スチュワート先生
4月2日
午前中は明後日にせまった外部評価の打合せ会議。まだいろいろとやることがある。帰りの新幹線で中谷内一也『リスクのモノサシ』NHK出版2006を読む。これはリスクマネージメントの本ではなく、リスク情報が巻き起こす社会的動揺の実体を探る本である。僕はリスク情報にまったく動揺しない体質でよく配偶者に叱られる。でもこの本を読むとやはり僕ぐらい鈍感で丁度よいという気になってくる。一時期騒がれた環境ホルモンも結局現状の量では体内にはいってもさほど問題ではないという結果が出ているようである。まあその情報もどこまで本当か分からないが。この本にも書いてあるがメディアが騒ぎすぎである。つまりどの新聞も多かれ少なかれ東スポみたいなものなのである(というと言い過ぎだが)。常に新聞の見出しは最悪の事態が書かれているのだそうだ。それには二つの理由があり、そのほうがセンセーショナルだから売れる。もう一つは最悪を予想しておいた方が後で叩かれない。まあ最悪を書いてもいいがその確率も書いて欲しいものである。とその本には書いてある。そう思う。
夜はスチュワート研究室銀座に集合。恩師デヴィッド・スチュワートが3月で退官。それをお祝いした。会には教え子5名。当時助手役を務めてくれて、今は東工大の教授であるS先生。当時篠原研の博士でアドバイスをしてくれて現在は筑波大の教授をされているU先生も来てくださった。場所は教え子の一人で現在北海道大学の先生をしているO君が設計した「神戸みその」。名門ステーキ屋である。厚さ2センチくらいの鉄板が1メートル×15メートルくらいカウンターの前に広がる。なんとも壮観である。そこで先ず直径8センチ厚さ5センチはあろう巨大ホタテ、次に厚さ5センチくらいの牛肉が焼かれた。味覚も視覚も圧倒された。もう一年分の美味しいもの全部食べてしまったという満足感である。そしてスチュワート先生とゆっくり話もできた。先生はロンドン大学のコートルード研究所でコルビュジエ論を書いたコルビュジエ博士である。我々のテーマはもちろんコルビュジエであり徹底した指導をしてくれた。内容から文章まで、われわれの卒論を3回真っ赤にした。赤を入れるだけではない。内容が不足しているところは適宜紙が貼り付けてあり付加すべき文章やら参照すべき文献やらが事細かに書き込まれているのである。こんな先生はいませんね。教師になって分かる。incredibleである。第二の人生にbon voyage。