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モーレツ教授の生きざま

昨晩丸善で一冊だけ宅配に回さず持って帰った本をベッドで読み始めた。今野浩『すべて僕に任せてください―東工大モーレツ天才助教授の悲劇』新潮社2009なる本である。「頼まれると断れず、次々と降りかかる膨大な雑用に疲弊し、ポスト争いや「調整」に翻弄される日々―。成果として論文の数を問われるものの、本業である研究に没頭すること自体がいかに難しいか。元東工大教授が、共に勤務した研究者の半生を通じて明かす、理工系大学の実態」という帯の言葉に惹かれて思わず手に取ってしまった。そして読み始めたら止まらなくなった。著者は数学者だが、教育統計学が専門のため数学科ではなく文系の学者が集まる一般教育セクションに配属された。ここはその昔から文系一匹狼の棲息地である。著者在職中は江藤淳、永井陽之助、吉田夏彦など蒼蒼たる有名人が居並び、一匹狼であるがゆえに全くまとまりを欠いていたとのこと。僕が在学中も、あのセクションはテレビに登場するスターが集まり、組織としてどうなっているのか不思議だったがやはり、という感じである。さてそれは余談で本筋は金融工学を日本に産み落とした著者が、自分の講座に迎え入れた天才助教を育て上げる中で味わう大学という政治組織の裏の実態である。大学組織に自ら所属しているので裏の実態を知らないわけでもないけれど、たたき上げではない私のようなものには助教から教授への長い道のりは計り知れない。しかし民間企業のピラミッド組織では昇進する人数が徐々に減るのに比べて大学は実力とポジションは比較的整合しているように思う。それにしても年間4000時間働き、学生との共著論文は自分の業績とすることを潔しとせず、癌で全身転移した後もその事実を知らず働き続け、教授昇格とともに42歳で夭逝するなんていう学者がいるとは想像もしなかった。大学で働き始めた時、大学は民間より働かない場所だと感じたし今でも感じているのは建築なんていう異常な職場から来たからであろうか?民間一般と比べたら大学も働いているのだろう。という程度に思っていたのだがこんなバケモノみたいな人がいるのである。寝不足気味で事務所に行き昼にクライアントとランチミーティング。事務所に戻り、雑用書類の山を片付け、中国と電話でやりとり、アルゼンチンとメールでやりとり。アルゼンチンからは返事がすぐ帰ってくる。こっちの午後は向こうの午前である。

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