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自分を支えるもの

日中、某出版社からの℡である雑誌の廃刊を知る。驚くとともに残念だ。理由は分からないのだが建築界にとってはとても重要な雑誌であると僕は思っていた。少なくとも編集方針が不明な写真だけ綺麗な専門誌よりか僕は好きだった。最後の号への寄稿依頼を快諾した。こういう雑誌が廃刊に追い込まれる日本と言う国はとても悲しい国なのかもしれない。一日出ずっぱりであちらこちらで打ち合わせ。移動の合間に村上春樹の新しい単行本を読んでいた。『走ることについて語るときに僕の語ること』このまどろこっしいタイトルはともかく、読みながらつくづくこの人と僕はフィジカルにもメンタルにもよく似ていると感じた(感じてきた)。彼は小説家になるために必要なことは、才能と集中力と持続力だと言う。そして彼が走るという行為は(彼はフルマラソンを20回以上走り、コンスタントに3時間半で走る)この小説家としての持続力を培う上でプラスに働いてきたのであろう。とにかく週6日欠かさずコンスタントに10キロ週に60キロ月に250キロ走るのだそうだ。これは並大抵のことではない。凄いのはその距離ではなく週に6日欠かさず走るその持続力である。そのためには誘惑を断ち切り、人間関係を狭め、仕事を効率よくこなさなければならない。そうしたビジネスライクと言えるような律儀さがなければこの数字は達成できるものではない。
でも結局才能が溢れている人で無い以上は(村上は自分は凡庸、シェイクスピア、バルザックなどが能力に溢れた人だと言う)そうした方法をとらない限り成長しないのだと思う。と村上が言うことを僕はよく分かる。自分が正にそうだからである。きちんと毎日ちょっとずつでもいいから前に進むために何をしたのか言えることしか自分を支えるものは無い。

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