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ローマへ

8月23日
成田でnumberの別冊と文庫本を数冊買い込み飛行機に。アリタリアだが機材はJAL。久しぶりに遠くまで飛行機に乗るのでたっぷり時間がある。保坂和志の『羽生』が面白い。哲学的小説家保坂による羽生分析である。それによると羽生は棋風を持たぬ棋士だそうだ。つまり強い指し方のスタイルを持たず、あくまで勝つという目標に向かって極めて冷静な判断を下す棋士だというのである。さらに面白いのは、例えば羽生の前時代を気付いた谷川は高速の寄せという読みの早さと深さで相手を圧倒したのに対し、羽生は自分の考えの優越性を前提としないという。相手も自分も同じ地平にあるというところから微差のつみあげで勝つのだそうだ。
将棋はある意味表現である。読んでいると建築に通ずることが多々あるなあと感じる。特にコンペをしている今はいかに勝つかという点でいろいろ教えられる。こちらの手の内は全て読まれていると思ってそれでも勝つ、訴求力があるということはどういうことなのかなどなど。
成田~ローマ14時間は長い。現地時間の夕刻七時に到着。飛行場から市内への道と風景は世界各国同じに見える。夕刻になるとなおさらである。上海もローマも変わらない。などと思ったのもつかの間。市内に入るとやはりローマはローマ。まるで巨大な遺跡ランド。ホテルについて湯が出ない。やはりローマはローマ。

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