするのだが、それこそが人の世である。一人の人がとうとうと語るより対談は時代が広がりを持って見えてくる。アントロポモロフィスム(人体像形象主義)こそが15世紀の発見であり、これは近代にまで引き継がれ、そして解体されつつあると磯崎が言う。こんな発言は歴史家にはできない。歴史家が書く歴史と制作者が書く歴史は見方が違う。今翻訳中のヒューマニズム建築の現代的意義が多少鮮明になるか?