« フォーティー来日 | メイン | 設計のスピード »

山田守

先日東海大学の岩岡さんから山田守作品集なるものをいただいた。その中に青木淳の言葉がある。青木さんは山田守のデザインをこう言う。ディテールや空間の完成度を求めていない。それは普通のものである。標準仕様である。こう言うのは一般的にデザインとは呼ばない。デザインとはディテールから全体形までをも含めて建築家の意思のもとにある完成度を創ることであり、そうした観点からこれはデザインではないと断定する。一方で山田には不思議な雰囲気が漂っている。その全体形には独特の山田流がみなぎっている。しかしそれは全体形を含めたある別種の空気だとする。因みにこの論考のタイトルは「もうひとつの『デザイン』のあり方」である。つまり山田のデザインは細部から全体にわたる完成度を求める一般に言うところのデザインではなく、形にならぬ空気を作るようなもうひとつのデザインだと言うのである。うんうんそうかなあと思いつつもやはりちょっと無理があるか?雰囲気とはいえどもそれは山田流の未完成の形に頼っているからである。
しかし気分としては青木さんの言いたいことは分かる。確かに現代の建築が求めていることのひとつを山田が無意識に体現していたのかもしれない。山田のデザインした代々木の東海大にしばらく通った身にはある不思議な空気が感じられた。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://ofda.jp/lab/mt/mt-tb.cgi/3055

コメントを投稿